二俣から左岸斜面をツボ足で登り、小尾根の北側をトラバース気味に進んで大森山の下に到着。大森山の急斜面にも雪が十分残っており、キックステップで一歩一歩登っていく。ここが最後の登りだが疲れ切った足にはこたえる。やっと山頂に到着すると、もう登りは無いと分かった仲間の顔に安堵の表情が見えた。最後の休憩をすると急斜面を滑り降りて林道に出る。平坦でスキーの走らない林道を進み、途中からショートカットして急斜面を朝日台に下りると車のデポ地点までは一投足だ。先着した自分は仲間の健闘を称え握手で迎えた。肘折到着は16時32分と計画より約1時間早かったのは、月山のガスを抜けてからは条件も良く、仲間の足並みもそろいトラブルも無かったからだろう。肘折温泉いでゆ館でゆっくり汗を流し、途中で食事をすると新幹線で帰るU井さんを見送り、車の回収に姥沢へと向かった。来年以降も肘折ルートを踏破できるよう健康と体力を維持し続けたいものである。なお、後でわかったことだが、同じ日に肘折ルートを計画していたパーティーがあった。肘折で見かけた車がそうである。強風のためリフト下駅で停滞していたが結局断念したとのこと。その他にも北月山ルートを諦めたパーティーなどもあったようだ。そこからすれば我々は幸運だったと言える。
※月山肘折ルートの適期は4月上旬から下旬までと考えている。その年の積雪量によっては5月のゴールデンウィークでも可能な場合はあるが、温暖化の昨今でその可能性は多くない。積雪量が少々多くても雪消えが早いからだ。最後まで雪を繋いで滑るには肘折のアメダス積雪量が70センチくらいなら確実、50センチでギリギリ、それ以下になると土の上を歩くようになる箇所が出てくるだろう。さすがに4月も中旬を過ぎると、肘折の積雪量は1日当たり平均で7〜10センチ、日によっては10数センチも減っていく。1週間で50〜70センチも減ることになるので、アメダス積雪量を見ながらツアー予定日の積雪量を予測することになる。ツアー日の天候が良いとは限らないので、勤め人にとって月山肘折ルートの条件が整うのは4月中に1回か2回しかない。思ったよりチャンスは少ないのだ。(K.Ku)