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No.6180
北アルプス・槍ヶ岳
山行種別  無雪期一般
きたあるぷす・やりがだけ 地形図

トップハイキング>北アルプス・槍ヶ岳〜奥穂高岳

山行期間 2019年9月25日(水)〜27日(金)
コースタイム 9月25日
沢渡(5:01)=タクシー=上高地(5:19〜5:35)→横尾(8:07,8:20)→槍沢ロッジ(9:46)→大曲(10:58)→天狗原分岐(12:02)→槍ヶ岳山荘(15:05)→槍ヶ岳(15:47)→槍ヶ岳山荘(16:28)
8月26日
槍ヶ岳山荘(5:58)→南岳(7:50,8:15)→長谷川ピーク(9:24)→北穂高岳(11:02,11:35)→涸沢岳(13:26,13:47)→穂高岳山荘(14:05)
9月27日
穂高岳山荘(5:35)→奥穂高岳(6:11,6:43)→紀美子平(7:53,8:01)→岳沢小屋(9:54,10:18)→上高地(12:04〜12:30)=タクシー=沢渡(13:07)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
横尾に向かう途中に見える明神岳 横尾山荘は涸沢との分岐でもある すぐに槍ヶ岳と蝶ケ岳の分岐
屏風岩が見える 一ノ俣を渡る ババ平のキャンプ場
大曲りは水俣乗越への分岐 東鎌尾根を見上げる 天狗原への分岐
いよいよ槍の偉容が見えてきた 殺生分岐 殺生ヒュッテが右に見える
槍ヶ岳山荘から見る槍ヶ岳 槍ヶ岳に登る途中で槍ヶ岳山荘を見下ろす 槍ヶ岳頂上で記念撮影
翌朝ご来光もバッチリ 富士山も見えた お世話になった槍ヶ岳山荘を後にする
飛騨乗越から見た笠ヶ岳に朝陽が当たる 雲の平にも朝陽が当たる 槍ヶ岳が遠ざかる
大喰岳頂上から槍ヶ岳を見る 奥穂の山並み 南岳山頂
南岳小屋の先には北穂高岳と奥穂高岳 大キレットの全容 大キレットの核心部
大キレットの核心部を登る 長い鉄ハシゴを下る 滝谷の岩壁
常念岳が見える 越してきた長谷川ピークを振り返る 北穂の北壁
北穂高小屋が見えてきた 北穂高小屋から槍ヶ岳を望む 常念から大天井
歩いてきた槍ヶ岳からの縦走路を振り返る 北穂高小屋 奥穂〜吊り尾根〜前穂
北穂分岐標識 涸沢岳に至る最低コル 涸沢岳頂上で写真
眼下に見えるのは穂高岳山荘、奥穂、前穂が後方に構える 2日目は穂高岳山荘泊まり 歩き始めて穂高岳山荘と涸沢岳を振り返る
左から涸沢岳、槍ヶ岳、北穂高岳 笠ヶ岳の山頂部に朝日が射す ジャンダルムが見える
奥穂高岳の山頂 奥穂から見る槍ヶ岳ははるか遠くだ 吊り尾根南陵の頭
岳沢側から奥穂を望む 雷鳥のつがいが姿を見せてくれた 紀美子平分岐
鉄ハシゴを下って岳沢小屋へと向かう 岳沢小屋付近から奥穂を望む 岳沢小屋で休憩
岳沢の風穴 岳沢登山口に到着 河童橋付近から望む岳沢

行動記録
9月25日(水) 天気:晴れ
 学生時代に何度か訪れた北アルプスだが、穂高周辺の岩場が中心で槍ヶ岳には登ったことがなかった。槍ヶ岳に登る限りは大キレット経由で奥穂高岳への縦走がしたいと考えていた。あれから40年近くが経ちようやく今になってその機会が訪れた。相方は元職場の同僚で初歩から山を教えてきた後輩のH君と一緒である。
 前日の18時過ぎに福島を出発し、松本IC手前の梓川PAで仮眠をとり午前4時前に高速を降りて沢渡に向かった。2年前にも利用した駐車場は平日にも関わらずほぼ満杯で相変わらずの人気の高さである。上高地に向かう2人組に声を掛けタクシー相乗りして上高地には予定より1時間ほど早く到着した。天気は3日間とも晴れの予報で、爽やかな空気のなかほぼフラットの山道を分岐となる横尾を目指した。
 横尾からはいよいよ槍ヶ岳に向かう登山道に変わるが、大曲までは傾斜の緩い登りが続く。例年に比べ紅葉は遅いようで、まったく色付きは見られない。槍に向かう登山者もこの時間帯ではチラホラといったところである。大曲を越え天狗原分岐に差し掛かるといよいよ本格的な登りに変わる。今回は8月に沢登りで痛めた左足首が完治しておらず、テープでグルグル巻きにしているので果たして3日間持ちこたえるか心配である。
 だんだんと息が上がり殺生ヒュッテ分岐を過ぎると右太腿が痙攣というか攣ったような痛みを感じるようになってきた。夏の終わりとはいえ日差しは強く前夜の睡眠不足もあって熱中症の症状である。耐えられない痛みに自分でマッサージをしながら水分を多く取りなんとか槍ヶ岳山荘に計画通りの時間に到着することができた。
 明日の出発を考えると槍の頂上には今日中に登っておきたい。しばし休憩した後、頂上を目指すことにした。やはり登山者は少なく岩場のはしごもまったく詰まることなく頂上を踏むことができた。2人で写真に収まり山頂を後にする。念願の槍ヶ岳登頂を果たし感慨ひとしおである。

