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No5118 |
飯豊連峰・本社ノ沢
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飯豊山 2105.2m一等三角点峰 |
山行種別 |
山スキー |
いいでれんぽう・おむろのさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2015年5月10日(日) |
コースタイム |
大日杉小屋(4:40)→1,200m地点(6:42,7:07)→地蔵岳(8:03,8:12)→大又沢(8:30)→本社ノ沢出合(9:08)→二俣・1,360m(10:03)→飯豊本山小屋(12:20)→山頂(12:38)→飯豊本山小屋(12:53,13:22)→二俣(14:01)→本社ノ沢出合(14:13)→地蔵岳(15:52,16:00)→大日杉小屋(17:30) |
写真 |
写真は拡大して見ることが出来ます |
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大日杉小屋 |
ザンゲ坂 |
尾根の登山道 |
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標高1060m辺り |
標高1200m辺りから雪が繋がる |
シール登高開始 |
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ブナの疎林を登っていく |
地蔵岳まであと少し(左に飯豊本山) |
雲が下がりガスってきた |
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スプリットボードを組み立てる |
大又沢へ下降 |
大又沢の穴は右岸をトラバース |
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本社ノ沢出合 |
本社ノ沢を登っていく(右手が登路予定だった枝沢) |
左俣を登る |
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斜度が増す |
なかなか稜線にたどり着かない |
強風の稜線を本山小屋へ |
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本山小屋 |
ガスの山頂 |
ハイマツには霧氷 |
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小屋内は2度 |
ガスが薄れて斜面が見えた |
しかしまたガスが濃くなる |
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標高を下げると視界がクリヤーになる |
大斜面の滑降を楽しむ |
縦溝も少なくフラットな斜面 |
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二俣の手前 |
二俣にて |
緩い沢底をクルージング |
ブロック崩壊があるので雪解け水を汲もうと安易に近づいてはいけない |
この時に山頂にいたかった |
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画像を拡大するとシュプールが見える |
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登り返して種蒔山から三国岳の稜線 |
尾根を下降 |
今度は板を流さないように |
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イワウチワ |
ブナの芽鱗と花が雪面を覆う |
ザンゲ坂を下る |
行動記録 |
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本社ノ沢(おむろのさわ)は飯豊山の本山東面を源とする沢だ。地蔵岳から眺めると、山頂を挟んで右と左に顕著な沢筋が見え、中腹で合流して流れ下っている。先達により比較的新しく開拓されたこのルートも、徐々に知られるようになった。しかし、いったん沢に下って登り返すという標高差の大きいルートゆえ、辿ろうとするとそれなりの体力が求められる。また、沢が割れている場合の処理や、いったん踏み込めばエスケープできないという厳しさがあり、誰でも辿れるルートではない。さて、今週末の天気予報では山頂は氷点下が予想され、風も強いというあまり良くない条件のようだ。しかし、自分にとって今シーズンのラストチャンスかもしれない。今回が初本社ノ沢になる2人と伴に向かうことにした。
午前2時に自宅を出発。睡眠不足だが山に行くときは眠気も吹っ飛ぶ。自宅から大日杉小屋までは100キロ未満と比較的近い。大日杉小屋へ右折する分岐には事前情報どおりバリケードが設置してあったが、特に通行禁止の表示もなく脇から進入していくことができる。小屋までの道に雪はまったく無い。前日入りしていたKちゃんと合流。今のところ車は我々の2台のみ。小屋周辺には雪が残っているが、小屋1階のトイレ利用には支障なかった。予定より早めに午前4時40分スタート。自分と◯樹さんは長靴だが、Kちゃんはトレッキングシューズ。登山道は雪の残る杉林へ入っていく。杉林を抜けるとザンゲ坂だ。残雪と紛らわしいピンクのテープに惑わされ、本来のルートより右の斜面へ逸れて登ってしまった。ヤブをこいで急斜面をよじ登り登山道に出たが、Kちゃんがなかなか登ってこない。我々おっさん2人は沢登りでヤブこぎは慣れっこだが、Kちゃんはヤブの中でもがいていたようだ。結局◯樹さんが救出に降りていった。自分が過去2回は問題無かったので、こっちだろうと安易に登ってしまったのが原因。Kちゃんには面倒かけてしまった。成功体験はかえって落とし穴になるときがあるという典型例。しかし、今日のトラブル&アクシデントはこれだけではすまなかった。
