安ヶ森山は栃木県との県境ピークの一座であるが、周囲には登山対象となるような山はなく単独で一座あるので意を決して行かないとなかなか行けない山であった。今回はいつもの相棒
Iさんが周辺の沢も未調査区域なので沢の下見を兼ねて行ってみようとのことで、前夜福島を出発、一路南会津へと向かう。南会津町の国道121号線から、国道352号線へと入り旧舘岩村の松戸原から町道鱒沢線に入る。この道は一般的には林道安ヶ森線と言われているが、S26〜S34年にかけて、奥地林道として福島県が開設したもので、S47年に村道に編入され、町村合併により現在は町道として管理されている道路である。
鱒沢川に沿って村道を登って行くが夜なので現在地確認が出来ず、どの辺を走っているのかさっぱり分からない状態である。この道を通るのは以前にバイクで走行して以来で、ようやく峠に到着する。峠には林道開通記念碑が建ち、栃木県側は道路が舗装されていた。峠脇の空き地にテントを張り仮眠する。
翌朝テントを撤収して道路法面の取付き点を探す。少し栃木県側に歩いて適当な所で取付いたが、下山してくるとき、踏跡は最初ににらんだ通り記念碑斜め前の車を駐めた目の前に続いていた。
踏跡は県境に沿ってはっきりと付いている。最初のうち、尾根筋は両県側に深く切れ落ちているので踏跡は明瞭である。1221mポイントは福島県側をトラバースしているようで、気がつかないうちに通り過ぎてしまった。はっきりしていた尾根もだんだんと丸みをおびてきて笹が繁ってくる。所々踏み跡も不明瞭になるが迷うことはない。その先だんだんと急登となってきた。先の尾根が見えなくなっているところまできた。登り切るとそこが頂上である。大きな岩の横を登り切るとわたしたちを360度のパノラマが待っていてくれた。
正面の荒海山、左に土倉山、振り向くと大嵐山などの山並み、特に6年前赤岩沢から5時間半の苦闘の末たどり着いた枯木山の雄姿は圧巻である。会津の山好き(会津の山通)にはあこがれの山と言われるのが山頂より見ると納得できる山容である。栃木県方面も見渡せる。パノラマを十分楽しんで来た道を戻る。(S.O)
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