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No.4427
北アルプス・北鎌尾根 槍ヶ岳 3180mピーク
山行種別 無雪期一般、岩登り
きたあるぷす・きたかまおね 地形図 槍ヶ岳、穂高岳、上高地

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山行期間 2010年9月8日〜12日
コースタイム

9月8日〜9日 福島(20:55)=新井PA=沢渡(7:57,8:30)=上高地・バスターミナル(8:54,9:06)→明神(9:54)→徳沢園(10:39,10:47)→横尾山荘(11:39,12:15)→一ノ俣(12:59,13:05)→槍沢ロッジ(13:38)
9月10日 槍沢ロッジ(6:03)→ババ平(6:39)→槍沢大曲り(7:08,7:13)→水俣乗越(8:13,8:18)→北鎌沢出合(10:19,10:25)→北鎌沢右俣出合・昼食(10:41,11:07)→北鎌のコル・北鎌沢右俣左沢の上部(13:15,13:26)→天狗の腰掛(15:04)→テン場(15:29)
9月11日 テン場(6:22)→独標稜線(8:39,8:48)→北鎌平(13:55,14:03)→槍ヶ岳(15:34,15:51)→槍ヶ岳山荘手前の分岐(16:23)→殺生ヒュッテ(16:42)
9月12日 殺生ヒュッテ(6:16)→槍沢大曲り(7:30,7:36)→ババ平(7:52)→槍沢ロッジ(8:10)→一ノ俣(8:36)→横尾山荘(9:14,9:30)→徳沢園(10:17,1027)→明神(11:07)→上高地・バスターミナル(11:54,12:00)=沢渡(12:35,14:30)=福島(20:45)

写真 写真は拡大して見ることが出来ます
上高地バスターミナル 観光客で賑わう河童橋 徳沢園
一ノ俣の橋を渡る 二ノ俣の標識 初日の宿泊は槍沢ロッジ
ババ平のキャンプ地 槍沢大曲の分岐 水俣乗越から天上沢へ下る
天上沢を下ると槍の穂先が見えてきた 天上沢の雪渓は消えていた 北鎌沢右俣から上部の北鎌コルを見上げる
北鎌コルの少し左へ上がった 大天井岳と貧乏沢を見る 天狗の腰掛を越して泊まる
いよいよ独標が迫ってて来る 独標を下部から見上げる 緑のフィクスロープからトラバースに入る
慎重にトラバースする ロープで確保してゆっくり進む チムニーから直登する
槍ヶ岳のピークが良く見える 鋭角な岩尾根が続く 穴あき岩を振り返って見る
のんびりとした尾根歩きもある P15のトラバース P15への登り
槍ヶ岳が目の前に迫ってくる 北鎌平のプレート 北鎌尾根から見る最後の槍ヶ岳ピーク
左のカニ岩を目指して登る 山頂手前に立っている古い標柱 山頂は多くの登山者で賑わう
チムニーを登り大槍のピークへ 山頂にあった標石 山頂の鳥居
梯子を使って下山する 3日目の宿泊は殺生ヒュッテ 最終日は雨の日の下山になる

行動記録
 ひょんなことから北鎌尾根を登ることになった。以前に脊椎の神経を痛め、左足が不自由になってしばらくになる。今でもアキレス腱の反射は無く、バランスが取れなくて左足では5秒と立っていることができない。当然、難しい山登りは諦めていた。北鎌尾根に行ってみたいと口に出したら、ことは進み現実のものになった。リハビリを始めて15年目、仲間に支えられながら経験した61歳の夏の思い出である。

