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No.5654
万治峠 万治峠 672m
山行種別 無雪期一般
まんじとうげ 地形図

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山行期間 2017年9月27日(水)
コースタイム 実川・五十嵐家住宅(7:40)→吊り橋(7:42)→あずまや(8:39,8:46)→万治峠(9:08)→馬取川林道・万治峠入口(9:32)→名乗橋(9:41,9:50)→馬取川林道・万治峠入口(9:58)→万治峠(10:30)→あずまや(10:45)→吊り橋(11:29)→【散策】山神社(11:37)→山渓寺跡((11:42)→駐車場・トイレ(11:43)→五十嵐家住宅(11:57)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
五十嵐家住宅に下る駐車場 五十嵐家住宅は重要文化財に指定されている 五十嵐家住宅の説明文
実川を吊り橋で渡る 万治峠の案内板 苔むした小さな祠
万治峠入口の案内標識 スギの造林地の中を登る 途中の枝沢に滝が架かる
あずまや 熊がかじった跡 堀切された所もある
万治峠に到着 峠の案内板 峠には句碑が立っている
馬取川林道の万治峠入口の標識と案内板 馬取川(まとりがわ)にかかる橋が見えてきた 名乗橋・ここから荒沢集落まで2.6kmほどある
橋の欄干には「馬取川林道のプレートが付いている ツリフネソウ こもれびが心地よい
途中にある鉱山跡の入口 吊り橋まで戻った 吊り橋から実川を覗く
山神社 山渓寺跡の碑 トイレと公衆電話がある駐車場
実川は豪雪地帯、雪崩で道路が通れなくなったときの人が通るための隧道 荒沢集落の万治峠案内板 馬引川林道の起点標

行動記録
 万治峠は阿賀町の荒沢集落と実川(さねかわ)集落を結ぶ峠道である。いずれの集落もかつての会津藩の領地であり、山越えの登山道は現在では利用されていない。万治元年(1658年、徳川四代目家綱、江戸の大半が焼失した明暦の大火の翌年)に開設され、会津藩の実川集落への重要な生活道路として使われていた。現在はハイキングコースとして利用されている。以前から気になっていた万治峠だが今回ようやく足を踏み入れることができた。
 登山口となる実川集落は今では住む人がいなくなったが、実川渓谷森林公園として整備されており公衆電話も付いているトイレのある駐車場もある。集落内には重要文化財の五十嵐家住宅や山神社、山渓寺跡、前川吊橋などがあり散策できるようになっている。駐車場は山渓寺跡に15〜6台、五十嵐家住宅に入るところに4台程度止めることができる。まずは万治峠に登ってみよう。
 五十嵐家住宅入口の駐車場に車を止め、住居前から実川へと下る。すぐに実川にかかる赤い立派な吊り橋(前川吊橋)があるので対岸に渡る。橋の手前には万治峠入口の案内標識があり、渡りきったところに万治峠の案内図がある。すぐ脇には苔むした石の祠もあり、歴史を感じさせる。なかなか雰囲気が良い。まさか360年前にはこんな立派な吊り橋はなかったろうから、どんなふうに実川を渡ったのだろうか。
 登山道は下流に少し行ったら左に折れスギの造林地の中を進むようになる。道はしっかりしていてかつては馬と通ったと言われているのも頷ける。進むにつれ道幅は狭くなり右側は沢へと切れ落ちるようになる。道幅の狭いところにはトラロープも張ってある。本当に馬が通っていたのだろうか。それとも時代と共に崩落が進んで道幅が狭くなったのだろうか。沢の右岸側(左側)の斜面に付いた道は高度感もあり足元が切れ落ちている場所もあるので注意したい。枝沢が何本かは入り、滝がかかっている沢もある。沢水が補給できるので飲み水の心配は無い。
 歩き始めて1時間ほどであずまやに着いた。ハイキングコースとして整備された立派なあずまやだが、ここは熊の生息域でもあり、柱の真新しいかじられた跡があった。熊は塗られた塗料に引き寄せられるようだ。沢沿いに登ってきた道も、ここから尾根伝いに峠を目指す。道は一部崩れかかっているところもあるが堀切された幅のある道も残されている。尾根伝いに登って行くと20分ほどで万治峠に着く。峠には小川芋銭が詠んだ「わするなよ万治峠のほととぎす 芋銭子」と刻まれた句碑か立っていた。また案内図の後のアカマツの脇には飯豊山の石碑もあった。北側だけが見通すことができ、大日岳へ続く尾根の一部が見える。案内図のところから高井峠(788.3m三角点峰)へ向かってしっかりした踏跡が付いているが途中で藪が被さるという。
 荒沢口へと下ってみた。急峻な実川側の道と違い、穏やかに下って行く。急斜面はジグザグに道が付いていて急な下りは無い。沢まで下ると道は広葉樹林帯の尾根の右側をトラバースするようになる。その尾根を越えて反対側の斜面に出て下り始めると荒沢側の万治峠入口は近い。9時32分、馬取川(まとりがわ)林道に飛び出す。国土地理院の地形図と道が合致しないので、この先がどうなっているのだろうと林道を下ってみた。20分としないで馬取川にかかる名乗橋に着く。ここで地形図の道と合致したので小休止とした。名乗橋は荒沢集落から2.6kmの位置にあり、歩いて30分ほどの道のりである。帰りに車で調査してみると地上高のある車であれば問題無く登山道入口まで登ってくることができるようだが、林道は刈り払いされていないので、車を回しておくのであれば無理はしないで荒沢集落まで歩くのが賢明のようだ。
 さて調査も終わったので実川へ戻ることにしよう。馬取川林道の万治峠入口から峠までの登り返しが30分、実川の前川吊橋までが1時間ほどかかる。下山途中に鉱山跡の入口を見つけた。何を掘っていたのかはわからないが、人工的なもののようだ。赤い吊り橋が見えてきたら実川集落は近い。吊り橋を渡ったら左に向かい山神社に寄ってみた。数本の古いスギの木は立派な太さがある。神社前の朽ち果てた木株は低い石垣に囲まれていたので、こちらが本来のご神木だったのだろうか。山渓寺跡を周り公衆電話とトイレのある駐車場を写真に収めてから五十嵐家住宅入口の駐車場ら戻った。湯ノ島登山口へは実川集落から10kmほど奥になる。集落を過ぎたところでゲートがあって一般車の乗り入れはできない。車を置いていくのであればトイレのある駐車場を利用するのが良いだろうがゲートまでは1.4kmほど多く歩くようになる。
 旧会津藩奥川と実川は大出戸峠と万治峠で繋がる。現在の福島県側・西会津町には、その他に車峠、鳥井峠、束松峠、九才坂峠、楢ノ木峠、花立峠、陳ヶ峯峠、杉峠、大倉峠などがある。興味は尽きない。機会があればぜひ訪れてみたいものだ。(I.I)

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