前日に鳥海山から栗駒へ移動して車中泊とした。いこいの村跡は現在は栗駒高原駐車場と名称を替え冬期の除雪終了点にもなっている。車を止めてライトを消すと満天の星と夜景が見える。駐車場は絶好のビューポイントだ。夕食を終え早々と就寝する。
目が覚めると平日だと言うのに6時前から車がどんどん上がってくる。朝食を摂っている間に何人かが登り始める。皆さんスノーシューやツボ足でスキーの人はまだいない。身支度をして7時15分に歩き出す。ゲートから先、除雪が進んでいるようで道路に雪は無い。除雪された道路の右側を進みショートカットして急斜面に取り付く。雪は堅いもののシールは良く利いてくれる。いわかがみ平への中間地点まで来ると除雪のためのブルトーザーが止まっていた。あと2〜3日もすればいわかがみ平までの除雪は終わりそうだ。
つづら折れの道路の右側を登って行く。急なのは標高970mあたりまでで、上部の傾斜は緩くなる。今年は雪が少ないのだろう、灌木が結構うるさい。歩き始めて1時間、いわかがみ平に着く。やはり雪は少なく駐車場の一部は顔を出していた。空を見上げると青空にうっすらと巻雲が出ている。今日はこのまま天気が持ちそうだ。放射冷却で気温は低い。
ここから夏道とは離れて新湯沢沿いに登っていく。沢沿いの方が雪がしっかり付いているので登りやすい。途中から低木が気になり始める。旨く雪を繋いでオープンバーンへ向って登っていく。気温は低く時間的にも雪が緩むのはまだのようだ。山頂へ向けて最後のオープンバーンの斜面を登る。バーンは堅く、一部は青氷でシールを付けていてもスリップしそうになる。それでもスキーアイゼンを付けないで何とか山頂に上がることが出来た。皆さんスノーシューかアイゼンを付けて登っているようだった。
山頂からは360度見渡せる。昨日登った鳥海山も良く見える。山頂にいた登山者の方と少しお話をしてから滑降の準備にかかる。雪質的にはもう少し緩んでほしいところだが、時間的はまだ10時を回ったところで期待は出来ない。一番楽しいはずの山頂からのオープンバーンは押さえるだけで精一、あっと言う間に滑り降りてしまった。緩斜面になると雪もグリップしてくれるので気持ちよく滑ることができる。高度を下げると幾分雪も緩み、いわかがみ平までの斜面が一番楽しめた。いわかがみ平でスキーで登ってきた二人組とお会いする。バーンが堅いと感じていたのか、山頂付近の雪の状態とスキーアイゼンが必要かどうか聞かれた。これから登るのであれば時間的にも問題無さそうだ。
いわかがみ平から下は、樹林帯に入るまでの間、灌木がうるさいので沢伝いに下ろうか迷ったが、無難に登ってきたルート沿いに下ることにした。潅木を避けながらの滑降は楽しくはなかった。5年前に来たときには灌木はあまり気にならなかったので、今年はやはり雪が少ないのだろう。ゆっくり下って駐車場には11時少し前に着いた。あとは福島に帰るだけなのでハイルザーム栗駒でゆっくりとお風呂に入り食事(いわな丼を食べてみた)をすませてから一般道で福島に戻った。
新型コロナウィルスの影響のようだがハイルザーム栗駒のお風呂は貸切。フロントの係の方もお客様は極端に少ないと言う。4月に入って福島県ではすでに37名の感染者が出ている。福島市内でも小学校が入学式を終えたばかりなのに休校になってしまった。原発事故の時のように山に登るのに、スキーを車に放り込んで、こそこそと夜逃げするように出かけなければならない時がくるのだろうか。それだけは避けたいものだが、山も新型コロナウィルスも初期対応も誤ると重大局面に立たされることだけは間違いない。手遅れだったとならないことを願うだけだ(和)