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No.5599
南ア・北岳バットレス 北岳 3192.5m三等三角点峰
山行種別 無雪期一般
みなみあるぷす・きただけばっとれす 地形図

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山行期間 2017年7月14日(金)〜17日(月)
コースタイム
7月14日
 道の駅国見(19:30)=道の駅しらね(0:30)=芦安温泉第5駐車場(1:45)
7月15日
 第5駐車場(4:50)=広河原(6:20)→白根御池小屋(8:22,9:55)→大樺沢二俣(10:15)→Dガリー大滝下(11:55,13:00)→白根御池小屋(14:30)
7月16日
 白根御池小屋(2:04)→Dガリー大滝下(3:45)→第5尾根支稜取り付き(4:30,4:40)→第4尾根主稜取り付き(6:40)→三角垂壁(8:40)→マッチ箱(9:30)→枯れ木テラス(11:30)→城塞チムニー(11:55)→北岳山頂(13:15,13:35)→肩の小屋(14:04)→白根御池小屋(15:33)
7月17日
 白根御池小屋(6:33)→広河原(7:56)=第5駐車場(9:07)
7月15日(土)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
第5駐車場から歩く 芦安から広河原行きのバスに乗る 広河原の南アルプス林道ゲート
あれが北岳だ 広河原山荘 樹林の中を登っていく
白根御池小屋に到着 大樺沢二俣 雪渓を登る
岩壁が近づいてくる(右手の沢がヒドンガリー?) 右がバットレス沢?左の水流のある沢はC沢というらしい 下部岩壁が迫る(第4尾根主稜はさらに上で見えない)
左が第5尾根支稜とDガリー大滝 第5尾根支稜に取り付いたパーティー Dガリー大滝を偵察するK樹さん
戻るとテント村になっていた T中さん作成の天気図
行動記録
 この頃、仕事のせいか加齢のせいか何なのかモチベーションが今ひとつで、山行計画を立てるのが億劫になっている。7月の3連休もぐずぐずしているうちに5日前の月曜日になってしまった。遠出せずに福島県で1泊の沢登りでもするかと思ったがパートナーは必要。久しぶりにK樹さんにお誘いメールしてみた。返信が「北岳バットレスに行くつもりだが今のところ単独。興味ない?」とのこと。北岳バットレスといえば、私でも知っているほど名の知れたクラシックルートだ。しかし、自分は普段沢登りばかりでクライミングはほとんどやっていない。沢登りでは滝も登るし岩も登るが、それはクライミングとはいえない。とはいえ、以前から北岳バットレスはいつか登ってみたい(まだ北岳どころか南アルプス自体行ったことが無いが)という思いはあった。しかし、思いだけでは登れないし、58歳という自分の年齢を考えるとあまり猶予はない。準備不足は明らかだが、この機会を逃すとなかなか次の機会はやってきそうにない。思い切ってトライすることにした。K樹さんとなら大丈夫だろうという読みもあった。出発は金曜日の夕方なので、バタバタと準備して会に計画書を提出した。期待半分不安半分と言いたいが、ルートの事前学習がほとんどできなかったこともあり不安100%だ。K樹さん頼みで2人パーティーの覚悟を決めていたところ、14日朝になってT中さんも参加することになったとのメールが入った。T中さんは自分と同年代だが、北岳バットレスをなんと40年前の青年時代に登ったのだという。しかも、現在群馬在住で現地情報にも明るく、これで少しは心強くなった気がする。さあ行こうシニア3人組での北岳バットレス!
