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No.5133
一切経山 1949.1m一等三角点峰
山行種別 無雪期一般
いっさいきょうさん 地形図

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山行期間 2015年6月11日(木)
コースタイム 不動沢橋駐車場(8:12)→不動沢登山口(8:15,8:18)→賽ノ河原(8:55,9:00)→不動沢徒渉点(9:50,10:04)→1523m標高点尾根(10:19)→駱駝山(11:42)→水場(12:25)→休憩(12:42,13:18)→一切経山(13:44,13:55)→大岩(14:40)→硯石(15:10)→慶応吾妻山荘分岐(15:17)→井戸溝(15:34)→山鳥山(15:59)→賽ノ河原(16:09)→不動沢登山口(16:39)→不動沢橋駐車場(16:43)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
不動沢駐車場にあるトイレ 不動沢登山口 沢を渡る
イワカガミ ゴゼンタチバナ ツマトリソウ
賽ノ河原 シモフリ新道は塞がれている 出だしは刈り払いがされている
所々無立木の砂礫地を通る 古い標識がある これも古いプレート
不動沢の左俣の滝 ショウジョウバカマ 一切経山へのラクダの尾根が続く
急なザレ場が続く 駱駝山が見えてきた ラクダ尾根はガレ場の連続となる
吾妻小富士と浄土平が良く見える 今の時期は雪渓も残る 一切経山の一等三角点
広い山頂 一切経山から五色沼を見下ろす 五色沼を挟んで一切経山を見る
大根森 ヤシオツツジ 家形避難小屋との分岐(硯石)
ミツバオウレン 慶応吾妻山荘分岐(入口) 井戸溝の短管橋
サラサドウダン 不動沢登山口に戻る 火山性ガスのため高湯ゲートは17時で閉鎖される

