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No.5588
朝日連峰縦走 大朝日岳 1870.7m二等三角点峰
山行種別 無雪期一般
あさひれんぽうじゅうそう 地形図

トップハイキング>朝日連峰縦走(ワンディ)

山行期間 2017年7月2日(日)
コースタイム
朝日鉱泉(2:58)→上倉山(4:28)→御影森山(5:45)→平岩山(6:56)→大朝日岳(7:45)→西朝日岳(8:55)→竜門山(9:30,9:46)→寒江山(10:40)→北寒江山(10:58)→三方境(11:04)→狐穴小屋(11:22,11:37)→中先峰(12:05)→以東岳(13:06)→オツボ峰(13:44)→大鳥小屋(15:07)→泡滝ダム(17:21)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
2時58分にスタートする 吊り橋を渡る 上倉山を通過し樹林帯を行く
ヒメサユリが結構咲いている ゴゼンタチバナ ハクサンシャクナゲ
6時56分、平岩山を通過する ウスユキソウ 大朝日岳山頂
大朝日小屋で3回目のカロリー補給 雪渓が現れる ショウジョウバカマ
西朝日岳 日暮沢分岐で情報交換
竜門小屋の水場 狐穴小屋 狐穴小屋の水場
アオノツガザクラ ヒメサユリが目を楽しませてくれる 大鳥小屋
吊り橋を渡ると登山口も近い 泡滝ダム 大鳥登山口の駐車場