尾根の登山道には雪が無い。しばらく登っていくと雪が現れてくるが、まだスキーで登れるほどではない。標高1200mでそろそろ大丈夫だろうとスキーに切り替えた。ここで2回目のトラブル発生。ザックから外したスキーを何気なく置いたら、スルスルと斜面を滑り落ちていくではないか。あっと思ったがもう遅い。斜面の下に消えていくスキーを見送るしかなかった。スキーにブーツが装着してあるとスキーブレーキが効かないことを失念し、そのままスキーを置いてしまったのだ。もうこれで今日は終わったと思った。しかし、急斜面を見下ろすと30mほど下で木に引っ掛かっているではないか。下りていって回収に成功。幸運だった。これまでこんな失敗をしたことは無かったのだがどうも今日はおかしい。
スキーにシールを貼り再び登り始める。今日は自分と◯樹さんは山スキーだが、Kちゃんはスプリットボードだ。スプリットボードとは縦に2つに割れる、分割式になっているボードのこと。スキーのようにシールを貼って登ることもできる。シール登高にして1時間弱で地蔵岳の山頂に到着。正面に見える飯豊本山は山頂に雲がかかっている。上空の雲の流れがかなり速く、やはり稜線は風が強そうだ。地蔵岳から大又沢へは400mほど滑り降りる。以前とは違うラインで滑り降りたが、ガタガタの雪面のほかは特に問題無い。
大又沢は沢割れし、口を開けているとの事前情報だった。見れば右岸をトラバースできそうだ。階段登高で少し登り斜滑降の要領でクリア。しかし、スプリットボードはトラバースが苦手だ。Kちゃんはボードを担いでアイゼン・ピッケルでトラバースした。さて、シールを貼ろうと滑走面を見ると真っ黒になっている。地蔵岳から大又沢までの短い間に付着したのだ。自分はブナの花粉ではないかと疑っているのだが、本当のところはまだ不明だ。シールを貼ったが粘着力が弱い。もともと粘着力が落ちていたところに、この頃の山行でゴミがかなりついている。すぐ剥がれそうなのでビニルテープを巻いた。メンテナンスを怠っていたツケだ。本社ノ沢出合は雪で埋まっていて問題なし。ここから山頂まで1000mの標高差がある。しばらくは本社ノ沢を登っていくので風は当たらないが、問題は左岸の支沢から尾根に登ってからだ。まともに風が当たりそうなので、ルート変更して左俣を登路とし風を避けることにした。そのうち自分のシールがズレ始めた。シールの粘着力が終わってしまったようだ。テープとバンドを巻いてしばらく歩いたがペースが上がらない。結局諦めてスキーを担ぐことにした。二俣の近くからツボ足になる。山頂まではまだ700m以上登らなければならない。やはり今日はどこか歯車が噛み合わない。
左俣に入ると斜度が増す。クトーを装着した◯樹さんはサクサク登ってたちまち点になる。スプリットボードで頑張っていたKちゃんだが、急斜面の途中でアイゼン歩行に切り替えた。そこからは自分とペアで登る。キックステップで1歩1歩登るが山頂は遠い。ガスで稜線が見えないことも、いっこうに近づかない感を増加させている。今日は気温が低めだが、幸い稜線まで氷化することはなくブーツが蹴り込めた。やっと稜線に出るとやはり風が強い。12時20分飯豊本山小屋に到着。スタートから7時間40分もかかってしまったのは、トラブルやアクシデントが続いたこともある。ザックを降ろすと山頂まで往復する。風が強くて寒いしガスって見えないのだが、自分以外は本山が初めてなのだ。薄手の手袋では指が痛いほど冷くなる。小屋に戻るとやっと昼食休憩である。小屋内の温度は2度だった。
滑降は右俣だ。小屋前の斜面に出るとかなり雪が固い。稜線を越えた風が沢へと吹き下ろすようで、雪面が荒れてガリガリになっている。しかもガスでよく見えない。ザラメの大斜面を大滑降との目論見は外れたが仕方がない。ガスの下に出るまではゆっくりと高度を下げよう。そのうち荒れた雪面に引っかけたのか珍しく◯樹さんが転倒。先に降りてしばらく待つがなかなか来ない。やっと来たと思ったら、転倒時に鼻の辺りに怪我をし手当てしていたのだという。顔なので結構血が出たようだが、傷はそれほどでもなく救急判で応急手当。これで今日は全員がトラブル&アクシデントに見舞われたことになる。標高を下げていくと標高1800m辺りからは視界も回復し、雪も緩んできたので怪我しない程度に滑降を楽しむ。なお、本社ノ沢の滑降では滑走面に例の黒いものはまったく付かなかった。それどころか、スクレーパーで取れきれなかったところまで綺麗になったのには驚いた。固い雪で磨かれ掃除されたのだろう。こうなるとやはりブナが怪しい。
大又沢の穴を慎重にトラバースすると、地蔵岳への登り返しだ。降りたときとは違うラインでゆっくり登る。しかし、またやらかしたようで最後は少しヤブこぎとなる。どうも今日は調子が狂っている。登り返しには80分ほど要した。振り返ると山頂の雲がとれクッキリと見えている。なぜさっき晴れなかったんだと恨めしくなるが、山なんてこんなものさと呟くしかない。地蔵岳は山頂をカットしてトラバースし、尾根を滑り降りていく。危うく支尾根に入ってしまいそうになるが気付いて方向修正。デポした長靴を無事見つけて履き替えると下山した。大日杉小屋到着は17時30分。スタートから何と13時間近くかかったことになる。今日は本当に様々なことがあり時間をロスした結果だが、その大半は準備不足や判断ミスである。初心忘るべからず常に謙虚であれと、しみじみ感じた山行だった。
駐車場に北陸ナンバーの車があり、乗っていた男性が声をかけてきた。明日本社ノ沢の下見に登るのだという。参考になるかどうかとりあえず今日の状況を話した。後で分かったがその方はリンク先でもあるEさんと、良く一緒に滑っているOさんという方で、かなりスキーの上手い方のようだ。彼ら2人は14日に本社ノ沢を滑ったようだ。ブログによるとお二人とも60代半ばを過ぎた前期高齢者とのこと。ん〜何とも素晴らしい。これでは自分もまだまだ歳だなんて言ってられないな。なおこの方によると、この時期ブナのヤニは当たり前で、拭き取り用に灯油を染み込ませたウエスを準備しているくらいなのだという。地域の違いかもしれないが、東北ではほとんど聞いたことがなかっただけに目からウロコの話しだった。(K.Ku) |
概念図 |
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ルート図 |
登り=赤 下り=青 |
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