天候・晴
花塚山は川俣の人たちにとって、昔、小学校の遠足で登ったと言われるぐらい親しまれている山のようだ。県道原町川俣線の飯舘村との町村境・水境に林道花塚線の大きな看板がある。ここから花塚の里を目指して舗装路を進む。登山口には簡易トイレがあり、5,6台は停められる。以前あった駐車場は除染廃棄物の仮置き場になっている。花塚の里には子供向けのアスレチック遊具や滑り台がある。なぜここに廃棄物を置くのだろう。
沢を左に見ながら進むと鳥居が出てきて、放鹿神社が見える。神社の前に花塚山頂への標識がある。秋晴れに恵まれ、キラキラと輝くような紅葉に目を奪われながら整備された登山道を進む。こんなにお天気の良い休日なのに人に会わない。登り始めると少しづつ露岩が出てくる。花塚山は霊山、天王山、大滝根山などと同じく阿武隈高地の花崗岩の山で、長い浸食に耐えて残ったルーフペンダント(根なし岩)状の残丘と言われるものだそうだ。(福島県地学のガイドより)確かに、散在する岩は大滝根山や丸森の岩によく似ている。行者戻し岩には鎖がついている。この後も大きな岩が次々出てくるが、巻き道があるので安心だ。途中には優しげな顔の奪衣婆の石像もある。石室のような御室岩、行合道との道を分け、鎮護の岩、座禅岩、御鏡岩を通って稜線の分岐に出る。右に折れて山頂を目指す。
富士山が見えるという松の木岩、富士見岩に着く。この日は天候に恵まれたのだが残念ながら私の目では富士山は確認できなかった。山頂にタッチして北峰へ向かう。途中、花塚台があり展望が良く利く。その脇には鎖がついている護摩壇岩があり登ることができる。東屋もあり見晴らしがいい。一旦比曽堺へ下り、北峰へと登り返す。北峰から下り始めると、すぐに堅岩の標識があるのでそれに従って左に進む。現れた堅岩は圧巻だった。斜めに傾いていて倒れそうに見えるが先の震災でも乗った岩が崩れることはなかった。高さは30mだそうだ。正面から見ると達磨落としのように見える。
しばらく岩を鑑賞したら花塚の里へと向かう。ここからは沢筋をたどるところもあり足元が滑りやすくなる。何本かの尾根を越えるのでアップダウンを繰り返す。標識がしっかりしているので最後まで迷うことはない。落葉松の落ち葉が秋の光の中をさらさらと降ってくる中を登山口へと戻った。(T.F) |