6時半に白石スキー場到着。今日のメンバーはF井さんと南蔵王が初めての大○嬢。登山届をまだスタッフのいないカウンターに置いてスタート。予報どおり天気は良さそうで稜線が見えている。整備中のEコースゲレンデ端を登ったが、急斜面でオッサン2人は大○に置いていかれる。彼女との年齢差30歳を感じる。ゲレンデトップからは自分が道案内で軽いラッセルが続く。樹林帯を抜けると視界が広がり大○にトップを譲る。徐々に近づく南屏風岳の東壁を観察しながら登っていく。南蔵王は夏も含めて初めて来たという大○だが、南屏風岳を滑るということでドキドキして眠れなかったとのこと。いつもは不忘山の山頂直下でツボ足になるのだが、大○はそのままスキーで山頂まで登ってしまった。またしても置いて行かれたオッサン2人も何とかスキーで登る。風もなく穏やかな不忘山頂だ。
山頂から鞍部まではツボ足で尾根を辿る。岩場の下りは足場が悪く滑りやすいので要注意だ。不忘山頂を北側斜面からトラバースしてカットする方法もあるが、斜度があるので自分は尾根を辿ることが多い。鞍部手前の適当なところでスキーに乗る。踏み抜きもあるツボ足よりスキーの方が楽で安心できる。1,732mピーク下まで来ると急斜面でスキーでは途中までしか登れない。いつもはツボ足で登るのだが、今日は権現沢源頭斜面をトラバースすることにした。思ったより斜面がガリガリだったが、3人とも無事トラバースし終えて支尾根に取り付く。急斜面を50mほど登ると稜線に到達する。F井さんを待っていると、ワカンの単独男性が軽快な足取りで追い抜いていった。
数百メートル北へ進むと南屏風岳山頂だが、平坦なので山頂を特定できない。稜線東側に雪庇が発達しているので、北へ移動しながらドロップポイントを探す。良さそうなところを見つけたので準備をして斜面に少し降りる。雪面のチェックをすると安定しているようだ。さらにスキーカットして様子を見て大丈夫だろうと判断。もちろん絶対ということはないが滑降開始。重い雪質に大きなターン弧を描く。一旦止まって上を見上げ大丈夫だとコールする。スキーの名手F井さんは言うまでもないが、この頃メキメキと腕を上げている大○もターンを切りながら滑り降りてきた。東壁の斜度は概ね30数度ほどだが、今回のラインでは40度以上の斜面もある。2人と合流し標高を下げていくと雪がさらに重くなり、稜線からの標高差400m以上の滑降であることを実感する。コガ沢に入り標高1,370mの平坦箇所で休憩とした。少々不格好なシュプールでも見上げながらの昼食は楽しい。
東壁滑降後はコガ沢を滑り降りることが多いのだが、今回は水引入道に登り返すことにした。山頂までは約300mの登り返しである。水引入道と主稜線の鞍部まで登ると、屏風岳の東斜面が大迫力で眼前に迫る。さらにひと登りして水引入道の山頂を踏むとシールを剥がし、東斜面のオープンバーンへと滑り込む。ウインドパックの難しい雪にたまらず転倒する。ここはあまり右に行くとコガ沢に入ってしまうので要注意。夏道のある尾根に乗ると樹林に入るので雪が柔らかくなる。ちょっと樹木が混んでいるが、そこそこツリーランを楽しめる。1,050m辺りで右へ進路を振り、カラマツの植林地をトラバース気味に抜けると林道に出た。スキー場まで15分ほど歩くと計画どおりの15時に到着。センターハウスに下山報告をして今日のツアーも終了。自分としては8回目の東壁滑降だった。
今回のルートは、大斜面の滑降に南屏風岳から屏風岳の山岳景観とツリーランまであり、ダイナミックで変化に富んだ面白いルートだと思う。ただし、ルート中の斜面や雪質変化が多様であり、稜線ではガスや強風になることも多い。リスク管理と天候による判断など総合力が必要になるので、しっかりした計画と気持ちで向かいたい。(熊)
蔵王南屏風岳の東斜面は熊○さんの記録を見てからとても興味のひかれるところだった。いずれはと思い同行のお願いをしていたがなかなか条件が揃わなくて実現しないでいた。天候が安定しそうだと熊○さんが急遽計画してくれたので勢いよく参加表明させてもらった。飯豊の石転びのときもそうだが、大斜面を滑ることを考えるとワクワクして前夜は眠れなかった。
今日は天気もいいが気温も上がる。それによる雪質の悪化やガスが沸いてくることを避けて早めの出発となった。6時半に白石スキー場に集合し受付に登山計画書を置いて出発。営業前のゲレンデでは数台の圧雪車で整備の真っ只中。邪魔しないよう端をシール登行でゲレンデトップへと向かう。風もないのでゲレンデの最後の登りは暑かった。朝のゲレンデからは仙台の街、太平洋方向が見え、普段登って見る景色とは違って感動した。
ゲレンデトップからは樹林の東尾根に入って不忘山を目指す。尾根の中心ではなくコガ沢を右手に見ながら尾根中心より下がったところを歩くと藪が少ないと教えてもらった。試しに少し歩くとどうしても尾根の中心、藪の濃いところへ向かってしまい迂回などで時間がかかる。その間に熊○さん達は少し下がったところから簡単に行ってしまった。効率よく登れるルートをとるのは大切だとよく言われる。経験だと言われるがいつか自分にも登りながらそんなところを見つけられる日がくるのだろうか。
樹林を抜けると南屏風の壁が見えた、気持ちも高まって不忘山の山頂までシールで登ってしまった。岩も所々露出しており、通常は不忘山直下はツボで登るとのことだった。山頂から熊○さんは板を担いで、F井さんと私はザックに板を付けてコルへと向かった。少し風を感じるがこの時期の蔵王では優しいらしい。コルからはスキーを付けてトラバースし南屏風岳の尾根に取り付いた。稜線上はシュカブラで歩きにくい。
熊○さんはこれからドロップするところを探しながら進む。雪屁が崩れて斜面に落ちている場所があった。まずはトップで熊○さんが少し雪屁の小さいところを回り込んで斜面に様子を見に降りた。雪面は安定しているようでそのまま滑っていった。次は自分の番だ。ドキドキしながら滑ると雪が重く、思うようにターンがきれない。結構足にもくる雪だった。勢いよく滑って転倒は避けたいのでゆっくり滑る。スキーのエキスパートのF井さんでさえこの雪は大変だったと言う。コガ沢に入るところまで滑り降り昼食。自分のシュプールはなんとも微妙だったがここにきて南屏風岳から滑りた実感が沸いた。
今回はコガ沢を下らずにシールを付けて水引入道手前のコルへ登り返す。水引入道からは南屏風岳の北方向にある北屏風岳が見える。雪屁も南屏風より発達して斜度もキツい。岩がでている場所なんかはエクストリームの域である。水引入道からは開けたところを滑るがここも雪は重くターンに手こずった。夏道沿いに樹林を滑ると木の影になってるか所々雪がいい。混んだツリーランで熊○さんのみヒャッホーと楽しそうな声が聞こえた。まるで木の方が申し訳なくどけてしまってるのではと思うほど。1000m付近から夏道と離れ右へと尾根を下った。林道にはツボ足と思われるトレースがあった。林道をスキーで漕いでいくと白石スキー場の駐車場に到着した。山頂から滑って終わりでなく登り返してのこのルートは色々なことが体験出来て楽しかった。(理)
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