 14日、K樹さんと待ち合わせて高速に乗ったのは午後8時近かった。南アルプス市の道の駅しらねでT中さんと合流し、芦安温泉に到着したが3連休とあって既に駐車場が満車で驚く。バス乗車には第2駐車場が便利とは聞いていたが、まったく無理である。結局第5駐車場まで下がって停めることになったが、深夜というのに続々と車がやってくる。さすが北岳である。軽く入山祝いをし、やっと午前2時過ぎに車のシートで横になった。
 2時間ばかりの仮眠で午前4時過ぎに目を覚ます。山梨交通のバス乗り場まで移動してバス(1,130円)に乗った。乗合タクシーもあるのだが、既に全部出てしまったとのこと。満員のバスに約1時間揺られて午前6時20分頃広河原に到着。歩き出すとすぐ北岳が見えてくる。初めて眺める北岳だ。思ったより近いという印象を受ける。野呂川の吊り橋を渡り、広河原山荘を経由して登山道を登り始める。前後にぞろぞろと登山者の多いこと。普段は東北の山ばかりの自分にとっては驚くばかりだ。それでも大樺沢と白根御池への分岐で二手に別れ、さらに急登になってくるとバラけてくる。速いK樹さんは見えなくなってしまい、T中さんはといえば後方でマイペースなのでこれまた見えない。白根御池小屋に到着して3人そろうとテント(1人1日500円)を設営。到着が早かったせいかテントまだ数えるほどしか張られていない。
 2人はサブザックにして、自分はザックを軽くして下見に出発。K樹さんも北岳は初めてであり雪渓も残っているだろうこと、明日は暗いうちから行動する予定ということ、そのため岩壁への取り付きを確認しておく必要があるのだ。20分ほど歩くと大樺沢二俣に出合い、そこからは雪渓の上を歩くのでアイゼンを装着する。上にも下にも大勢の登山者が登っている。ここは大樺沢の左俣コースで、稜線の八本歯のコルへと登っていくルートだ。バットレスの岩壁が近づいてきたが、最初はどれが第4尾根なのかさっぱり分からなかった。ルート図を見ている他の2人の話を聞いているうちに、なんとなく分かってきたという始末。その他にもDガリーとかピラミッドフェースとかどこのことやらだ。岩壁を見ていると壁(Bガリー?)に取り付いている2人のクライマーが小さく見えた。えっあんなところを登るのかと思ったが、我々のルートは違うらしい。K樹さんが先行してバットレスへの取り付き点へのルートを探す。最初右手の水流のある沢沿い(C沢)に登ったが違う様で、トラバースして探しているうちに灌木のある小尾根(C沢D沢中間尾根)で取り付きへの踏み跡を見つけることができた。
 踏み跡を登っていくと、そびえる岩壁が迫りその下に雪渓が残っている。仰ぎ見る明瞭な尾根が第4尾根主稜で、取り付きの岩壁は下部岩壁というらしい。我々は下部岩壁左手の第5尾根支稜かDガリー大滝から取り付くことになるようだ。そこが一番易しいということらしい。我々以外にも既に数パーティーが下見または登攀中のようだ。アイゼンを付けて雪渓を登り上部を偵察する。Dガリーも登れそうだが、岩壁との間は深いシュルンドとなっていて取り付くのは困難。2人パーティーが左手の第5尾根支稜に取り付いていたので、左に寄ってみると雪渓から飛び降りられそうな箇所がある。思い切ってやってみるとそう難しくはなかった。観察の結果、明日は落石が集まりやすいDガリーでなく、第5尾根支稜から登ることにした。下見を終えて雪渓を下っていると途中でスリップしてしまった。沢登りハンマーの短いピックでは止まらず、ズルズルと滑っていくと下にいたK樹さんが体で止めてくれた。油断大敵、注意一秒怪我一生だ。
 白根御池小屋に戻ってみると大テント村になっていてビックリ。80張り以上ありそうでギュウギュウ詰めである。えっと思うような狭いところにまで張ってある。ザックを降ろして装備を解き、外のテーブルに陣取るとまずはビールで乾杯。小屋では生ビールにつまみやソフトクリームまで売っているし、自販機もあるので下界と変わらない。4時のラジオで天気図を書いていたT中さんによると、明日はまずまずの天気のようだという。テーブルで賑やかに談笑していると2名の紳士が相席を願ってきた。話してみるとその2人は仙台とのことで、このブログを見ているというので本人ですと言ったら大いに盛り上がった。明日は早いし寝不足なので、まだ明るいが早々とテントに潜り込んだ。
