会としてはかなり久しぶりのラッセル訓練を行うことにした。我々の積雪期の山行はもっぱら山スキーなのだが、アクシデント時にはワカンで下山することもありえるので、ワカンの訓練は必要なのだ。場所は雪崩の危険性が少なく深雪が期待できる飯豊の西俣ノ峰とした。7人パーティーだが5人は民宿奥川入に泊まったので朝飯を食べてゆっくり準備。あと2人は当日福島からの移動だ。車は民宿の前に停めさせてもらうことにした。天候は少し雪が降っている程度なので予定どおり出発することにした。積雪量は十分以上なので始めからワカンを履いて歩き出す。今日のメンバーの半分はワカンが初めてだ。30センチほどのラッセルが続く。ストックで深さを測ると70センチほどあった。西俣ノ峰登山口の標識を見て右に曲がり斜面に取り付く。ワカンを蹴り込み足場を固めて登るが、雪が柔らかいので時折踏み抜いてしまう。斜面がさらに急になると、ストックを横にして雪を崩し固めて踏み込まないと登れない。7人で次々と交代しながらのラッセル登高が続く。尾根に上がるまでの途中には岩場もあるが、掘り出したトラロープと潅木を掴んで登った。急登を登り切りちょっとトラバースをすると大曲分岐に到着。ここまでの所要時間は雪の無いときの3倍以上は要しただろう。
大曲分岐からは西俣ノ峰への尾根を辿る。尾根に出たので風もそこそこ吹いている。斜度は緩くなったが積雪にはバラツキがある。風で雪が飛ばされ浅いところもあれば、吹き溜まりで腰までの深いところもある。斜面が急なところではストックで雪壁を崩しながらのラッセルだ。E藤さんはワカンもラッセルも初めてだが意外や速い。本日のラッセル隊長である。標高を上げると雪は軽くなってくるが深さは増す。やがて十文字ノ池に着きさらに進むと西俣ノ峰が見えてきた。標高770m地点で12時を過ぎたので行動停止し今日の山頂とする。西俣ノ峰まではあと1時間半以上かかるだろう。風を避けられる場所で昼食を取り下山にかかる。下りは速く大曲分岐まで30分ほど。トラバースした先でワカンを外す。この先は急斜面なのでツボ足の方が安全との判断だ。岩場も無事クリアして登山口まで下りた。民宿まで戻り装備を解いて訓練終了。梅花皮荘の湯で温まり現地解散とした。(K.Ku)
※民宿奥川入から西俣ノ峰登山口までは民宿奥川入の私有地を通ることになる。通過する際には挨拶をして気持ちよく通らせてもらおう。