記録的な小雪と新型コロナウイルスによるダブルパンチで山スキーも散々なシーズンだった。やっと緊急事態宣言が解除されたものの、県外への移動は慎重にという何ともあいまいな呼びかけが行われている。すっきりしない感じがするが、山スキーもこのままで終わってはなおさらすっきりしない。ラストチャンスということで6月6日と6月7日の2日間鳥海山に行くことにした。6日は湯の台ルートを考えていたが、現地情報が不明確ということもあり百宅ルートに変更することにした。百宅ルートは5月30日に行った方がいて、ある程度の情報が得られたこともある。7日は定番ともいえる祓川コースを滑ることにした。
百宅口までの林道にはほとんど雪がない。登山口の駐車場には1番乗りである。大清水休憩所を7時10分スタート。スキーを担いで歩くことになるのだが、今回はスキーブーツのままで歩くことにした。登山道を登っていくがなかなか雪が現れない。左右の沢筋には樹林を透かして雪渓が見えるが、少しばかり雪の上を歩けたとしていずれヤブに阻まれる可能性が高い。雪の方へと行きたい誘惑を我慢して登山道を登っていたが、登山道に雪が被ってきたのでスキーに切り替えることにした。幅の狭い沢筋でも雪の上は快適だ。しばらく歩いていたがやはりヤブに突き当たってしまった。仕方なく登山道へとヤブ漕ぎである。密なヤブを20分ほど漕いで登山道に復帰した。しばらく登山道を登っていたが左に見える雪渓の誘惑に負けてヤブを漕いで移った。しかし、たいして進まないうちにまたヤブに阻まれ登山道に戻る羽目に。なかなか上手くいかないやれやれである。これだけ雪が少なくなるととにかく登山道を歩いたほうが早いようだ。
そうこうしているうちにタッツラ坂の標柱まで来た。この先は雪も繋がっているようなのでスキー歩行にする。それでもいつもと同じラインが取れない。やがて行き詰ってのヤブ漕ぎである。何度目かのヤブ漕ぎにうんざりするが仕方がない。スキーを担いでしかもブーツでのヤブ漕ぎは少しの距離でも時間がかかり体力を消耗する。自分もキツイが山が3カ月ぶりの鶴○さんはさらにキツイだろう。それでも文句も言わずについてくるのはさすが山女である。ヤブから登山道に出て唐獅子平避難小屋に到着し昼食とした。ゆっくり休憩して腰を上げる。小屋から外輪山の登山道まで残りの標高差は500m以上ある。例年は祓川から来たスキーヤーが見える大斜面だが今年は誰もいない。2人で登っていくと鶴○さんが少し遅れがちになる。スキーは今シーズンやっと2回目だという鶴○さん。疲れが出ても当然だろう。斜面を見上げるとスキーヤーが1人滑り降りてきたので祓川の状況を聞くことができた。
小屋から外輪山までは2時間近くかかった。スキーを置いて七高山へ行くと山頂には2人しかいなかった。斜面を見下ろしても人が見当たらない。時間が遅いせいもあるがそれにしても人が少ないのだ。稜線からの滑降は爽快の一言。貸し切りの大斜面を滑るのは最高の時間である。しかし、それもやがてルート探しに集中しなければならなくなる。うっかり滑りすぎるとヤブ漕ぎか登り返しが待っているのだ。雪渓の続く沢を上手い具合に滑っていったものの、先に沢が割れているのが見えてストップ。本日最後のヤブ漕ぎで登山道に出ることにしたが大変だった。密な笹ヤブで50mほどの距離に20分もかかってしまった。自分はこのヤブ漕ぎで右のブーツ爪先のバックルが外れて紛失するというアクシデント。登山道をゆっくりと下り大清水園地の小屋に到着。今日は想定以上のヤブ漕ぎだったが何とか無事終了。計画より1時間半ほど多くかかったがヤブを漕いでいた時間がちょうどそのくらいになる。結局今日の百宅ルートは我々2人だけだったようだ。今日はもう移動せず大清水休憩所に泊まることにした。途中で採ってきたコシアブラにタラノメの若葉、ヤマブドウの芽という現地調達の食材で天ぷらである。乾杯すると冷たいビールが喉に染みた。ほどよい疲れとアルコールが睡魔を誘う。鶴○さんの話に上の空な相槌を打つようになってきた。もうダメだということで寝ることにした。(熊)