そろそろ蔵王の樹氷はどうだろうかと気になり始めていた。天気予報では18日、19日と好天のようで、何とか仕事の都合のついた19日午前中に刈田岳へ樹氷の様子を見に行くことにした。
午前4時半から登高開始と意気込んだ計画としたが、結局起きた時間がそのくらいになってしまった。真っ暗な中、すみかわスキー場へと車を走らせる。昨日から雪は降っていないようで、フラットな積雪路のエコーラインを快調に高度を上げる。スキー場につくと、刈田岳方向へ登る人は誰も来ていないようだ。ヘッデンを点けて観光道路を歩き始める。
観光道路はスキー場から大黒天までつながる未舗装の道だが、冬は樹氷見物の雪上車がその上を走っている。スキー場のゲレンデを歩いてもいいのだが、辺りは真っ暗なので手っ取り早く観光道路を歩くことにした。キンキンと冷えた空気の中、ビンディングのカシャカシャという音と息づかいだけが聞こえる。しばらく歩くと「あとみゲレンデ」のリフト乗り場で、辺りが少し明るくなってくる。もうヘッデンはいらなくなった。あとみゲレンデを直登して一気に高度を上げてもいいのだが、ゲレンデの下を横切る観光道路をそのまま歩くことにする。右カーブにさしかかると後烏帽子岳と屏風岳が見えてくる。ゲレンデトップから来ると観光道路に合流する左カーブの辺りはまだ段差があり、積雪量が少ないことを伺わせる。
最短ルートの東尾根を登ると、少し岩が見えている所もある。今日は風が無いので有り難い。天気が良くても吹かれると、遮るもののない稜線の登りは辛くなる。刈田岳にある刈田嶺神社も分厚い雪化粧というか氷結している。熊野岳方向は薄いガスに覆われているが、時間的にピストン可能なので休まずこのまま向かうことにする。馬の背はシュカブラで覆われていて歩きづらいので、いくらかトレースのある道標沿いに進む。薄いガスでお釜はあまり見えない。
熊野岳避難小屋を経由して熊野岳へ。奥羽山脈の向こう日本海側は雲が多く、期待した朝日連峰などの眺めは得られず残念。それどころか指呼の先にある地蔵山、三宝荒神山もよく見えない。しばらく待つほどの余裕は無いので小休憩しシールを外す。と携帯に電話が入り出てみると職場から。こんな時の電話はトラブった時と相場が決まっているのだが、案の定そうだった。まさか熊野岳の頂上にいるとも言えず、指示をして午後から対処すると伝える。さてとにかく下山だ。
熊野岳の南斜面を滑り降りるが、シュカブラで滑りにくくこれではシールを外した意味がない。馬の背の登山道に合流してしばらくそのまま進むが、結局再度シールを付けることになった。ガスは晴れてきて今度はお釜もハッキリと見える。刈田岳に登り返すとヘリコプターが頭上に飛んできた。どうも取材のようで、何度も行ったり来たりしている。鞍部になる刈田峠の樹氷はなるほど結構大きくなっているようだ。下りて見たいが今日は時間切れだ。
刈田岳避難小屋で昼食休憩とする。休日なら結構賑わうのだが、今日はまだ誰も登ってきてはいない。雪の状態も良いので、避難小屋直下の井戸沢源頭斜面を滑り降りることにする。2年前は自分には無理と思った斜面だが、今は不格好ながらそれなりにターンを刻みエコーラインまで滑り下りる。
中央コースを戻る途中、今日初めて人(3組計4人)とすれ違う。中央コースはそのままゲレンデトップにつながる。さっさとゲレンデを滑ればよいものを、途中で賽の磧上部の斜面の様子を見たくなり、わざわざヤブをトラバースして行ったのが失敗だった。下るにしたがい気温が上がり、雪は柔らかいうえに湿った重い雪に変化し、スキーが走らない。まるで春スキーのような感じだ。窪ではハマってスキーを脱ぎツボ足になる有様。素直にゲレンデを下れば良かったと後悔するも遅い。倍もの時間をかけてやっと駐車場へ到着した。(K.K)
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