国道289号を白河方面から進み甲子大橋の手前を左折する。甲子温泉に降りていく道脇の空地に駐車することができた。準備を整え8時ちょうどに出発する。甲子大橋の下を通り阿武隈川本流に伸びる林道を少し進むと下降する踏跡がある。ここから本流の堰堤上流側に下りると南沢の出合である。上流に目をやると、もう一つの出合が目に入る。これが今日遡行する一里滝沢である。
8時23分、出合から沢に入ると直ぐに滝が見える。最初の7m滝で、右から越えると小滝を交えた快適な渓相となる。ここを抜けると河原状となり、8時55分、右岸から支沢が入ってくる。少し近づいて目を凝らすと霧の中にぼんやり滝が見えた。確認はできなかったが、これが他の記録の中で100mとも言われている滝と思われる。
9時07分、最初の二俣に着く。左に5m滝、右に6m滝で合流してくる。ここは、右滝を登り、右俣を渡って左俣に入る。一里滝沢は右に3本の沢を分ける。会では過去にすべての遡行調査を行っていて、その時に最初の右俣を一ノ沢として整理している。9時32分、次の二俣である二ノ沢出合は、左に4m2条の滝、右はナメ滝で合流する。ここは滝を登り左俣に入る。9時40分、奥の二俣三ノ沢出合は河原状で、その間の立木には、平成29年度禁漁の告知が残されていた。
左俣を進むとナメ床となり、そして崩壊地となる。倒木を見ると比較的新しく、最近の大雨のせいかと思われた。ここから滝が連続して現れる。F5(5m)は、残置ハーケンがあった。左のクラックに沿って登る。次のF6(5m)は流心の倒木を使って登った。倒木にはハーケンが打たれ、スリングが残されていた。10時15分、F7(10m)直爆が出てくる。左岸の支沢から巻くと、その上に20mほどの斜状滝が続いており、合わせて巻く。10時50分、右岸から支沢が合わさると水流はぐっと減り、両岸から藪がかぶるようになり源頭の様相である。三俣状の真中を進むと沢形が無くなり数メートル程のヤブ漕ぎで直ぐに登山道に出た。
一里滝沢の隣には、よく知られた南沢がある。また本沢を詰めると左に天狗滝沢、赤滝沢を分け、本谷へと進む。阿武隈川源流域のひとつである一里滝沢を今回初めて訪れてみたが、それほど登られていないようで
静かな良き沢であった。(健)