1月9日に南屏風岳を滑ろうと向かったがガスで断念した。再トライのタイミングがなかなか取れなかったが26日午前中に行くことにした。午後からは仕事なので時間的には少々タイトな計画とした。白石スキー場のセンターハウスに登山届を置くとスタートした。辺りはまだ暗いが雪明りでヘッデンはいらない。ゲレンデ上部はガリガリで登れなくなり林の中に逃げる。ゲレンデトップに着く頃には明るくなってきた。東尾根を登るのも今シーズン3回目だ。ここしばらく降ってないので雪面は固くラッセルとは無縁だ。曇り空で稜線はガスで見えない。今日はダメかと思ったが時おり透けて見える太陽に期待して登っていく。するとガスが薄れてつかの間だが南屏風岳が見えた。不忘山はスキーを担いで山頂を越え鞍部へと下る。前回の様な北斜面のトラバースは今日の固さではリスクがある。同じ理由とガスのため権現沢源頭のトラバースはせずに尾根を辿る。
急斜面をキックステップでアイハギの峰(1,732m)に登った途端一瞬にしてガスが晴れて青空となった。これには思わず声が出た。南屏風岳の東壁が白く輝いている。シール登高に切り替えて稜線を辿り山頂に到着。空気が澄んでいて月山、朝日連峰、飯豊連連峰に安達太良山などが見える。いつまたガスになるかもしれないので急ぎ滑降準備をしてドロップポイントを探る。雪庇があまり張り出していないこともあり山頂直下を滑ることにした。見おろす東壁の雪面は固く締まっている。雪崩の心配は少ないがハードバーンにいつも以上に緊張する。意を決してドロップする。東壁上部は薄く乗った軽い雪の上にターンを刻む。快調だ。中盤で斜度が増すと突然カリカリのバーンに変わった。バランスを崩して転倒しヒヤリとしたが滑降を続ける。狭くなる下部は横滑りが増えた。400m落とすと斜度が緩むのでひと息つける。やれやれと東壁を見上げるが滑った跡はほとんど見えない。
コガ沢を下降していくと沢が口を開けていたが右岸をトラバースする。同じようにいくつかの穴をクリアして下降し、厳しいところは左岸からツボ足で巻いて越えた。しかし権現沢出合は滝も露出しており越えられずストップ。シールを貼って少し上流へ戻り右岸を東尾根へと登り返すことにした。単独なのでラッセルがあると厳しいが今回は問題なし。出合から50分ほどで東尾根に乗るとスキー場へと滑り降りた。予定の11時前に到着。スキー場で食事をして帰宅すると仕事に向った。
自分が滑っておいて言うのもなんだが、今回の様なハードバーンでの山頂直下はリスクがあり積極的にはお勧めできない。山頂から北へ800mほどの小尾根は比較的おとなしい。その場合はコガ沢を出合まで下らず、途中で水引平から水引入道へと登り返し下降するのも良いだろう。いずれにしても雪質、積雪量、天候など総合的な判断が必要なルートである。(熊)