9月26日(木) 天気:晴れ
 小屋の朝食を終え6時に出発。今日はいよいよ大キレットから北穂高岳、涸沢岳を越えて穂高岳山荘までの9.6キロである。飛騨乗越から大喰岳、中岳そして南岳に至るルートはなだらかな稜線が続く。右手には裏銀座と雲の平の山域や笠ヶ岳が遠望できずっと我々を追ってくるようだ。振り返れば槍ヶ岳が徐々に遠ざかり何とも言い難い光景である。南岳の山頂に到着すると、いよいよ大キレットの岩稜帯が目の前に姿を現す。目線を上に向けると北穂高岳山頂直下にへばり付く様に建っている北穂小屋が確認できる。
 まず、大キレット最低鞍部に降り、長谷川ピークに登り返す。長谷川ピークからは正面の北穂北壁のクラック尾根に取りついているクライマーの姿が確認できる。我々もいよいよ飛騨泣きと呼ばれる核心部である。ルートには鉄製のはしごや鎖、ボルトや取っ手状のものが打ち込まれており極端に困難な箇所はない。時間的にもここからは1時間半程度で北穂小屋に到着できる。
 北穂小屋に到着すると眼下に涸沢のカールが広がりそこからせり上がる前穂高岳が一望できる。改めて見る前穂高岳は急峻で一昨年登った北尾根もはっきりと確認できる。一服してから、北穂の山頂を踏み南陵ピークを経由し涸沢岳に向かう。ルート上最低鞍部とされる涸沢のコルに降り立ち涸沢岳山頂を目指すこととなる。
 最低鞍部から涸沢岳頂上までは1時間程度であるがここも大キレットと同様に岩稜帯で気が抜けない箇所である。涸沢岳に到着すると今度は奥穂高岳やジャンダルム、西穂高岳に伸びる稜線が目の前に広がっている。昨日登った槍ヶ岳ははるか彼方だ。圧巻の光景に魅了されしばしうっとりとした時間を過ごす。
 それにしても、かつては岩経験者のみに許された大キレットや涸沢岳登頂のルートも今や一般ルートと化し、女性や年配の単独登山者も普通にすれ違うことに驚く。ルートの整備に加え装備も良くなり、食事も小屋で取れることなどが可能にした結果だと思う。しかしながら、今回、北穂から最低コルに至るルートでズボンの前を血で濡らしている単独の高齢登山者を追い抜いた。一旦は追い抜いたものの、気になり声を掛けて見てみると左手小指から出血し、カットバンで巻いているが止血に至らず血が滴り落ちている。岩に指を突いての裂傷で傷は相当深いようである。テーピングテープを縦に切り裂いて第二関節と第一関節をそれぞれきつ目に巻いてようやく出血が治まった。年齢を聞くと何と82歳との事でこちらは腰が抜けそうになった。ここまで来てしまうと戻ることはできないので穂高岳山荘に到着したら良く治療してもらう様に言い残して我々は先行した。後で小屋に到着したのを見届けたので無事の様であったが、涸沢岳の空中に乗り出すような核心部の壁を良く突破できたと思う。登山は自己責任とはいえルートによってはなにがしかの制限も必要でないかと考えさせられた。

9月27日(金) 天気:晴れ
 今日は奥穂高岳に登りそのまま岳沢に降りるだけである。小屋の朝食が5時と早いので、計画より30分早く出発することができた。昨日は小屋到着時に何組かのテレビクルーもいて賑わっていたが、今朝、小屋から奥穂山頂を目指す登山者はまばらである。50分程度で山頂に到着し写真などを取っていよいよ下山にかかる。
 紀美子平を経由し前穂山頂は踏まずに重太郎新道を下って岳沢へと向かう。岳沢小屋(旧岳沢ヒュッテ跡)で休憩してから上高地へと向かう。河童橋から遠望する岳沢もきれいであるが重太郎新道を下りながら振り返るパノラマも格別であった。足首の不安があったものの何とか3日間歩き通すことができ最高の山旅となった。3日間の光景を脳裏に思い浮かべると過ごした時間が夢のようである。やっぱり山は素晴らしい。(中)

概念図
トラック ルート=赤

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