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No.5668
御神楽岳・水晶尾根
山行種別 無雪期一般
みかぐらだけ・すいしょうおね 地形図

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山行期間 2017年10月9日(月)
コースタイム
蝉ヶ平登山口(6:21)→湯沢の出合(7:11)→本名穴沢出合(8:10)→トマノ左俣出合(8:25)→水晶尾根上(12:00)→山伏の頭(14:57)→湯沢の頭(15:13,15:23)→湯沢の出合(17:21)→蝉ヶ平登山口(18:40)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
道は広谷川左岸に延びる 途中から沢を歩く ラクダの窓沢
本名穴沢出合 左のトマノ左俣へ入る 沢筋を辿った
スラブを登る 突破に時間を要したルンゼ 尾根直下の岩壁
やっと尾根に乗った 山伏尾根と本名穴沢源頭のスラブ つばくろ尾根
この岩峰が御神楽槍か 念のためロープを出す ここは右から巻き気味に登る(残置あり)
高度感がある 山伏の頭が大きく見えてきた 山伏ドームが目立つ
ギャップへ下降 高度を上げてゆく 右から巻くところ
湯沢の頭が近づく 紅葉のヤブを漕ぐ 湯沢の頭に出た
栄太郎新道で下山 滑落しない程度の急ぎ足で下山 登山口に到着

行動記録
2年前御神楽岳に登ったのだが、その凄絶なスラブ群の景観に圧倒された。その中央を割るように水晶尾根があり、実際見てみると自分が登るなどということは考えようもなかった。その時の記事にtabilogue2さんから水晶尾根などについていくつものコメントをいただいた。水晶尾根について以前登った時のことを、tabilogue2さんのブログに掲載したとのことで、大変興味深く読ませていただいた。いつしか触発され登ってみたいと思うようになったが、自分は経験&実力不足でハードルが高かった。しかし、今年はメンバーさえそろえば行けるかなと思うようになり、後伸ばしする年齢ではないことから思い切ってトライすることにした。メンバーは同じ年のY島さんに技術体力兼ね備えたK樹さんという、自分以上のクライミング能力のあるメンバーで固めた万全のパーティー。とは言えネットで探しても水晶尾根の記録は少ない。ましてやこの年代のパーティーが登っている記録などない。とにかく気負わず自然体で登ってみようと向かうことにした。
 登山口手前の駐車スペースに到着すると大人数のパーティーが朝食中。その脇に車を入れて聞くと栄太郎新道で御神楽岳に登るとのこと。こちらは3人なので手早く支度を整えるとお先にとスタートした。ガスがかかっていて青空は見えないが晴れることを期待しよう。登山口で登山届を入れて歩き始めるとほどなく、最近と思われる崩落個所があり下から回り込んで通過する。道は広谷川の左岸をほぼ水平に延びてゆく。50分ほどで湯沢の出合に到着。御神楽岳へと至る栄太郎新道はここから右に折れて登るのだが、水晶尾根へはさらに広谷川沿いに進む必要がある。湯沢の出合から先はやや不明瞭になるが道は続いている。しかし、たいして進まないうちに道が無くなったのか見失ったのか分からなくなり広谷川に降りた。左岸にラクダの窓沢が現れ見上げると二つの峰があり、それが沢の名前の由来なのかと思った。特に問題なく遡行していくが、1箇所喉のように狭まった所でヘツリを諦め左岸を高巻いた。沢に戻ると右岸から笹倉沢が出合い、さらに200mほど進むと左岸から沢が出合う。意外なほど狭い出合いで水流も細いが、どうもこれが本名穴沢のようだ。水晶尾根への取り付きはここからになる。
 ナメの小滝をいくつか登っていくと開けてきて左から枝沢が出合う。記録ではトマノ左俣を登るとあったのでこれがそうだろう。枝沢を登っていくと斜度が増しかなり立ってくる。ロープ無しで登れる限度まで頑張り右へ逃げた。後から分かったのだが、もっと手前で右のルンゼに入るのが素直なルートだったようだ。それとは知らず我々はヤブとスラブのミックス斜面を登っていく。スラブでロープを1ピッチ出すとさらに切り立った斜面になった。岩が微妙に滑りやすくて細い潅木を頼りに直上するにはリスクがありすぎる。右手のルンゼがなんとか登れそうに見え、K樹さんがトライするがなかなかロープが延びていかない。セミのように斜面にとまった自分とY島さんからはよく見えないので待つしかない。声をかけるとハーケンの利かない岩で潅木もなくランニングビレイが取れないのだという。それでもK樹さんはじりじりと登り突破に成功。セカンドで自分が登ったがとにかく悪い。よくぞ登ったものだ。結局この部分の通過に1時間以上かかってしまった。残置が見当たらなかったことからすると、おそらくこの箇所は登られていないのだろう。他の記録ではこれほど時間がかかっていない。もっと右手のスラブが本来のルートのようだ。自分のルートミスである。その後はロープを出すことなく30分ほどで尾根に乗った。尾根からは右にドームが特徴的な山伏尾根、左には御神楽岳のスラブ群が見える。予定よりだいぶ遅れているが、眺望と高度感を楽しみながらの昼飯にした。
 水晶尾根にはいくつかの岩峰がある。最初の岩峰(御神楽槍?)は念のためロープを延ばしたが、無くても問題はない程度だ。次の岩峰には古い残置ボルトとハーケンがあった。ロープを出して右から回り込むように登る。本名穴沢のスラブが眼下で、なかなかにしびれる高度感が味わえる。その後は快適に尾根を辿ると、前方には山伏の頭が近づいてくる。途中でちょっとしたギャップがあり少し下降して登り返す。湿度が高いのか自分は大汗をかいているのに、細身の2人は涼しい顔でどんどん先行していく。標高が上がると徐々にヤブも色づいてくる。右から山伏尾根が近づいてきて水晶尾根と合わせると山伏の頭だ。もう稜線も近い。斜度も緩やかとなり最後に紅葉のヤブ斜面を登ると、湯沢の頭で登山道に出た。
 下山は栄太郎新道なのだが、これがなかなかの道で走れないので時間がかかる。登山道というレベルではなくバリエーションルートそのものである。山伏尾根を今度は反対から眺めながら下っていると、来年還暦記念に登れるだろうかと思う。滑落しない程度の急ぎ足で下り、何とか暗くなる前に厳しい場所は通過した。しかし、たちまち暗くなり湯沢の出合の手前でヘッデンを点ける。我々が湯沢の頭にいるとき下山してきた単独男性が、後を追って必死についてきている。仕方ないので彼がついてこれるようゆっくり歩いて無事登山口に到着。御神楽温泉(500円)で汗を流して帰宅の途に就いた。
 水晶尾根は基本的にはヤブ混じりの岩稜歩きだが、周囲のスラブ群を眺めながらの登攀は楽しい。水晶尾根も含めてこの御神楽岳のスラブ群は、アプローチが楽であればもっと登られるのだろう。しかし、踏み込む者が限られた現在の静かな状態が、ある意味理想的なのかもしれない。我々にとって今回の核心は尾根への取り付きルートだった。そこをクリアできれば、それ以降はさほど難しい箇所もない。とはいえパーティーや時期(雪渓のあるなし)によって所要時間はかなり違うと思われるので、登ってみようと計画する場合は注意したい。我々は自宅からの日帰りで行ったのだが、年齢的なこともありそこそこハードに感じた。取り付きの下見も兼ねて湯沢の出合あたりで前泊とするのが望ましいと思う。(K.Ku)

ルート 登り=赤 下り=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、 第353号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。


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