今年の安達太良は雪が少ない。西側の猪苗代側だったら何とか滑れるだろうと箕輪スキー場から下見に出かけてみることにした。福島をゆっくりと出発したので、箕輪スキー場の駐車場に着いたのは8時30分になってしまった。準備をしてレストハウス前からホテルへシャトルバスで移動する。トイレをすませリフト券売り場で計画書を提出してBリフトに乗り込んだのは9時20分を過ぎていた。次にAリフトに乗り継いだがリフト下の岩は露出している。スキーシーズンにこんな光景を見るのは初めてだ。
リフトを降りシールを着けて登る準備をするが、風も強くシールの接着面に雪が吹き付ける。
箕輪の斜面は積雪量が少なくうねりがひどい。風を嫌い最短で仏沢に出ようとリフト降り場の上の窪を登って標高1530mで尾根を越えた。高度を上げてみると思ったより風は弱い。ガスがかかって普段だったらホワイトアウトになって何も見えないのだが、まだ灌木や笹が顔を出しているので地面もわかる。雪が少なく歩くと笹の下が空洞になっているので時々沈んで歩きづらい。
いくらか上りかげんに進むと上空が明るくなってきて、仏沢左岸のモンスターが見えてきた。「ひょっとするとこのまま天候が回復して行けるかも」とわずかな期待を抱かせる。まずは天候の回復を願いつつ鉄山避難小屋まで行ってみることにした。
仏沢は、いつもだと雪庇が張り出して徐々に埋まっていくのだが、今年はまだ半分も埋まっていない。左に寄りすぎると雪庇を踏み抜く危険があるので要注意だ。再びガスで覆われ見通しが利かなくなった。沢伝いに登れば良いとわかっていても、足元がうねっていて歩きづらい。
ひどいホワイトアウトだ。鉄山からの西尾根である沼の平の外輪に乗ったのに、気づかなくて危うく乗っ越すところだった。スキーの先が下り始めてようやく気づいた。すぐ目の前にあるはずの小屋が見えない。かまわず小屋の方向へ進むと小屋は目の前だった。小屋の西側にはエビの尻尾がぴったりとついていてホワイトアウトだと見えてくれない。
小屋に入って昼食を取りながら天候の回復を待つことにする。40分以上も待つが天候は回復しない。しかたなく箕輪スキー場へ戻ることにした。ホワイトアウトで手探り状態なので、もしものために無線機にスイッチを入れ下山を開始する。仏沢の横断地点の目印であるモンスターまで滑り降りるのだが、雪面が見えない。注意しながらゆっくりゆっくり降りていくが、滑っているのか止まっているのかもわからない。途中で雪庇を踏み抜き崩落させてしまった。落ちても3〜4mぐらいとわかってはいても冷や汗ものである。さらに隠れたツリーホールにもはまり、もがくが立ち上がれない。情けない。
仏沢を渡り、最短で仏沢左支沢の源頭に立つ。いつもだと仏沢と仏沢左支沢の間の尾根を滑ってから左支沢に入るのだが、今日は雪面が良く見えないのですぐに沢に入ることにした。これから滑る斜面は、まだ笹が顔を出していた。本当ならがっかりするところだが、斜面の角度がわかるので滑るには都合がよい。笹も足が引っかからなければ気にもならない。
積雪量が少なく、沢がまだ広く埋まっていなかった。素直に滑ると沢にはまりそうなので、途中で右岸側に渡れるようコースを選びながら滑り降りる。スキー場手前の作業道に出ても灌木と笹はついて回る。リフトの下で線量を測ると0.114μSv/hあった。
ホテルのリフト券売り場で下山報告をすませてから、Cリフトで登り返し、横向スキー場へと滑り降りる予定だったが、あまりにも積雪が少なく笹の中を滑るようになるので山行を終わりにして、車を置いてきたレストハウス向かいの駐車場へと戻った。(I.I)
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