※この記録はルート図や様々な記録で確認しながら作成しましたが、記載内容(特に名称等)が間違っている場合はご指摘いただければ幸いです。

7月16日(日)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
ヘッデンで雪渓を登る C沢D沢中間尾根を登る 明るくなり行動開始
第5尾根支稜取りつきで順番待ち 第5尾根支稜登攀開始 2ピッチ目(早くも後続のパーティーが迫っている)
Dガリー大滝上部の登攀 ピラミッドフェースの横断バンドをトラバース(かなり怖い) ピラミッドフェース登攀中のパーティー
潅木のある岩場を登る 凹角を登る 小テラスに出てリッジを登る
第4尾根主稜の取り付き点 富士山が見える 第4尾根主稜を登り始める
比較的易しいスラブの登攀 かなり高度感が出てきた 右に回り込む
ロープを伸ばすK樹さん 白い岩のクラックと呼ばれるところ 三角形の垂壁
左上に城塞チムニーが見える Dガリー奥壁を登攀中のパーティー ホバリング中のレスキューヘリ
マッチ箱からいったん懸垂下降する マッチ箱の下を登る やっと我々の順番が来た
枯れ木テラスは渋滞中 リッジをトラバースして城塞チムニーへ 城塞チムニー下から見るマッチ箱
第4尾根主稜の終了点 稜線にはガスがかかってきた 明瞭な踏み跡を辿る
花を見ながら下山 白根御池小屋に帰着 翌日、白根御池小屋を後にする
行動記録
マッチ箱のコルを懸垂下降中の他パーティー
 午前1時半に起床。まずまずよく眠れた。北岳バットレスではパーティーが多い場合に順番待ちの渋滞が発生し、後ろの方にいるとかなり時間がかかってしまうことがあるという。知っている山岳会では、北岳バットレスの登攀中に暗くなり、登りきることができなくなってビバークしたということも聞いた。我々シニアはそんなことは御免だし、朝早いのは年齢的に得意?なので早出することにしたのだ。支度をして午前2時過ぎに出発。我々が一番かと思ったが、同じテン場にいた男女2人パーティーに先を越された。ヘッデンを付けてテント村を抜け登山道を歩く。大樺沢二俣でアイゼンを装着して雪渓を登る。先行する2人パーティーはアイゼンなしでスタスタ登っていった。途中で振り返ると、後続パーティーのヘッデンの明かりがいくつも見える。続々と登ってきたようだ。C沢D沢中間尾根を見つけて踏み跡を辿る。昨日下見をしていなければこうスムーズにはいかない。午前4時前に雪渓下まで来たが辺りはまだ暗い。午前4時過ぎには行動可能と思っていたのだが、ここは東北よりずっと西だということを考えていなかった。ハーネスを付けて明るくなるのを待っているうちにも、下から何パーティーも登ってくるのが見える。ところが全部がこちらに登ってくるわけではなく、右に左に適当にばらけていく。第4尾根主稜の下部岩壁は様々なルートがあるということで、先行パーティーが詰まっていると見るや、ルートを変更するということもあるそうだ。ただし、いずれにしても上部で第4尾根主稜に集中することにはなる。
 午前4時20分頃、やっと明るくなったので行動開始。雪渓をロープを伸ばしてトラバースし、昨日確認した第5尾根支稜の取り付き点まで移動する。K樹さんと自分はアプローチシューズからクライミングシューズに履き替えた。T中さんは40年前と同じスタイルで登山靴で登るのだという。K樹さんから今日はリードとセカンドが交代するつるべ方式ではなく、基本的にK樹さんがリードして登るとの説明があった。セカンドはT中さんと自分がそれぞれダブルロープの1本を結び、前後に少し差をつけて同時に登るのだという。シングルロープの変形バージョンということになる。時間短縮のためでもあり、リードする自信のなかった自分がホッとしたのは言うまでもない。先行の2人パーティーが登り始めたところなので、少し待ってから我々も登り始める。最初のピッチは難しくない。下部岩壁の取り付きとしてはおそらくここが一番易しいところなのだろう。K樹さんがするすると登って残置支点で確保し、コールを受けて2人が続く。続いて2ピッチ目に入っていると、早くも別ルートで登ってきたパーティーが追いついてきた。3ピッチ目はDガリー大滝の上部を登るが、ロープなしでも登れる程度だ。テラスに出て右上を見上げるとピラミッドフェースを登っているパーティーがいる。その下で我々は右へやや下りのバンドを横断し、回り込んでから第4尾根に取り付くとのこと。この横断バンドの中間部は崩壊跡で、細い踏み跡はやや外傾しているのでかなり怖い。浮石が多く下にパーティーがいるかもしれないと思うと、細心の注意で足を運ぶ。
