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No.4985
花塚山・花塚台 花塚台 890mピーク
山行種別 無雪期一般
はなづかやま・はなづかだい 地形図

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山行期間 2014年6月28日(土)
コースタイム 花塚の里駐車場(9:31)→放鹿神社(9:43,9:46)→あずまや(10:07)→峠の森・比曽堺分岐(10:30)→比曽堺(10:45,11:04)→花塚台(11:18,11:34)→放鹿神社(12:03)→花塚の里駐車場(12:15)
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花塚の里駐車場に設置された放射能測定器 除染で出た土砂などの仮置場はビニールで覆われている 今まで使用できないでいた駐車場も整備された
ホタルブクロが咲く 土を新しく入れ換えられていた 鳥居が見える
放鹿神社の周りも除染が終わった 花塚山の案内板 比曽堺を目指して登る
ヤマボウシ 峠の森自然公園と比曽堺との分岐 ギンリョウソウ
比曽堺で2.244μSV/hを示した 地面に置くと3μSV/hを超える PA-1000とPA-1100で計測する
岩の上に石姥が鎮座する 放鹿神社の屋根も新しい瓦に葺き替えられた 帰路に見た福島市渡利の絵馬平の除染箇所

行動記録
 花塚山の中でも比較的線量の高い比曽堺は、2011年から毎年のように追跡調査を行っている。2011年10月26日(事故後227日)に測定したときには4.379μSv/h(毎時4.379マイクロシーベルト)の放射線量であった。この数字はここに227時間すなわち9.5日とどまっていると一般人の法令被ばく限度である毎年1mSv/yに達してしまう値である。昨年同時期にもご一緒した神戸のN教授と一緒に再度訪れてみた。
 昨年は放射能除染廃棄物の仮置場の工事のため使用できなかった花塚の里駐車場は、きれいに整備され放射能測定器も設置されていた。堀場製作所のPA-1000で計測してみると0.132μSV/hを示した。計測器の誤差は線量計の性能、個体差にもよるが一般に10〜30パーセントと言われ、計測場所が少しずれても値は変化する。より正確に計測するには、500回測定し平均値を出す必要があると教わってたことがある。気の遠くなるような話である。これまでに計測してみると、文科省のリアルタイム測定器と私の計測器には違いがあり違和感を持っていたが、今回の花塚の里駐車場に設置された線量計は、文科省のリアルタイム測定器と違って正直な値が表示されているように思うのは私だけだろうか。
 車を駐めて花塚の里へと足を踏み入れる。遊具も整備された花塚の里だが、原発事故以来訪れる子供はいなくなった。2011年当時は2μSV/hもあったのだから仕方ないだろう。今は表土がはぎ取られ、新しい砂に変えられていた。放鹿神社の屋根の瓦は新しいものに葺き替えられ、きれいになっていた。
 比曽堺へと向かう。途中のあずまやで計測すると0.570μSV/h、2011年10月の時点では1.054μSV/h、2013年5月は0.706μSV/h、2011年と比較し45パーセント、2013年と比較し19パーセントほど減少していることになる。地形的には尾根になるので当初の減少率が大きいと考えられる。登山道を比曽堺下部の峠の森自然公園分岐付近まで来ると、線量計は1.381μSV/hを表示した。
 今日はPA-1000の他にPA-1100も持参した。PA-1100は10秒ごとにスマートフォンにデータを転送し、緯度経度と共に自動的に記録でき、それをPCのメールへ送信しておくと後で確認することができる。便利になったものだ。



 分岐標識のところで計測すると平均値で1.148μSV/hであった。窪地などの地形や植生によって数値は位置が1mずれても変化するのだ。ここは2013年は1.609μSV/h、2011年は2.329μSV/hあった場所だ。ここから比曽堺までは急登となる。15分ほどで今日の目的地である比曽堺に着く。周りは鬱蒼とした広葉樹林で静かな場所だ。
 年度ごとの数値は、2011年が4.379μSV/h、2014年が2.196μSV/h(比曽寄りは2.659μSV/h)であった。下記のグラフは、比曽堺の比曽寄りの箇所のデータをN教授が放射線量を予測してくれたものである。今回の調査で、ほぼ予測図の通りに放射線量が減衰していることがわかった。その予測図からすると50年後の比曽堺のセシウム放射線量は0.44μSV/hになる。年間被ばく線量は3.8mSVになる計算だ。原発事故を起こした結果、そのツケは50年後の世代にも残すことになる。

 表土を剥いで計測をしてみたが、数値はさほど下がらなかった。放射性物質は、すでに表面の腐葉土から地面に浸透したと考えられる。いかに早い時期の除染が必要だったか、現実のものとして見せつけられた感じがした。帰路は花塚台で昼食とし、花塚山には寄らないで花塚の里に戻った。福島に戻る途中、福島市渡利絵馬平の道路脇の除染作業の現場に出合った。絵馬平は福島市内でも大波地区と同じように放射線量の高いエリアだが、原発事故から3年以上も過ぎたいまの時期になって、ようやく道路脇の除染作業が始まったようだ。あまりのスローペースに唖然とするばかりである。(I.I)

空間放射線量
観測地点/特徴
時間
空間線量率(単位:μSv/h)
測定位置高さ100cm
緯度/経度
最大値 最小値 平均値
Data1 花塚の里駐車場/敷砂利
時間 9時31分
0132 0.101 0.118 北緯 37゜39' 05.99"
東経 140゜39' 07.33"
Data2 放鹿神社前/スギ林、壌土
時間 9時45分
0.372 0.303 0.324 北緯 37゜39' 12.60"
東経 140゜39' 21.07"
Data3 あずまや脇/広葉樹林、壌土
時間 10時07分
0.612 0.552 0.570 北緯 37゜39' 24.83"
東経 140゜39' 26.78"
Data4 峠ノ森比曽堺分岐/沢脇、広葉樹、壌土
時間 10時30分
1.205 1.107 1.148 北緯 37゜39' 32.28"
東経 140゜39' 41.86"
Data5 比曽堺/広葉樹林、壌土
時間 10時47分
2.227 2.151 2.196 北緯 37゜39' 31.34"
東経 140゜39' 52.93"
Data6 比曽堺・比曽側/広葉樹林、壌土
時間 11時03分
2.672 2.645 2.659 北緯 37゜39' 31.44"
東経 140゜39' 53.88"
Data7 花塚台脇/広葉樹林、転石の上
時間 11時34分
0.794 0.680 0.716 北緯 37゜39' 21.23"
東経 140゜39' 53.87"
Data8 登山道平坦地/アカマツ林、壌土
時間 11時55分
1.944 1.905 1.920 北緯 37゜39' 17.10"
東経 140゜39' 51.85"
Data9 花塚の里駐車場/敷砂利
時間 12時15分
0.150 0.120 0.134 北緯 37゜39' 05.81"
東経 140゜39' 07.17"
特記 緯度経度はGPSの性能の関係で多少の誤差があります。
放射線測定器 PA-1000(堀場製作所)

行動中の外部被ばく線量は2時間44分で3.342μSv(積算線量・推定)

国土地理院地図(電子国土web)で見る
トラック 登り=赤 下り=青

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