行動記録
 吾妻山の一切経山は昨年12月に火山性地震の増加により小規模な噴火の可能性があるとして、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げられ、山頂南側にある大穴火口から500mの範囲が立入禁止となった。そのため一般的には一切経山に登るには、家形山方面からのコースしかなくなった。今回は、すでに廃道になって久しいシモフリ新道からラクダ尾根を通り一切経山へ登ることにした。目的は新人さんの地図の勉強と放射線量の調査である。それに昨年の新聞でシモフリ新道の刈り払いがされ以前のコースを整備したと報道されたので、コースがどのようになっているのか確認してみたかった。
 スカイラインの高湯温泉側のゲートは狐地獄付近の火山性ガスの発生により夜間通行止めで、通行できるのは7時00分〜17時00分である。高湯温泉側から車で入り、不動沢橋の駐車場から歩き始める。バス停のある不動沢登山口で登山届けを記入し登山道へと入る。すぐに沢を渡る。この沢は徳沢の源頭で、上部には以前の不動沢売店への取水堰がある。また下部には高湯温泉からの登山道の水場である「水飲み場」がある。当然飲み水として使用できる。
 沢を渡り北へと向かうと高湯温泉からの登山道と道を合わせる。この辺りは古い作業道と登山道が交差する複雑な場所だが、登山道以外は藪が被さっているので、間違うことも無いだろうが初めて訪れる人は注意したい。作業道から登山道に入り登って行くとイワカガミやゴゼンタチバナ、ツマトリソウなどが登山道の脇にたくさん咲いている。このコースは四季を通じて50年以上毎年のように歩き続けているが飽きることがない。何度か作業道を横切るが、登山道は真っ直ぐ登って行く。歩き始めて45分ほどで賽ノ河原に着く。今の標識は「賽河原」となっている。ここがシモフリ新道の分岐である。高校生の頃はお金が無く、スカイラインのバスに乗ることなど考えもつかず、浄土平に行くには賽ノ河原からシモフリ新道を通るのが常だった。歩き慣れたはずのシモフリ新道も今では廃道である。
 シモフリ新道の入口は、木の枝がわざと置かれ、一般の登山者が誤って入れないようにしてある。私たちはそれを越えてシモフリ新道に入る。確かに刈り払いがなされ歩きやすかった。しかし刈り払いがされていたのは不動沢までの半分程度で、登山道はネマガリダケが覆うようになる。このコースで肝心なのは不動沢へ下降する斜面と、対岸の取り付き点を見つけること、ラクダ尾根の駱駝山への取付きのネマガリダケの処理である。それらについては手つかずの状態で、まだ一般登山者が立ち入れる状態ではない。
 不動沢への下降に入る。所々に赤布があるもののわかりづらい。足下の踏跡を見逃さないように進む。不動沢左岸が以前と違って浸食されているので踏跡がわかりづらくなっている。対岸に赤布が見える。降り立ったところは不動沢の右俣である。すぐ下で二俣になっているので左俣に渡り、左俣にかかる小滝を確認する。ここが1523m標高点尾根の取付点で道形も残っている。新人さんに現在地確認をしてもらってから休憩を取った。
 1523m標高点尾根へ100mほど高度を上げる。ここは樹林帯なので下草もなく歩きやすい。砂礫地に出たら尾根に乗ったことになる。1523m標高点を左に見て方向を南西へと変える。これから登るラクダの尾根と一切経山が正面に見える。しばらくは地形図の徒歩道の通りに進む。ザレ場の歩きやすい広い尾根を進むと灌木帯に行き当たるが良く確認すると道が見つかる。地形図に記されている駱駝山に向かう道はネマガリダケで遮られ入れない。無理をすれば「日立ラジオ」のラクダ山への標識までは確認できるものの、すでに背丈より高くなったネマガリダケとシャクナゲなどの灌木でその先には進めない。
 不明瞭な分岐を行き過ぎ、狐地獄(浄土平)へと続く登山道跡を進むとガレ場にでる。この下が中ノ沢源頭部の砂防ダムで、スカイラインからも簡単に登ってくることが出来る。東北大震災前の2010年7月と震災後の2011年9月にも調査のため訪れている。ガレ場をトラバースしカレ沢を遡って急斜面に取り付き、眺望の利く1561m標高点の尾根(通称ラクダ尾根)に出る。駱駝山は目の前である。昔のルートは駱駝山の山頂を越えているが、左側(南側)の急なザレ場をトラバースして次のコルに出る。
 次のピークは脆い岩峰でリッジの北側(不動沢側)を下降する。このコースは吾妻山とは思われないようなアルペン的な景観である。脆い岩峰を越すと浄土平と吾妻小富士が眼下に見下ろせる絶好のビューポイントに着く。次に灌木帯が行く手を阻んだら左のカレ沢に入る。今はまだ雪渓が残り水が流れている。雪渓を登ると雪が切れ沢水が飲める。この右側には、大した水量ではないが渇水期でも涸れない水場がある(水場と言うには心細いほどの量だが)。この沢を上部まで登り詰めても良いし、途中から左の尾根筋に乗っても良い。どちらも藪漕ぎなしで稜線へ上がることができる。稜線は低木帯で歩くに支障は無い。急な尾根から緩やかな稜線へ出ると一切経山は近い。一等三角点のある一切経山の山頂には13時44分に着いた。メンバーの一人が途中で足が攣ってしまいラクダ尾根取り付きから3時間ほどかかったが、慣れていると2時間もあれば登ってこられると思う。ただし昔の道形は無く、自分でルートを見つけて登るので一般のハイカーには難儀だろう。同行した熊○さんから言わせるとハイグレードハイキングに含まれるのではとのこと。確かに藪漕ぎと道のない岩稜歩きは、的確なルートファインディングができない登山者は困難を伴う。
 一切経山で放射線量を調査し、下山を開始する。五色沼の脇を通り家形山の裾をトラバースし、廃道になっているガンチャン落としの分岐を通過すると大岩に着く。大岩から大根森の尾根を下る。硯石は家形山避難小屋の分岐点でもある。ここまで来ると慶応山荘の分岐も近い。慶応山荘の大柿さんは今日は下界にいるようだ。山荘には寄らないで下山することにする。水場でもある井戸溝を過ぎも湯の平を通過、山鳥山で再び放射線量を調査する。吾妻山の山中は無立木のザレ場は0.04〜0.08μSV/h、樹林帯に入ると0.14μSV/hぐらいで一定している。原発事故発生当時でもそうは高くはなかったし、経年と共に間違いなく放射線量は低下してきている。賽ノ河原を通り不動沢橋の駐車場に戻ったのは16時43分。高湯ゲートは17時には閉鎖されるが、ここから10分とかからないので充分間に合いそうだ。
 磐梯吾妻スカイラインは、火山性ガスのために夜間通行止めが続きゲートは17時に閉鎖される。朝は7時からしか通行できないのでゆっくり山を歩くこともできない。鎌沼の散策程度なら別だが、県外からの登山者も含め、まず訪れる登山者は少ない。スカイラインが無くても昔のように高湯温泉から登れば良いだけのことだし、山はオーバーユースにならなくて良いかもしれない。ついでにスカイライン建設に伴って破壊された浄土平湿原も以前の状態に戻してもらおうかな。原発事故の後始末と同じように一度壊した自然はもう二度とは戻らないのである。自分も含めて、人間ってつくづく学習能力のない動物だと思う。(I.I)

