いわき市差塩に良々堂山と言う山がある。標高600mほどの里山だが、山頂までの道には石仏があり、西国三十三観音巡りが出来るようになっている。二ツ石山を登ったその足で訪れてみた。国道49号線いわき市三和町下市萱の根古屋橋から北上し磐越自動車道の手前に差塩良々堂三十三観音の駐車場があり、ここが出発点となる。
参道入口には、石碑に刻まれた「差塩良々堂三十三観音」の参道案内がある。それによると三十三観音は独国和尚が、この地方の人たちが遠い西国までいかなくとも西国三十三観音の巡礼ができるようにとつくったもので山全体が霊場となっている。
車を駐め身支度をして歩き始める。最初は幅の広い道を登っていくと、すぐ右にお堂への道が分かれる。急坂を登って行くと、入口から5分ほどでお堂にたどり着く。お堂の後ろには大岩があり、その上には十六羅漢像が祀られていた。見事なものだ。
また、お堂の裏手に回り込むと、大きな岩に独国和尚の石刻像がある。これも立派なもので見ただけでも御利益がありそうな気がしてくる。
お堂を後にして裏山に延びている三十三観音への参拝路へと入っていく。独国和尚の石刻像から右の道を登っていくと、道は山頂から延びる尾根を越えて、枝尾根の下り坂になる。しばらく下ってから左に折れると、何と「第三十三番札所」の石仏と出合った。ここまで来てようやく自分が逆コースを歩いてきたことに気づいたが、今さら戻るのも面倒なので、このまま逆回りで登ることにした。
至る所に巨岩が点在し、その岩の上か下に石仏が置かれている。三十三の観音の石像には、それぞれに地元の差塩小学校の子供たちの手作り案内板が立てられている。
良々堂山のピークを回り込むようにつけられた道を進む。すっかり葉が落ちた雑木林の道もなかなかのもの。第三十番札所を過ぎ急登を登り切ると第二十七番札所の石仏に着く。ここが山頂だ。一段高いところには良々堂山の三等三角点があった。木々の間からわずかだが、まわりの山を見ることが出来る。しかしいずれも低い里山でもありどれがどの山か特定することは難しい。
下りは南西に延びる尾根を少し下がると第二十六番札所から一気に中飛ばしで第十四番札所になってしまった。この間の札所はどうなっているのだろうと探し回り、ようやく手前で踏跡が分かれていることに気づいた。だいぶ時間をロスしたが石仏の置かれている位置が何とか理解できた。踏跡はルート図の通りである。
一巡してから第十四番、第十五番札所まで戻った。道は土塁のある南西の尾根へ少し登り返してからお堂へ向けて下り始める。ここまで来ると道は一本で迷うことは無い。順調に各札所を廻り下って行き第四番札所を過ぎて一旦尾根に乗る。尾根には第一番札所から登ってきて尾根の途中からトラバースするようになっているので、迷わないように小さな「←4へ」のプレートが着いていた。当然だが順路の方が案内プレートなども見やすくなっていて道はわかりやすいようだ。
尾根から左に折れ石仏を巡りながら第一番札所に着いたのは11時32分だった。本来ならここから登り始めるのだろうが、充分な予備調査をしなかったために、とんだ間違いをしてしまった。もし、訪れる方は参拝順路は時計回りだと言うことをくれぐれも頭に入れて登っていただければと思う。ここまで来れば出発点の駐車場まではもうすぐである。(I.I)
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