9月8日夜〜9日
 20時55分、みんなの仕事が終え福島を出発する。沢渡までは6時間以上かかる。途中、新井PAで仮眠を取った。松本ICを降りてからコンビニで買い出し、沢渡には8時前に着いた。マイカーが規制されている上高地に入るには沢渡からシャトルバスかタクシーに乗り換えることになる。
 私たちは沢渡大橋を渡ってすぐの「沢渡大橋駐車場」に車を駐めて歩き出すことした。4日間置いてほしいと話をしたら下の屋根付きの駐車場へ案内された。
 駐車料金は何処へ駐めても1日500円、4日で2,000円になる。沢渡に駐車場は15箇所あり、私たちの駐めた駐車場は、沢渡の最初のバス停の前になる。さすが観光地でもあり皆さん親切に説明してくれる。バスは20分間隔で運転しているが、私たちは同じ駐車場に駐めた方と一緒にタクシーに乗り込んだ。この方が早いし、料金も安い。
 5年前の2005年にできた新しい釜トンネルを抜けて上高地に入る。バスターミナルでタクシーを降り、水を補給して歩き始める。上高地はさすが観光地だ。多くの人で賑わう。ビジターセンターの前を通り、人で賑わう河童橋を過ぎ、明神、徳沢園を通って、横尾山荘までは車も通れる幅の広い道を歩く。横尾山荘まで2時間30分ほどかかった。
 ゆっくり休んでから車道を少し進むと、道は登山道へと変わった。ようやく山らしくなってきた。一ノ俣を渡り初日の宿泊予定の槍沢ロッジへは13時38分に着いた。

9月10日
 前日に続き最高の天気だ。6時03分、ほぼ予定時刻に小屋を出発し大曲を目指した。大曲まではなだらかに高度を上げる。途中のバハ平はテン場になっていて水もある。さらに進み、大曲まで来て休んでいると前日同じ小屋に泊まった若い男女のパーティが追いついてきた。若いだけあって歩くスピードも速い。私たちと同じく水俣乗越に上がると言う。
 水俣乗越への道は、今までの道と違って踏跡が薄い。薄いと言っても東北のしっかりした登山道と同じ程度である。一気に高度を上げる。コースがジグザグになっているので勾配の割には苦にならないで水俣乗越へとあがった。水俣乗越まで一緒に上がってきた若い人達のパーティとは、写真を撮ってもらったりしてから別れを告げ、私たちは天上沢への下りにかかった。
 水俣乗越から急斜面を降りていく。最初は沢の源頭を下り、灌木の中の踏跡を下りガレ場に出る。この時期になると雪はすでに残ってはいなかった。しばらくカレ沢を下り、傾斜が緩くなってくると槍から独標へと続く北鎌尾根が現れた。こんなに天気が良くていいのだろうか。
 天上沢をしばらく下っていくと間ノ沢を合わせ、北鎌沢の出合には10時19分に着いた。5分ほど休んでから北鎌沢を登り始める。15分ほど登ると右俣との出合に着いた。水の補給はここですることにしていたので、早めだったが昼食を取ることにしてゆっくりと休んだ。
 25分ほど休んでから右俣へと進む。右俣に流れは無く、枝沢のようで見逃しやすい。流れのある左俣は左へカーブするので注意すれば見逃すことはなさそう。北鎌沢右俣を直上する。伏流だった沢に水が戻り、それはコルの少し手前まで続いていた。おかげで担いだ水には手をつけないで尾根まで上がることが出来た。
 いろんな資料を読むと北鎌沢右俣は右へ右へと進むようになっているが、基本的には細いカレ沢が合わさるものの真っ直ぐ登って行けば良い。最後に二俣に分かれたところで間の草付きに明瞭な踏跡が現れたので、私たちはその踏跡をたどった。
 北鎌コルに出るには右沢を詰め上がるのが正解のようだが、どちらも多くの人が歩いているようで、明瞭な踏跡が稜線まで着いていた。13時15分、北鎌コルのいくらか左よりの稜線へと飛び出した。北鎌コルを確認してから稜線を歩きたいのであれば、最後の二俣を右に進めば良いようだ。明日も天気は良さそうなので行けるところまで行くことにして先へと進む。
 ひと登りすると天狗の腰掛が見えてきた。さすが北鎌尾根、一般ルートとは違った緊張感がある。ゆっくりと慎重に天狗の腰掛(P9、2749m)へと進む。天狗の腰掛へは15時04分に着いた。明日は風が強くなるかもしれないので天狗の腰掛のてっぺんにツェルトを張るのを躊躇し前へと進む。25分ほど進んでツェルト2張が張れそうな場所があったので今日はここで泊まることにした。今日の夕食はアルファー米にフリーズドライのチキンカレーとコンソメスープ、なかなかのお味で、あっという間にお腹の中に収まってしまった。後は寝るだけである。