 無事トラバースして回り込み、潅木のあるところまで来るとホッとする。後続のパーティーが来て踏み跡を先へと進んでいった。踏み跡はさらに先へ伸びていて、下方に一部が見えているC沢上部のCガリー大滝からのルートと交わるらしいが、我々はここから直上するという。第4尾根主稜の取り付きはまだ上であり、ここは下部岩壁の上部というのか第4尾根下部というのか、いろんな記録を見ても今ひとつ呼び方が不明な場所のようだ。若者2人パーティーが来たのでお先にどうぞと言うとフリーで登っていった。我々は右手の灌木のある岩場をルートに選ぶ。こちらのほうが沢屋にとっては馴染みがあって落ち着く感じがする。自分はどうも凸角が苦手で、岩に挟まれるような凹角が好きというか安心できる。灌木があるのでフリーでも登れそうとはいえロープを伸ばす。灌木帯から小テラスに出ると、露岩のリッジ状をさらに登り大テラスに到達。ここがやっと第4尾根主稜の取り付き点になるらしい。左手には富士山がくっきりと見えている。結局この第4尾根下部だけで4ピッチだったのか5ピッチだったのか、必死なので記憶があいまいだ。今日登り始めたパーティーの中では、第4尾根主稜取り付き点にトップで到達したのは我々のようだが、すぐ数パーティーが下から迫ってきた。時間には余裕があるので、休憩を兼ねて先に1パーティー先行してもらうことにした。
 さて我々の番だ。皆が同じところを踏むのだろう岩角は、滑らかにすり減っていてテラスから離陸するのがちょっと難しく思えた。しかし、K樹さんは右の広いクラックを利用して苦も無く登っていく。自分も何とか登ったが、T中さんは苦労しているようで2回ほどロープがぴんと張った後にやっと登ってきた。登山靴が滑って取り付けず、何度か落ちたので後続パーティーのアブミを借りて登ってきたのだという。我々はアブミを持ってこなかったのだ。この先も登山靴では厳しいだろうと、K樹さんのアプローチシューズを借りることにした。比較的易しいスラブに1ピッチ伸ばし、肩がらみの確保で右上して回り込むと白っぽい岩(通称:白い岩のクラック)の下に出た。白っぽい岩の登攀は高度感はあるが比較的易しい。三角形の垂壁下のテラスに出たが、2パーティーが追いついてきたので先に登ってもらうことにする。東北人は控えめなのだ。左のスラブはDガリー奥壁と呼ばれるスラブだろう。数パーティーが登っていて、よくぞあんなところを登るものだと思う。とはいえ、目指すところは彼らも我々も同じで、左上に見える四角い壁のような岩のようだ。中央部の溝を登っているパーティーが見える。城塞チムニーと呼ぶらしいが、なるほどまさに城塞という感じである。そのうち眼下にヘリコプターがやってきた。C沢の上と思われる辺りでホバリングして明らかにレスキューのようである。そのうち要救助者を吊り上げて飛んで行った(雪渓で滑落して怪我をした人がいたと後で聞いた)。
 三角垂壁は自分にとってかなり難しく思えたが、クライミングシューズのお陰で何とか登れた。靴を履き替えたT中さんも大丈夫。そのまま登っていくとマッチ箱と呼ばれる岩の先端だ。2人でいっぱいの狭い先端は高度感が半端ない。ここから残置支点で15mほどの懸垂下降をしてスラブの途中に降りる。各ルートから登ってきたパーティーが上にも下にも横にも見える範囲で10パーティーはいそうだ。こうなると賑やかを通り越して渋滞が心配になってくる。上には何パーティーかいるので登ることができず順番待ちとなる。しかし、そうしているうちにも半ば強引に懸垂下降してくる人もいる。見ると60代後半かと思える年配の方で、ガイド2人と客が3人のガイドパーティーのようだ。順番が来たのでK樹さんがマッチ箱下L角のクラック沿いに登りリッジでピッチを切る。T中さんと自分が登り、上に見える枯れ木テラスというところへK樹さんがロープを伸ばすが、上のパーティーが詰まっているのでしばらく待機となった。