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No.6409
花塚山 918.2m二等三角点峰
山行種別  無雪期一般
はなづかやま 地形図

トップハイキング>花塚山

山行期間 2020年10月19日(月)
コースタイム 花塚の里入口(10:25)→放鹿神社(10:38)→中央御室岩(11:08)→尾根分岐(11:25)→花塚山(11:40,11:44)→花塚台(11:55,11:59)→比曽堺・定点調査(12:07〜12:33)→北峰・2号休憩所(12:44,12:59)→堅石分岐(13:02)→堅石(13:19)→比曽堺分岐・水場(13:39)→あずまや・1号休憩所(14:02)→放鹿神社(14:21)→花塚の里入口(14:33)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
今まで除染廃棄物仮置場になっていた駐車場が使えるようになった その奥はまだ除染廃棄物が山積みになっている 花塚の里入口のゲート
ちびっこ天国「花塚の里」の滑り台 センブリ
参道を進み鳥居をくぐる 放鹿神社 烏帽子岩
大黒様 行者戻しの岩 姥神様
中央御室岩 座禅岩 胎内くぐり岩
アカマツ、ミズナラ、ブナが混在する 稜線の花塚台への分岐 富士見岩
花塚山の山頂部 山頂の二等三角点、点名「巌部山」 山頂からは吾妻、安達太良も見える
花塚台にある護摩壇岩 花塚台の四阿も傷みが酷い 比曽堺、飯舘村への道は廃道化している
比曽堺で定点計測を行う 北峰にある2号休憩所 堅石への分岐標識
堅石への下山路 蔓は色付いていた 堅石
比曽堺から下って来る道と合わさる 1号休憩所 花塚の里に戻った
花塚の里にある登山案内図 震災後に整備されたトイレ 作業道を下って駐車場に戻る

