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No.4261
塩ノ川・下部
阿武隈川支流荒川
山行種別 無雪期沢登り
しおのかわ 地形図 土湯温泉

トップ沢登り>塩ノ川・下部(思いの滝〜ぎんぜんの滝)

山行期間 2009年8月22日
コースタイム 東北電力女沼取水口駐車場(7:51)→思いの滝(8:09)→捲き終了(8:24)→砂防ダム越え終了(8:50)→登山道手前30m滝(11:06,11:20)→捲き終了・登山道徒渉点(11:47,11:56)→的場川出合(12:01)→つばくろ滝(12:27)→捲き終了(14:35)→ぎんぜんの滝(14:47,15:17)→捲き終了(17:15)→登山道(17:24)→登山道徒渉点(17:49)→東北電力女沼取水口駐車場(19:22)
写真
思いの滝は遊歩道から降りることができる 電力の取水堰から見た思いの滝 思いの滝2段目を上から覗き込む
思いの滝を越えるとすぐに堰堤 堰堤の左岸を越えることができる 堰堤から川床に降りる
パイロットから続いている道の橋の残骸 8m×20mの斜瀑、水量は多い (9:18)左岸枝沢には滝がかかる
(9:49)6m滝 途中の瀞 釜を持つ小滝
小滝が続く (10:18)柱状節理が出てくる 河原歩き続く

 
塩ノ川最大の30m滝
大きな岩を越えていく つばくろ滝
微妙なへつりもある つばくろ滝の捲きの最後は懸垂で降りる
5m斜瀑は右岸を越す ゴルジュの奥には「ぎんぜんの滝」が見える 帰りの登山道の塩ノ川出合
写真は拡大してみることが出来ます

行動記録
 塩ノ川を下部から溯行しようとすると源頭の浄土平まで2日かかる。今年の課題として上部と下部をそれぞれに1日行程で計画したが、上部は雨のため、ことごとく中止になってしまった。
 高山側の塩ノ川右岸の崩落がひどく、沢の様相が変わっていることもあって「つばくろ滝〜ぎんぜんの滝」のゴルジュ通過に要する時間が計算できないでいた。前に行っていた調査でも「つばくろ滝」も「ぎんぜんの滝」も最短での捲のルートを見つけ出せなくて退却を余儀なくされていた。
 土曜日に休みがもらえたので、塩ノ川の思いの滝からぎんぜんの滝までの溯行計画を立てた。四季の里に一旦集合してから土湯の女沼を目指した。
 東北電力女沼取水口の駐車場に車を駐めて身支度をし、溯行開始となる「思いの滝」へ向かう。遊歩道を18分ほど歩くと塩ノ川の女沼への取水堰に着く。沢は全体的に暗く、水量も多い。思いの滝は1段目の滝が5m、中間に深い釜を持ち、上部の2段目の滝は10mほどである。過去の記録には下部10m、上部15mとあるが、ちょっと高めに見積もっているような気がする。滝の高さは実際に計測することは難しいので、記録する人によって異なることもあり、しかたがないこととされている。
 右岸のザレ場の急斜面に取り付き、少し登ると微かな踏跡を見つけることが出来る。これが思いの滝の捲き道で、釜の上部まで上がると古いトラロープが張ってあった。
 次に大きな砂防ダムが出てくる。上部が2段になっていて迫力がある。左岸にステップがついているので、これを利用する。沢に戻るには最上部の堰堤からステップを使って沢床に降り立つことができる。
 8時48分、コンクリートの大きなブロックに出合う。これはパイロットから来ている道の潜り橋の残骸で、ここからも塩ノ川に入ることが出来る。次に4m斜瀑、8m×20mの斜瀑が出てくる。両岸は磨かれた岩で直登できない。左岸に捲き道を求めると、一段高いところにしっかりした踏跡があった。
 この先、数本左岸から枝沢が合わさる。顕著な右支沢には15mほどの滝が架かる。9時39分、6m滝、続いて7m滝が出てくるが、いずれも右岸を小さく捲くことができる。この後も小滝が連続する。
 10時33分、左から小沢を合わせると、崩落地に出る。高山は以前から脆弱な地質であると言われていたが、真新しい崩落現場は、まさにそれを証明しているようだ。
 長い崩落箇所を過ぎると左から2段15mの滝を架けて支沢が合わさり、次に塩ノ川最大の30m滝が出てくる。
 しばし見事な眺めを楽しんでから、右岸を捲いて登山道へと出る。登山道はゆるやかに塩ノ川へと下り、渡渉して浄土平へと向かう。今では歩く人もほとんど無く、廃道化しつつある。特に仙水沼から先のヤブがひどい。
 登山道出合から再び溯行を続ける。5分ほどで的場川出合、さらに25分ほど進むと、今日の目的の一つである「つばくろ滝」に着く。35年前には滝の手前まで何とか登れて滝を見ることが出来たが、今では大岩が行く手を阻み滝の全容を見ることは出来ない。
 捲きにかかるが、崩落が進んでいることもあって小さく捲くルートを見つけ出すことが出来ない。すぐ脇の右岸のボロボロの支尾根に取り付くが上の台地までトラバース可能な箇所は見あたらなかった。結果、前回の予備調査同様に上部の台地まで追い上げられてしまった。台地まで上がると微かな踏跡がある。
 すぐに下降に入る。木の根を支点にしてザレた急斜面をトラバースしながら下降する。フィクスを張って2ピッチ下降し、最後は25m目一杯の懸垂下降で沢床に降りた。
 次に5mの斜瀑が出てくる。右岸を上ると、ゴルジュの奥に「ぎんぜんの滝」が姿を現す。落差は10mはあるだろうか。
 この時点で、時間は14時45分、すでにタイムオーバーである。フィックスを張って下降する途中に引き返すことなど頭をよぎることも無く時間は刻々と過ぎていた。
 ぎんぜんの滝は右岸捲きであることは頭に入っていたが、左岸のバンドを何とか越せないか突っ込むが上部は岩が張り出し越すことは出来なかった。30分時間をロスして15時17分、右岸の岩場とザレ場を直登することにした。
 50mロープを目一杯延ばし2ピッチで台地まで登り返した。5人のメンバー全員を引き上げた時点で、時間はすでに16時40分を回っていた。
 本来は戻るべきところだが、先月下見をしていたゴルジュ帯の上部から登山道に抜けることが可能なので、先に進むことにした。17時15分、ゴルジュ帯をパスして沢に降り立つ。左岸の斜面を登れば登山道はすぐである。
 17時24分、男沼〜浄土平の登山道に出る。つばくろ滝まで1時間、登山道に抜けるまでさらに2時間のタイムオーバーである。今回の山行の目的はクリアーしたものの、予定より3時間も遅れての行動は問題を残した。
 つばくろ滝からぎんぜんの滝とその上の10m滝までのゴルジュ帯の通過は踏跡も無く、崩落も進んだこともあって、すべての滝の確認と完全溯行が目的でなければ、一括して捲いた方が無難だし時間の計算も立つ。そうすればつばくろ滝からぎんぜんの滝の捲きは1時間ちょっとで済むと思う。
 登山道を下り、塩ノ川を渡渉して男沼へ向かう。しばらく行くと周りは暗くなり、久々にヘッドランプをつけて歩くことになった。車を置いてきた東北電力女沼取水口の駐車場へは19時22分に着いた。捲きで3時間半のロスタイムをしてしまい、大幅に行動予定をオーバーしてしまった。反省をしながら福島へと戻った。(I.I)


溯行図



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