空間放射線量
観測地点/特徴
時間
空間線量率(単位:μSv/h)
測定位置高さ100cm
緯度/経度
最大値 最小値 平均値
Data1 不動沢橋駐車場/アスファルト
時間 8時10分
0.082 0.072 0.079 北緯 37゜44' 57.81"
東経 140゜16' 59.08"
Data2 登山道・高湯温泉分岐/混交林
時間 8時23分
0.146 0.134 0.142 北緯 37゜45' 06.15"
東経 140゜17' 00.47"
Data3 賽ノ河原/混交林
時間 8時55分
0.127 0.112 0.122 北緯 37゜45' 06.57"
東経 140゜16' 27.95"
Data4 不動沢徒渉点/混交林
時間 9時59分
0.141 0.126 0.135 北緯 37゜44' 38.38"
東経 140゜15' 58.23"
Data5 1523m標高点尾根/砂礫地
時間 10時19分
0.062 0.058 0.060 北緯 37゜44' 32.86"
東経 140゜16' 05.61"
Data6 一切経山/砂礫地
時間 13時49分
0.042 0.039 0.041 北緯 37゜44' 07.16"
東経 140゜14' 39.58"
Data7 五色沼脇・遭難慰霊碑/砂礫地
時間 14時28分
0.080 0.071 0.076 北緯 37゜44' 32.05"
東経 140゜14' 27.45"
Data8 大岩/砂礫地
時間 14時40分
0.052 0.047 0.049 北緯 37゜44' 36.05"
東経 140゜14' 39.47"
Data9 大根森/砂礫地
時間 14時56分
0.048 0.044 0.046 北緯 37゜44' 46.21"
東経 140゜14' 50.43"
Data10 慶応吾妻山荘分岐/混交林
時間 15時17分
0.091 0.080 0.085 北緯 37゜44' 55.10""
東経 140゜15 11.67"
Data11 井戸溝/混交林(アカマツ、オオシラビソ)
時間 15時34分
0.083 0.079 0.081 北緯 37゜45' 01.01"
東経 140゜15' 33.79"
Data12 山鳥山/混交林(アカマツ、オオシラビソ他)
時間 15時59分
0.142 0.127 0.135 北緯 37゜45' 10.21"
東経 140゜16' 12.63"
特記 緯度経度はGPSの性能の関係で多少の誤差があります。
放射線測定器 PA-1100(堀場製作所)

調査中の行動時間 7時間49分、積算線量 0.596μSv

概念図

トラック 登り=赤 下り=青

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