行動記録
 花塚山は川俣町と飯舘村の境に位置する。阿武隈高地は隆起準平原の高原状の山地で、かつては日本アルプスのような大山脈だったと思われるが長い間の浸食によって老年期のなだらかな地形になったと小学生の社会の授業で教わったことを記憶している。山中には巨岩、奇岩が多く、山頂へ向かう途中には烏帽子岩、行者戻しの岩、座禅岩、胎内くぐり岩などがあり、稜線上にも様々な巨岩、奇岩が点在する。また、大黒様や姥神様などの石神仏があったり、中央御室岩など信仰との関わりを思わせるものも多い。変化に富んでいることもあって以前は訪れるハイカーも多く人気の山だった。
 登山口となる花塚の里へは県道原町川俣線の萩平バス停を過ぎた案内標識から右の細い道路に入る。峠の森自然公園の分岐をやり過ごし、桃木平の集落を過ぎたら左に登っていくと林道花塚線に出るので、クランクに進むと登山口となる花塚の里入口に着く。川俣町からだと少し遠回りになるが県道の林道花塚線入口から入った方が道が良い。登山口はこの他に峠の森自然公園からのコースもあるが、花塚の里からのコースの方が見どころもあり良く整備されている。飯舘村の岩部ダムから登ってくるコースは原発事故以降は歩く人も無く、整備もされていないのでお勧めできない。
 花塚の里の駐車場は昨年まで除染廃棄物の仮置き場になっていて使えなかったが今年は使えるようになっていた。ちびっこ天国「花塚の里」は大きな滑り台やアスレチックなどの遊具もあり、かつては子供達の楽しく遊ぶ声を聞くことが出来たのだが、原発事故後は訪れる子供達も殆どいなくなった。参道を進み鳥居をくぐって行くと登山口となる放鹿神社に着く。まずは花塚山を目指して神社の右側の道を進む。登山道はスギの造林地の中を登って行くと明るいアカマツの林に変わる。道の脇には烏帽子岩や大黒様が出てくる。行者戻しの岩まできたらクサリが付いているので登ってみよう。岩の上に立つと足下に15mほどの屏風岩が切れ落ちている。向かい側には仙人岩が見える。なお、迂回路もあるので岩場が苦手な人は無理をしないように。
 さらに進むと中央御室岩への道を左に分ける。分岐のところには姥神様が鎮座する。御室岩はすぐのところにあるので寄ってみよう。ここが尾根までの中間点になる。行合道は小綱木への分かれ道、続いて鎮護の岩、座禅岩、御鏡岩と岩場が続く。急坂が終わり、マツ、ミズナラなどの混交林の中をゆっくり登っていくと、稜線の分岐に出る。ここは花塚山と花塚台の分岐になっているので、まずは花塚山へ向かう。
 尾根伝いにアップダウンを繰り返しながら、10分ほど進むと右側に富士見岩がある。以前は名前が無かったところだが、ここから富士山が確認できたことからいつの間にか富士見岩と名付けられた。二等三角点のある花塚山の山頂はここからすぐである。以前は見晴らしの良くなかった山頂だが、現在は刈払いがされ、口太山や麓山、日山などを望むことが出来る。
 山頂を後にして先ほどの分岐まで戻り、尾根伝いに花塚台を目指す。花塚台の岩の上に立つと見晴らしは最高で、吾妻山や安達太良山が峰を連ねる。ここにも胎内潜り岩があり、クサリの付いた護摩壇岩もある。特にクサリを使って護摩壇岩に登れば360度の大パノラマを楽しむことができるのだが、年齢もあり最近は登ったことが無い。身軽な人であれば護摩壇岩の上に登れば阿武隈山系の日山、口太山、それに吾妻山、安達太良山、条件さえ良ければ蔵王、遠く太平洋も見ることが出来る。
 護摩壇岩の脇にあるあずまや(3号休憩所)はトラロープが張られ立入禁止になっている。手入れがなされていないので老朽化が激しく板が腐ってしまっている。次は花塚台から尾根に沿って北に向かって下って行くと飯舘村からの登山道を合わせるコルに着く。ここが比曽堺の十字路だ。今では飯舘からの道は歩く人も無く藪化して使えない。ここは斜度が無く土砂等の移動も無いので事故後に毎年放射線量を調べている場所だ。次は比曽堺から北峰へと向かう。10分ほどの登り返しで北峰に着く。あずまや(2号休憩所)の老朽化が酷く立ち入りは出来ないので展望は得られない。昼食休憩をとった。
 帰路は堅石を経由して戻ることにする。広葉樹林の中を峠の森自然公園に向かって下って行くと、すぐに竪石分岐に着く。ここから左に折れて主尾根から派生する枝尾根を真っ直ぐ下る。結構な急坂なので雨の日は注意したい。この道も数年前に刈り払いがされて除染作業が終わっている。支尾根から沢状の窪に入ると目の前に見事にそそり立つ竪岩(たていわ)が出てくる。昨年も同じ事を書いたが、この堅石(竪岩)の名称について、花塚の里の案内板は「堅石コース」と記されている。また、川俣町のホームページの花塚山の紹介の中では「堅石」と「堅岩」が混在している。登山道の分岐標識は、それ以前のものも「竪石」と表記されていた。どちらが正しいのか今もってわからないが、早い話がどっちでも良いのかも知れない。聞くと最近は堅石(たていし)と呼ぶ人が多いみたいだ。竪石から岩壁沿いに下りていくと峠の森キャンプ場からの道を合わせる。
 道標に従って尾根道をさらに下りて行き、左に折れて沢との合流点まで登り返す。ここで比曽界から下ってきた道と合わさる。渇水期でもここでは水が取れる。トラバースして尾根を登り返ししばらく進むと1号休憩所のあずまやに着く。このあずまやも立入禁止だ。アカマツの林を通り急坂を下り、スギの造林地を下って行くと左に放鹿神社を見て花塚の里に着く。花塚の里と川俣町側の登山道は除染作業が終わっていて問題無く歩けるが、数値を見て嫌がる人もいるようだ。
 足かけ10年の調査で分かったことは、数値を見る限り花塚山の放射線量はほぼ計算通りに減衰し半減期に入ったようだ。しかし、ようやく半減期であり放射線量の減少にはまだまだ長い年月を要する。今回の調査で今まで順調に減少を続けてきた場所であっても、地形や風向きの影響なのか昨年の数値と比較して増加しているところもある。長いあいだ花塚山の放射線量と向き合ってきたがどこかではひとつの区切りを付けなければと考えている。山間部も含めて汚染地域の除染は遅々として進まず、今また放射能汚染水の海洋放出が行われようとしている現状がある。(和)