T中さんと2人でリッジ上で待っていると、先ほどのガイド氏が我々の横を抜けてロープを伸ばしていった。あれれと思っていると後から5人が登ってきた。勝手がわからぬ自分はそういうものなのかと驚くやら感心するやら。結局K樹さんも追い越されたようだ。支点が空くのを待って枯れ木テラスというところに到達したが、マッチ箱の懸垂下降から1時間半ほどもかかってしまった。枯れ木テラスは2010年に崩壊した所で、今は猫の額ほどの面積しかない。横に見える城塞チムニーへは、クラックを跨いでリッジを左にロープを伸ばしてトラバースする。崩壊によりリッジの裏側はスパッと切れ落ちていて、距離は短いがかなり緊張する。城塞チムニー下で残置にセルフビレイしてひと息つくが、もう次のパーティーがやってきた。城塞チムニーでは、ガイドパーティーの客がなかなか登れずもがいていた。結局下からガイドがショルダーで押し上げて登っていった。チムニーが空いて我々の番となったが、K樹さんは別として自分とT中さんは案の定手こずる。待っているパーティーも気になり、結局2人とも支点のヌンチャクを掴んで登った。城塞チムニーの上に出ると、それまでとは違った穏やかな傾斜の斜面になる。ここが第4尾根主稜の終了点のようだ。もうロープはいらないが、そのまま少し登った平場でザックを降ろし装備を解いた。見上げる稜線にはガスがかかり始めてきた。
 稜線の登山道までは明瞭な踏み跡があり、お花畑の中をゆっくりと登っていく。20分ほどで登山道に出ると、稜線の反対側はガスで真っ白だった。そこから少し歩くと山頂である。ガスで眺めはないが大勢の登山者でにぎわっている。初めての北岳でもあり、少し休憩を兼ねてゆっくりする。ここでは偶然知り合いの夫妻がいて、お互いにびっくり。旧交を温めてから下山にかかる。肩の小屋に近づいたあたりからガスの下に出たので、眺めが得られるようになる。草すべりのお花畑を見ながら下り、白根御池小屋には14.30到着。12時間以上の行動時間となったが、シニア3人組としてはまずまず上出来かなと思う。これもK樹さんのお陰であることは言うまでもない。昨日と同じテーブルで祝杯を上げる。余韻に浸りながらのビールは格別の味がする。寝不足なので早めにテントに入る。呑んで声高に会話するパーティーの声が響いていたが、疲れていた自分は気にもならず眠りに落ちた。午後9時半近くにガチャガチャと音がして目を覚ますと、「戻ったぞー」と言いながら仲間のテントに帰ってきた輩がいる。バットレスパーティーだろう。順番が後ろの方になるとこういうこともあるらしい。夜中にまた目を覚ますとテントを雨が叩いていた。

17日(月)
 今日は下山するだけなので午前5時ころゆっくり起きる。昨夜の雨は大したことなかったようで、テントの撤収には支障なし。次々と下山するパーティーが出ていく。我々も出発しゆっくり歩いていると、後ろから昨日小屋をトップで出発した男女パーティーが抜いていく。どうも行動パターンが同じようで、昨日の登攀中もそうだが、いちいち一緒になってしまう。広河原発8時のバスに乗ろうとしたが、乗り合いタクシーなら駐車場まで送ってもらえるとのことでタクシー(1,200円)にする。第5駐車場に着いてみるとガラガラになっていた。隣の金山沢温泉(850円)で3日間の汗を流す。一般道を秩父経由で関越道、北関東道、東北道と走り継ぎ夕方に帰宅した。
 北岳バットレスでは良い経験をさせて頂いたと言いたいが、正直なところ結構いっぱいいっぱいで余裕なんてものはなく、あまり周囲を見ることができなかったというのが現実。さすが名の知れたクラシックルートで7月の3連休ともなればパーティーの多さは当然なのだろう。それにしてもこんな経験のない自分は、パーティー数の多さと交錯には戸惑うばかりだった。今考えればもっとルートを詳細に確認し記録したかったと思う。しかし、後続パーティーのプレッシャーもありそれは難しかった。とはいえ天気に恵まれたこともあり、富士山を眺めながらのクライミングは爽快のひと言。またやってみたいかと問われればイエスだ。こんな機会を作ってくれたK樹さんとT中さんありがとう。(K.Ku)


ルート 登り=赤 下り=青


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