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No.4344
吾妻山・春山合宿
山行種別 山スキー
あづまやま・はるやまがっしゅく 地形図 板谷、土湯温泉、吾妻山

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山行期間 2010年3月20日〜21日

コースタイム
3月20日(土) 高湯温泉駐車場(9:10)→登山口(9:31)→磐梯吾妻スカイライン(10:50)→水飲場(10:59)→賽ノ河原(12:13)→山鳥山(12:24)→井戸溝(12:52)→慶応山荘分岐(13:34)→大根森・雪洞構築地点(13:55)
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登山口周辺も雪解けが進んだ 夏道を登っていく 快晴の空が気持ちよい
スカイラインを横断する 水飲場の沢を渡る 山鳥山からは家形山が見える
井戸溝の沢を渡る 大根森目がけて登る 積雪深を確かめる
雪洞を掘り始める 横穴と縦穴の雪洞がやっと完成 多少狭いが楽しい雪洞生活

行動記録
1月20日 天候 晴れ
 3月20日からの3連休は会の春山合宿として吾妻縦走が計画されていた。2泊3日の山行で20日に横穴式、21日に竪穴式の雪洞を予定。まだ私は雪洞経験が無いので楽しみにしていた。
 当初の予定では天元台から東大巓、家形山から高山を経て土湯までの縦走となっていたが、大荒れの予報で、荒天時のエスケープを考え、高湯〜五色沼〜高山〜土湯のいわゆる高山下りルートに変更となった。山行自体を中止にはせず、荒天時は荒天時なりの対処を考えるのも登山ということなのだ。いざとなれば20日も21日も山小屋に避難できるルートになっている。
 7人分のスキーと装備をIさんと自分の車に詰め込み、高湯温泉に向け出発する。駐車場所の高湯観光協会駐車場までは約18キロほどだ。このところの暖かさで雪がかなり融けてしまい、駐車場までは乾燥路面だった。駐車場には側溝工事の車や現場ハウスがあり手狭になっていたが、何とか止めることができた。
 駐車場の西端でスキーにシールを付け歩き始める。9時10分だから予定より40分遅れてのスタートになった。歩き始めてすぐ雪が切れ、登山口まで3度もスキーを脱着する。スカイラインからの登山口であらためてスキーを履き登り始める。驚くほど雪解けが進んでいて、登山道もところどころ土が見えていた。今年の雪がいかに少ないかということだろう。
 ゆっくり登っていくと、後からスノーシューの3人パーティーが追い越していった。快晴の空が気持ちいい。明日大荒れになるというのが信じられないほどだ。暑いのでウエアを脱いで体温調整をする。薄いTシャツ1枚になるがそれでも暑いくらいだ。途中で冬季閉鎖中の磐梯吾妻スカイラインを横切るのだが、路面にはまったく雪が無かった。スキーを脱着しなければならないのがわずらわしい。
 水飲場まで上がってから小休止する。標高は1,150mほどだが、雪解けが進み既に沢がすっかり見えている。賽の河原を過ぎるとほとんど勾配がなく平坦になる。このあたりはヤエハクサンシャクナゲの自生地でもある。山鳥山からは正面に家形山が望める。湯の平を過ぎ、井戸溝の沢を渡る。雪は少なく沢も大きく口を開けている。パイプで造られた橋の上も、スキーで渡れるほどの雪は無い。橋の脇で渡れそうなので階段下降しまた上る。
 慶応吾妻山荘の分岐には13時34分に着いた。予定よりわずか4分遅れで、ゆっくり登ってきた割にはいつの間にか遅れを挽回したらしい。目的地まではあと少しだ。
 硯石あたりから勾配がきつくなってくる。ここには家形ヒュッテへの分岐がある。もう少し先へ進んだ急斜面でリーダーのIさんが辺りを見回し始めた。プローブを雪面に刺して深さを確かめると4m近くあるようだ。積雪深は十分のようで、ここに雪洞を掘ることになる。GPSによると標高は1,637mだった。
 各自ザックを降ろし、シャベルを取り出す。雪洞を掘り始める。時刻は午後2時になっていた。これから暗くなるまでに7人が入れる雪洞が掘れるのだろうか?シャベルを手に持ったがやや不安ではある。
 作る雪洞は横穴式なので、まず斜面を身長くらいまで掘り下げる。幅は雪洞の収容人数により変わるが、この日は5mくらいだった。それから左右に離して2箇所横穴を掘る。この横穴は雪洞の入口になるが、大きすぎない程度にする。2mほど横に掘り進んだら、今度は左右の穴をつなげるため90度横に掘り進める。貫通したら内部を人数に合わせて広げるとコの字形の雪洞になる。片方の横穴ををツェルトかシートでふさぎ入口とし、もう片方を雪のブロックでふさげば完成だ。
 書いてしまうとこんな具合だが、雪が思ったよりも堅く、イメージしたようには掘れず計画は変更を余儀なくされた。表面は柔らかかったのだが、中に掘り進むにしたがってスノーソーでも歯がたたないほど雪は堅かった。最後はシャベルで雪をガツガツと削るしかなくなった。ひたすら腕を振りつづけ雪にシャベルを突き立てるが、一度に削れる雪はそう多くはない。しかも中が狭いうちは、左右1人ずつしか掘る作業ができない。もちろん削った雪を運び出したり、雪洞の入口前を広げたりする作業もある。
 7人収容の雪洞は荷物を置いたり炊事をするスペースも必要なのでかなり大きくなる。掘り始めて2時間以上経過し、リーダーのIさんの計画変更するという声が聞こえた。
 向かって右の入口前にフライシートを斜めにかけ、ひと部屋を作るという。フライシートの周囲は雪で押さえる。そちらは外のメンバーに作業してもらい、雪洞内部の仕上げを急ぐ。床を平らに削り、天井は水滴がたれないようにカマボコ形に整形する。壁にはロウソクや物が置けるようにタナを掘る。おおむね完成したところで外の作業に加わるが、既にトイレも作られていた。
 掘り始めてから約3時間を要してようやく雪洞が完成。奥行きが予定よりだいぶ短いのでかなり手狭だが、それでも快適なマイハウスだ。雪洞の中に銀マットを敷き、ザックを運ぶとやっとブーツが脱ぐことができホッとする。
 早速夕食のカレー作りに取りかかる。ガソリンストーブで雪洞内も暖かく(とはいっても零下だが)なってくる。できあがったホカホカのカレーを食べる。山での温かい食事はとにかく美味い。
 夕食後は雪を溶かして翌日用の水を作りをする。まだこの時点では外は穏やかで風も吹いていないが、やはり明日の予報では荒れるようだ。雪洞作りで疲れたこともあり、午後8時半を過ぎると1人もう1人と眠りにつく。(K.K)