空間放射線量

観測地点/特徴 標高 時間 最大値 最小値 平均値 緯度/経度
Data1 花塚の里駐車場/敷砂利
 
535m
 
10時22分
 
0.077
1.429
0.072
1.170
0.075
1.353
37゚39'06.13"/140゚39'06.85"
2011/10/26データ
Data2 花塚の里入口/砂利、スギ含む混交林
  
545m
 
10時25分
 
0.222
0.258
0.212
0.243
0.218
0.250
37゚39'08.99"/140゚39'09.17"
2019/09/06データ
Data3 放鹿神社/スギ造林地
 
 
605m
 
  
10時40分
 
  
0.169
0.174
1.309
0.157
0.166
1.093
0.163
0.170
1.174
37゚39'12.32"/140゚39'23.73"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data4 中央御室岩/アカマツ、広葉樹林含む混交林
 
  小綱木分岐 
790m
 
 
11時10分
 
 
0.458
0.470
2.046
0.443
0.480
2.020
0.450
0.464
2.033
37゚39'16.41"/140゚39'43.71"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data5 尾根分岐/アカマツ、広葉樹林含む混交林
 
 
890m
 
 
11時28分
 
 
0.610
0.580
2.627
0.598
0.565
2.584
0.605
0.576
2.606
37゚39'19.34"/140゚39'54.65"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data6 花塚山山頂/アカマツ、広葉樹林含む混交林
 
 
919m
 
 
11時41分
 
 
0.719
0.635
2.841
0.706
0.594
2.784
0.716
0.613
2.823
37゚39'11.97"/140゚40'05.77"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data7 花塚台/岩の上、周り広葉樹林
 
 
890m
 
 
11時56分
 
 
0.322
0.424
1.467
0.313
0.415
1.358
0.318
0.419
1.416
37゚39'20.75"/140゚39'53.86"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data8 比曽堺/広葉樹林
 
 
812m
 
 
12時08分
 
 
1.092
1.118
4.440
1.055
1.110
4.326
1.074
1.114
4.379
37゚39'31.00"/140゚39'53.74"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data9 北峰・2号休憩所/広葉樹林
 
881m
 
12時44分
 
0.837
0.776
0.818
0.762
0.826
0.769
37゚39'39.68"/140゚39'55.50"
2019/09/06データ
Data10 堅石分岐/広葉樹林
 
865m
 
13時02分
 
0.859
1.000
0.814
0.981
0.832
0.990
37゚39'41.71"/140゚39'52.09"
2019/09/06データ
Data11 比曽堺分岐・水場/広葉樹林
 
 
715m
 
 
13時39分
 
 
0.570
0.631
2.370
0.550
0.610
2.299
0.559
0.622
2.329
37゚39'33.27"/140゚39'42.77"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data12 あずまや・1号休憩所/アカマツ主体の混交林
 
 
733m
  
 
14時03分
 
 
0.231
0.276
1.068
0.225
0.270
1.040
0.228
0.273
1.054
37゚39'24.82"/140゚39'26.76"
2019/09/06データ
2011/10/26データ
Data13 花塚の里入口/道路脇、スギ含む混交林
 
545m
 
14時31分
 
0.259
0.223
0.248
0.218
0.254
0.221
37゚39'08.58"/140゚39'09.67"
2019/09/06データ
特記 緯度経度はGPSの性能の関係で多少の誤差があります。/放射線測定器 PA-1100(堀場製作所)/標高については国土地理院地図に表記のあるものについてはその数値、無いものについては電子web地図で表示するおおよその数値を掲載しています。
行動中の積算被ばく量 2.295μSv/h

概念図
電子国土webで見る
トラック 往路=赤 復路=青


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