行動記録
 地元東北の山で飯豊連峰と朝日連峰のワンデイ縦走を以前より考えていたが、縦走後の戻り足が結構厄介なこともあり、なかなか実行できないでいた。昨年は山友のM崎さんに飯豊連峰のワンデイ縦走を声掛けしたところ一緒にやることになったが、結局日程が合わず断念してしまった。しかし、M崎さんは8月11日の山の日に単独で飯豊連峰ワンデイ縦走を成し遂げてしまった。戻り足にはタクシーと電車を利用し翌日には北アルプスへ向かったという、とんでもないスーパー健脚な人なのである。今年は朝日連峰のワンデイ縦走を誘ったところすぐに乗ってくれた。彼も朝日を考えていたらしい。梅雨なので天気が心配だが、当面お互いの日程が合う7月2日を実行日とした。ところが予報はころころと変わり、前日になると前線が北上して悪い方に変わってきたではないか。しかし、それほどの降雨は無いようなので決行することにした。朝日連峰の縦走というと朝日鉱泉と泡滝ダム間とする場合が多い。自分としては祝瓶山も入れて縦走したいところだが、距離と標高差が大きくなりワンデイ縦走ではかなりハードルが高くなる。トレイルランニングスタイルでなら縦走できるだろうが、歩きの登山スタイルではかなり厳しい。そんなわけで朝日鉱泉からとしたが、中ツル尾根ではなく御影森山を経由して平岩山そして大朝日岳と縦走することにした。車については前日にM崎さんと合流して車を交換し、それぞれが登山口へと向かうことにした。自分は朝日鉱泉から、M崎さんは泡滝ダムから登って途中でキーを交換し、下山後はそのまま各自帰宅する。相手の車に残した若干の荷物は後日交換することになる。縦走中は要所要所で現在地をメールし、お互いの進行状況を把握することにした。
 2時30分、起床。昨夜からずっと雨が降っていて、時折強くなり車の屋根をたたく音がうるさかった。おまけに稲妻まで光りやや睡眠不足だ。雨の暗闇を歩くのは気分が乗らないが、カッパを着て準備をするとそんな気持ちもどこかへ行った。2時58分、ヘッデンを付けてスタート。幸い雨はほとんど止んでいた。朝日鉱泉の前を通って吊り橋を渡ると、ライトに照らされた朝日川は濁流となって流れている。分岐で中ツル尾根ルートと分かれて左へ。再び朝日川に架かる吊り橋を渡る。尾根に取り付くとやがて急登となる。水場の上倉水で1回目のカロリー補給。
 4時28分、ほぼ予定通りに上倉山を通過。既に明るくなっているが曇っているので日は差さない。標高を上げていくとさらにガスの中へ。樹林帯を抜けると花が目に付くようになる。マイヅルソウやゴゼンタチバナなど。御影森山まではヒメサユリが結構多い。5時45分、御影森山で2回目のカロリー補給。ここからは大朝日岳を見ながらの縦走と行きたいところだが、残念ながらガスで何も見えない。ゴゼンタチバナ、ハクサンシャクナゲなど花々が癒してくれる。6時56分、平岩山通過。風が強くなり大朝日岳に向かっていくとさらに強くなる。チングルマはほとんど花びらが吹き飛ばされていた。体重の重い自分でも、時折よろめき風をやり過ごすほどだ。
 7時45分、朝日連峰の最高峰、大朝日岳に到着したが風が強いので留まっていられずすぐ下る。大朝日小屋の中に入って少しゆっくりと3回目のカロリー補給。小屋は天候のせいなのか誰もいなかった。8時16分、雪渓が現れる。斜度があるのでスリップしたらどこまでも落ちてしまいそうだ。ブッシュ伝いに慎重に通過。次の雪渓は比較的斜度が緩かった。8時55分、西朝日岳通過。M崎さんからポイント通過ごとにメールが入ってくるが、こちらよりかなり早いペースだ。M崎さんの速さは最初から想定済みで、そのためスタート時間を自分より1時間後の午前4時にしていた。それでもこのままでは計画よりかなり手前でスライドしそうだ。
 9時30分、竜門山通過。日暮沢口への分岐を見て少し進んだところで、目の前にM崎さんが突然のように現れぶつかりそうになった。やはり想定よりかなり速い。自分も驚いたがM崎さんは自分以上だったようで、そのリアクションが可笑しかった。分岐まで戻って車のキーと情報を交換し、4回目のカロリー補給もする。M崎さんによるとここは走りやすいとのこと。体力も余裕十分の様なので、この先も走っていくのだろう。こちらはマイペースで歩きとおすことにしよう。お互いの健闘を祈って先へと進む。竜門小屋を過ぎて雪渓が現れたが問題なし。寒江山、北寒江山、三方境と順調に進む。途中で竜門小屋の管理人さんと思しき男性と、狐穴小屋から来たという男性とスライドした。
 11時:22分、狐穴小屋に到着。ガスと雪渓に惑わされて小屋を過ぎてしまい、戻ったので少し時間をロスした。小屋前の水場にあったビールにそそられる。小屋に入ると2階にいた管理人さんに声をかけて休ませてもらう。5回目のカロリー補給。13時:06分、以東岳到着。大朝日岳ほどではないが風が強い。再建中だという以東小屋を確認したかったがガスで見えず。オツボ峰方向へと進む。他では見なかったアオノツガザクラが咲いていた。徐々にガスが薄れてきて視界が得られるようになってきた。
 三角峰のトラバース道ではヒメサユリが目を楽しませてくれる。三角峰の下で雪渓が現れたが特に問題なし。やがて大鳥池と大鳥小屋が見えると一気に下ってゆく。疲れてきたのかペースが今ひとつ上がらない。15時07分、大鳥小屋到着。釣り師の利用が多いという大鳥小屋を覗いてみたが無人だった。登山口までもう少しと思いたいところだが、実はここからが結構長くて登山口までは6キロほどある。九十九折りの道を下って赤川沿いに歩いていく。何か所か水場があるので水には困らない。先が見えてきたこともあり、ウドの柔らかいところを採ったり道草を食いながら歩いた。
 17時21分、泡滝ダムに到着。駐車場にあるのは自分の車だけだった。結局、大鳥小屋からは2時間14分と、標準コースタイムと大して変わらない時間がかかった。いずれにしても無事歩きとおせたのでホッとした。充実感というよりは宿題をやっと終わらせた気分に近い。(K.Ku)

