水石山は、いわき市のほぼ中央にあり、中心市街地から見ると北西に位置する。広い山頂は古くから水石山公園として市民に親しまれてきた山である。いくつかの登山路があるが、今回は道路を歩かないで山頂へと行ける小玉ダムからのルートをたどってみた。
小玉ダムキャンプ場のトイレのある駐車場が出発点となる。左の奥の木に「剣ヶ峰・水石山→」のプレートが打ってあるのだが、手前のツルがじゃまして見逃してしまいそう。登山道は、歩き始めてすぐに沢を渡り急登になる。
気持ちの良いミズナラの林を登っていく。登り始めて20分ほどで382mピークへ着き、ようやく急登から解放されてほっと一息つくことができる。まわりの木々は落葉していることもあって登山道は比較的明るい。樹林帯の下草は、いつも見慣れているチシマザサとは異なり背の低い笹で覆われている。
一旦緩やかになった道も、剣ヶ峰へ向けて、再び急な登りに変わる。登り始めて1時間ほどで剣ヶ峰へ着いた。四等三角点を持った剣ヶ峰だが、まわりは雑木林で山頂からの眺めは無かった。
剣ヶ峰のピークから少し下り10分ほどで道は直角に右に折れる。ここが林道曲ブナ線からの道を合わせるところなのだろうが、林道からの踏跡は不明瞭でよくわからない。後で地元の人の話を聞いたところでは、今では歩く人もいなく道はハッキリしないだろうとのことだった。
道は右に折れた後、有刺鉄線の柵に沿って一旦下り、小沢を渡ってから登りなる。所々に「小川町」のコンクリート杭があり、かつての町境であったことをうかがい知ることができる。登山道は最初うち有刺鉄線の柵の南側についていたが、途中のヒノキの林のところで刈り払われた北側への道へと位置を変える。その道は国土交通省東京航空局のアンテナ基地へと向かう。
途中で左の開かれた平坦地のところから山頂へ向かうこともできるように荷造り用のビニールテープがついていたが、あまり明瞭ではないので、刈り払いのされた真っ直ぐの道を進んだ。登山道は航空局のアンテナ基地のフェンスに行き当たった。フェンスの脇を回りこむと道路に出る。ここから道路を少し下り左の踏跡に入ると展望台のある水石山の山頂へと道は続いていた。
水石山の山頂は一面が芝生になっている広大な台地で、水石山公園として整備されている。展望台からの眺めは大変良く太平洋も見渡せる。水石山の名前の由来になっている水石は山頂の駐車場の西方に位置し、日照りでも枯れることがないことから日照の時に布を浸せば雨が降ると伝えられている。今回は下調べが不十分で残念ながら水石は写真に収めることができなかった。
山頂一帯を30分ほど散策したが標識も特に整備されているわけでもなく、どうも登ってきた道を帰るのが無難のようなので航空局のアンテナ基地まで戻りフェンスを回り込んで刈り払いのされている登山道へと戻った。帰りは1時間ちょっとで車を置いてきた小玉ダムキャンプ場のトイレのある駐車場へと戻ることができた。(I.I)
|