ゆっくりと自宅を出発し幕川温泉を目指す。国道115号線の土湯トンネル手前から旧115号線に入ると、紅葉がちょうど良かった。が、残念ながらガスがかかって山全体を見ることが出来ない。それでも路肩に車を駐めて写真を撮っている人達がたくさんいた。
鷲倉温泉を過ぎ幕川温泉への細い道へ入ると霧雨で路面は濡れていて落ち葉もあり、滑りやすいのでスピードを落として降りていく。橋を渡り幕川温泉手前の駐車場へは10時前に着いた。
最初から雨具を着けて歩き始める。幕川温泉水戸屋旅館の脇を抜け、標識に導かれて滝見台への道から右に折れ、荒川の支沢に沿って下っていく。「てんぷう橋」を渡り、サワグルミの林の中を通りさらに下ると幕滝の架かる荒川の本流に出る。
本流には第1木橋がかかり左岸へ渡ることが出来る。さらに10分ほど遡ると幕滝に着く。高山への道は、幕滝から少し戻り「幕川温泉地区自然観察路案内図」の所から左岸側の斜面についている。
ひと登りすると1323m標高点の尾根に乗る。左下は窪になっている。以前、厳冬期に山スキーの下見に来て荒川の徒渉に手こずり、時間切れ退却したところだ。今の時期は難なく登れる。
窪の尾根から次の尾根に乗ったら道は緩やかになり小沢を横切る。道は地形図の通りについていて、今まで植生が広葉樹林たったのが、オオシラビソも混ざるようになる。ここまで来ると麦平までは10分ほどの道のりである。
ほとんど雪の季節しか訪れたことのない麦平だが霧に覆われた麦平の池塘もなかなかのものである。高山まであと1時間はかかるので、先へと進む。麦平から30分ほど登ったところで、ザックにくくりつけていたストックを1本落としてきたことに気づいた。落とした場所として考えられるのは、笹を刈り払うために鎌を出した麦平の手前と、鎌をしまった麦平分岐のところだが、往復すると1時間はかかりそうだ。寒気が入り、ますます気温は低くなってきた。家内も一緒なので、ストックは機会を見つけて雪が降る前に取りに来ることにして前へ進む。
高山の山頂へは12時45分に着いた。風は多少あるものの我慢できないほどでもない。GPSに高山の三角点の位置をポイントしてきたが、ネマガリダケに阻まれて20分ほど探し回ったものの、今回も見つけることは出来なかった。やはり現行のGPSでは10m程度の誤差はありピンポイントで探し出すことは難しい。
高山から鳥子平への道は、今までと違って歩きやすくなる。粘土質なので雨でスリップしやすく、注意しながら下っていく。山頂から30分ほどで鳥子平湿原に出た。鳥子平の草紅葉や周りの紅葉も素晴らしいのだが、ガスに覆われほとんど見えない。休むことなく前へと進む。スカイラインに出たところは景場平を経て東吾妻山への登山口になっている。1日2本だが定期バスも走っている。
スカイラインを走る車に注意しながら土湯峠方面へと歩く。雨の中をトボトボと歩く姿は車のドライバーからは物好きとしか映らないだろうと思う(確かに物好きであることに間違いはない)。スカイラインを15分ほど歩くと「新奥の細道」の道標があり、路肩が狭くなるところから登山道へと降りる。登山道は道路二折れ分をショートカットしてくれる。
一旦、スカイラインに出てから50mほど道路を下ると左に登山道がある。これが幕川温泉へと下る登山道だ。冬に何度か通ったことがある誰がやってくれたのか、道は刈払いされたばかりで歩きやすい。少し下るとヤブがかぶさってきた。ほとんど歩く人もいないので、ヤブがかぶさっていて当然のコースである。
高度を下げてくると寒さも幾らか和らぎ、周りの景色を見る余裕が出てくる。見通しも利いてきた。スカイラインから登山道に入って40分ほど下ると幕川温泉の水戸屋の建物が見えてきた。14時48分、車を置いてきた「幕滝探勝遊歩道」の案内板のある駐車場へと戻った。
帰りは幕川温泉のもう一軒の旅館である吉倉屋でお湯につかり冷たくなった体を温めてから福島へと戻った。(I.I)
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