※以下はあくまでも個人の感想と考えであり、当日の状況の一部を記録したものに過ぎません。同様の縦走を実行しようとする場合は、最新の情報を収集し天候と体調などを見極めて判断されるようお願いします。
【 感想&覚え書き 】
(1) 縦走の合計タイムは自分が14時間23分、M崎さんが10時間36分だった。計画では自分が14時間、M崎さんが13時間としていたので、自分は少し時間オーバーだった。計画よりかなり早着したM崎さんは、最初から走る気満々だったらしい。格好もトレランシューズに短パンとタイツだ。自分は一般登山スタイルで、ただ足元だけが足袋風の靴で少々変わっているくらいだ。後半はペースが落ちてしまい、以東岳〜泡滝ダム間の下りに4時間13分もかかってしまった。しかし、M崎さんは泡滝ダム〜以東岳間を登っているのに3時間15分だ。M崎さんのような足があれば、ワンデイでもより遠くへ行くことが出来ると思うと羨ましい。
(2) ガスのため視界が奪われて歩きに集中できたのだが、やはり稜線からの眺めが無かったのは残念。晴れていれば撮影でも時間が取られただろう。それでもポイント毎と花だけで180枚ほどになった。風は強く特に平岩山から大朝日岳では15m以上に感じられ、時々歩みを止めて風をやり過ごすこともあった。その他の稜線では以東岳などで強かったが、それほど支障にはならなかった。ガスで濡れはしたが雨は殆ど降らなかった。暑さはまったく感じず寒くもなく、その点では体力消耗が抑えられ良かったと言える。こんな天候ということもあり、縦走中に見かけたのは竜門小屋の管理人と思われる人と狐穴小屋から下山中の2人だけで、その他には狐穴小屋に管理人さんがいただけだった。
(3) 雪渓の上を歩くことはほぼないだろうと考えていたが、実際には中岳〜西朝日岳の間に2か所、狐穴小屋周辺及びオツボ峰を過ぎて三角峰下の計4か所に雪渓が残っていた。アイゼンは持っていかなかったので、雪渓の斜度がある1か所は上部をブッシュ伝いに巻いたが、その他の雪渓はそのまま歩くことが出来た。斜度のある雪渓のトラバースは軽アイゼン程度ではかえって危険なので、自分としては巻いたほうが良いと考えている。
(4) 登山において体力・脚力はすべてではないが、その山行を成し遂げる場合にかなり大きな部分を占めるだろう。体力・脚力があればそれをベースに「自分の山」の範囲を広げることが出来る。ある程度の体力・脚力の上に技術や経験を積み重ねることが必要と思える。大事なのは「自分の山」をやることであって、結果として速さや遠さ高さが伴ってくるのではないだろうか。純粋に速さ遠さ高さを目指す時期もあるとは思うが、人には限界があり年も重ねていく。
(5) これで飯豊連峰のワンデイ縦走が視野に入ったかというとそうではない。自分の現在の体力が見極められれば、よりシビアな判断と計画ができる。トライしたいとは思うが標高差も距離もより大きな飯豊連峰は、トレランではなく登山の範疇として取り組む自分にとってほぼワンデイの限界となるだろう。ちょっと油断するとすぐ80キロオーバーとなる自分の体重管理が最大の難関だ。体重は持久力と足と膝の負担に大きな影響がある。
(6) カロリー補給
パン 1個140キロカロリー × 8個
カロリージェル 180キロカロリー × 5個
タブレット(塩分・クエン酸・糖分) 20個
90分程度の間隔でパン1個とカローリージェル1個を補給した。固形物は疲れてくると呑み込めなくなってくるので、カロリージェルなど流動食は非常に有効と思える。今回の山行での消費カロリーは8,000〜10,000キロカロリー(計算式によって違う)と考えられる。消費カロリーの7割程度の補給が必要と言われるが、今回持参した2,000キロカロリー程度では全く足りないということになる。不足分は体内の糖分や脂肪分はては筋肉が分解されてエネルギー源となっているのだろう。
(7) リスク管理
何らかの事情により歩行の継続が困難な状態になっても、避難小屋に逃げ込めればしばらくは何とかしのげる。常に自分と避難小屋の位置関係を意識しておくことが必要だろう。稜線上では携帯の通じるところと通じない(通じにくい)ところがあるので要注意だ。M崎さんは自分の位置情報をスマホで送るシステムを使っていた。山仲間に1分間隔でデータを送るのでバッテリーを消耗するので予備バッテリーを持っていた。下界で進行状況をほぼリアルタイムでモニターしているので、電波が通じるところでは非常に有効なツールといえる。ただし、こういったものを使う使わないは個人の考え方や好みにもよるだろう。
(8)水場
朝日連峰の縦走路には水場が多いので水に困ることは少ない。しかし、今回のように雪渓の下で利用できなかったり、補給し忘れたりすることもあるので、水場があったら残量を確認し補充するようにしたい。今回は涼しかったので2リットル程度しか飲まなかったが、暑ければ5リットル消費することも考えられる。
弘法水 登山道脇で利用可
上倉水 登山道脇で利用可
大沢峰水場 雪渓下で利用不可
金玉水 雪渓下で利用不可
竜門小屋 小屋近くに引いてあり利用可
狐穴小屋 小屋前に引いてあり利用可
三角峰コル水場 未確認
大鳥小屋 キャンプ場水場が利用可
大鳥小屋〜大鳥登山口 数か所ありいずれも利用可

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