コースタイム
1月21日(日) 雪洞地点(8:56)→五色沼・大岩(9:50)→慶応吾妻山荘(10:39)→慶応山荘分岐(10:52)→あづまスキー場跡トップ(11:20)→休憩(11:42,12:01)→高湯温泉・駐車場(12:21)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
雪洞前の光景 五色沼へ向かって登る 五色沼の大岩で風を避ける
風を避け樹林帯から吾妻山荘へ 慶応吾妻山荘へ到着する suさんの滑り
Mさんの滑り 湯花沢ゲレンデは雪を拾って滑る 最後はスキーを脱いで高湯温泉へ降りる
行動記録
3月21日 天候 雨のち雪 
 明け方近くなって雨が雪に変わった。予報でも山では昼にかけ気温が下がっていくと言っていたがその通りになった。フライシートに降った雪がササーっと滑り落ちていく。
 朝食は餅入りラーメンおじやで、みそ汁も飲むと人心地つく。さて今日の行動開始だ。リーダーのIxyによると、今日稜線に上がって縦走するのは強風で難しいだろうという。とりあえず五色沼を目指し、その状況で最終的に判断することになった。
 もったいないが雪洞を壊す。後で人が雪洞を踏み抜いたりしないようにするためと、降雪があれば元の斜面に戻ってもらうためだ。天候が落ち着くのを待って行動する。だいぶのんびりして8時56分にスタートする。
 大根森の斜面ではカリカリのアイスバーンもあり、少々緊張しながらエッジを利かせて登る。さらに五色沼の大岩までの登りでは、途中から氷となりスキーをデポして登らなければならなかった。登るにしたがい風は強くなり、大岩周辺は強風のため雪がついていない。
 我々も風でヨロヨロと飛ばされるので、大岩の陰に逃げ込む。西には家形山が間近に見えるが、今回もまた家形山には登れない。リーダーは強風とパーティーメンバーの状況を考慮し、今回は下山撤退と判断した。日程短縮は残念だが、次回の楽しみに取っておこう。
 大根森との鞍部まで下りシールを外し、風を避けるように沢沿いに滑降を開始する。何度か転倒するがやっと慶応吾妻山荘まで下りほっと一息つく。いちだんと風が強くなったようだが、樹林帯の中ではそれもやわらぐので助かる。山荘管理人の大柿さんにあいさつする。
 その後は山荘分岐に出て山鳥山までは登ったルートをなぞって滑る。山鳥山からは旧吾妻スキー場のゲレンデトップへ方向を変える。吾妻スキー場は3年ほど前に営業を止めたスキー場だ。ゲレンデだった斜面にブッシュは出ているものの、我々の他には誰もおらず自由に滑ることが出来る。いつしか風もほとんど無く穏やかになっていた。
 途中昼食休憩をはさみながら、ゲレンデ跡の残雪を拾いながら滑る。高湯温泉まで数百メートルというところでいよいよ雪が無くなりスキーを脱いで歩く。泥の斜面で尻餅をついたメンバーもいたようだ。高湯温泉の駐車場には12時21分に到着した。
 今回の山行は天候のため日程が1日短縮にはなったが、目的の雪洞作りができ良い経験になった。出来れば今シーズンもう一度雪洞作りをして、より自分のものにしたいと思う。解散後はいつもの飯坂温泉のおおとり荘で汗を流し帰路についた。(K.K)

概念図



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