9月11日
 6時22分、ツェルトを片付けて出発する。いよいよ北鎌尾根の核心部へと入っていく。前方には独標のトラバースルートが見えている。
 独標基部に達したら、私たちは通常のトラバースルートへ。最初に緑色のフィックスロープが張ってある。慎重に通過し細いバンドをトラバースする。次にオーバーハングしている岩場が出てくる。一段下にスタンスがあり通過できる。バランスの悪い私は、岩棚を通過するまでしっかりロープで確保してもらった。おかげで安心して通過。時間を取らせてしまい「すみません」。
 岩棚を過ぎ斜めに登っていくと、目印となるスリンゲのかかったチムニーが出てきた。チムニーを登ると独標の稜線へ向かって斜面が続いている。ここからトラバースするルートもあるが、出来るだけ登ろうと決めていたので迷わず直登した。ハイマツのある所まで岩の斜面で、出だしにハーケンが打たれていた。上部がガレでいやらしいこともあって、用心のためにロープを出した。
 いやらしいガレ場を登り切って8時39分、独標稜線(独標の先の小コル)へと出た。独標(P10、2899m)のピークへは少し戻るようになる。私たちは独標のピーを踏まないで、先へと進む。P11を登り、さらに先へと進む。ここからも緊張する箇所は続く。P15までの間は明確な安定したトラバースルートが確認できる所以外は、できるだけ直登ルートを取るようにした。おかげで迷いやすいルートに出合うことなく前に進むことが出来た。
 振り返ると穴あき岩が確認できた。いつの間にか通過してしまったようだ。緊張する登下降はさらに続く。P15は千丈沢側をトラバースし斜上して稜線へと出た。目の前に槍ヶ岳が迫る。何があっても、もう登るしかない。
 北鎌平はもう一段上になる。直上し13時57分、ようやく北鎌平にたどり着いた。独標稜線から北鎌平までは私のために何回もロープを出してもらったこともあって予定の倍の5時間かかった。おかげで安心して登ってくることが出来た。私がいなければ半分の時間で通過するだろうに。仲間の気持ちに感謝。
 稜線伝いに登っていき、大槍の基部からカニ岩を目指す。少しだけ天上沢側にトラバースし、カニ岩の脇を通って登っていく。思っていたよりも傾斜は緩く、安心して登って行けた。スリンゲのかかるチムニーまで来ると、後続の2パーティが追いついてきた。どちらもロープは持たないですべてフリーで登ってきたとのこと。若いだけあってバランスも良い。
 1パーティは大天井ヒュッテから朝立ちし、もう1パーティは天上沢出合に泊まったとのこと。どちらも軽量化のためロープは持たずにハイスピードで登ってきた。私は用心のためフリーで登ったKさんにロープを降ろしてもらい確保してもらった。登山靴でも安心して登れる。
 次に左にある古い標柱まで行き、槍のピークへと上がった。右のチムニーを直上してきたKさんとYさんを上部から写真に納めて、ようやく北鎌尾根を登り終えた。山頂ではガスがかかり、登る途中のような景色は見ることが出来なかった。3パーティ同時に山頂へ到着し、互いに握手をし、写真を撮ってもらったりして登り終えた喜びを分かち合った。時間はすでに15時半を回っている。今日の泊まりを殺生ヒュッテと決め下山を開始する。
 一般ルートの鉄梯子をハイカーの人達と一緒に慎重に下降する。遅くなったので殺生ヒュッテへ電話をし宿泊の予約をした。メンバーがハイカーの人達の間に入ってしまったのでなかなか降りることが出来なくて下で待って合流し、殺生ヒュッテへと向かった。
 小屋に入ってそう時間も経たないうちに、強い風と雨になった。表にテントを張っていた登山者も夜遅くなって小屋へと避難してきた。これが登っている途中だったらさぞかし大変だったと思う。

9月12日
 朝方になって強い風もいくらか収まった。朝食を済ませ6時16分に殺生ヒュッテを出た。昨日食卓が一緒になった台湾から来たカバさんと出発が同じくなった。
 ここから珍道中が始まる。何処でも誰とでも仲良くなってしまう今回のメンバーは、片言の英語と日本語で台湾のカバさんとバカ話をしているうちに、カバさんが離れなくなってしまった。結果的に上高地のバスターミナルまで一緒に行動することになった。
 歩き始めて5時間38分かかって、ようやく上高地のバスターミナルにたどり着いた。旨く12時のバスに乗れそうなので、カバさんと握手をして分かれ、車を置いた沢渡へと戻った。(I.I)

概念図



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