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No.4399
振子沢
白石川松川流域・濁川支流
山行種別 無雪期沢登り
ふりこさわ 地形図 蔵王山

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山行期間 2010年7月10日(土)
コースタイム 賽ノ磧(8:21)→振子沢出合(8:58)→振子滝手前(9:37,9:47)→下段落口(9:56)→上段落口(10:19)→休憩(10:40,11:00)→お釜(11:38)→濁川源頭(11:56)→濁川・大黒天(13:08)→不帰ノ滝落口(13:37)→濁川・大黒天(14:24)→大黒天(14:36)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
濁川に降り立つ、前方には不帰ノ滝が見える 振子沢の大岩の登りが楽しい 下段の振子滝
上段の滝を左岸から捲く 上部は景観が一変する 大株のコマクサもあり撮影会となった
お釜の水際まで降りてみる 濁川の小滝を懸垂下降する ゴルジュを通過する

行動記録
 スタート地点となる賽ノ磧の駐車場に移動し、さらにゴール地点の大黒天に下山用の車をデポしておく。天候は曇りで蔵王の上の方はガスの中で見えない。風もあるので稜線歩きならあまり楽しくないかもしれないが、今日の沢登りには何の支障もない。沢装備を身に付け準備を終えると賽ノ磧の駐車場を出発する。
 少し歩くと登山道はひよどり越えと呼んでいる濁川への急な下りとなる。つい3ヶ月前にはこの急斜面をスキーを担ぎ、雪壁にキックステップで登ったのだが今は深い緑に覆われている。深い谷筋を挟んで対岸には振子沢と振子滝が見える。急斜面を150mほど下ると濁川に達する。上流に遡ると前方に不帰ノ滝が見えてくるが、すぐ振子沢の出合となりそちらに歩を進める。振子沢はゴロゴロした大岩が多く乗り越えながら登っていく。ザイルを出すほどのところはないが、自分なりのラインを考えながら登っていくのは楽しい。
 出合から40分も歩くと振子滝の手前に到達した。振子滝は上下2段になっていて、見上げている下段の滝は30〜40mほどありそうだが、ここまで近づくと上段の滝は見えない。休憩しながら振子滝を見ていると、落下する細い水流が風で左右に揺れる。その様は時計の振り子のようでもあり、なるほど振子滝と名付けられるわけだと納得。
 下段の滝は左から滝沿いに直登するように巻く。浮き石が多いので先行者は石を落とさないように、後続になる場合は落石に特に注意しなければならない。実際この時も小落石が発生した。巻き終えると上段の振り子滝だ。こちらも高さは30〜40mくらいだろうか。昨年のほぼ同時期の遡行記録では雪渓があったようだが、今年はもう見あたらない。
 下段の落ち口近くからはいい眺めだが、危険なのであまり覗き込まない方が良いだろう。東を見ればコマクサ平などのエコーライン沿いの建物や不帰ノ滝が見える。向こうの展望台から我々は見えているだろうか。
 上段の滝も直登は出来ないので、水量の少ない流れを反対側に渡り滝の右側(左岸)の崩れやすいザレ場から巻く。ここも要注意の箇所だ。上段の滝に降りるには岩場のトラバースも必要なので慎重に歩こう。我々は使わなかったが、不安な場合はロープの利用も考えたい。上段の落口近くに降り立つと、小さなコマクサが我々を迎えてくれた。
 ここから上の沢は景観がうって変わり岩綾地帯となる。水量は少ないが深くえぐれたゴルジュ状の箇所もあり、脇の岩場を歩くこととなる。沢登りというよりも岩登りというか岩綾歩きの印象となる。上の方は相変わらずガスがかかっているが、かえってこの荒涼とした岩場の印象が幻想的に見える。途中で休憩を挟みながら登っていく。
 振子沢の源頭まで登ってきた。ガスで周囲はよく見えないが鞍状の平坦な箇所にコマクサが沢山咲いていた。しばし自然の花壇で満開のコマクサを眺める。花の咲いていないまだ小さな株も多いので、足下に十分注意しながら歩こう。小沢沿いに少し下り、左手の斜面を登ると向こう側は蔵王の「お釜」である。ガスのため残念ながら刈田岳は見えないが、お釜のグリーンの水面と外輪の斜面は見える。水際まで降りてみる。
 お釜の外輪を反時計回りに歩くと濁川の源頭になる。刈田岳を経由して登山道で大黒天に下りることもできるが、今日は濁川をそのまま下る。下り始めるとすぐ小さな滝があった。覗きこむと高さはたいしたことなく5mくらいのようだが、落ちればただではすまない。ザイルを出し懸垂下降の準備をする。支点は岩にザイルを掛けて取ることにした。全員降りてからザイルを引いたが、どこかに挟まったのか外れてこない。仕方ないので途中まで水をかぶりながら登り返し何とか外した。やれやれと思ったら滝の途中の数十キロはありそうな岩が、ガバッと外れて落ちてきた。クラックが入っていたのでその岩は避けて登ったのだが、もし下にいたらと思うとゾッとする。
 すぐ同じような高さの滝があり、これも懸垂下降で降りる。その後は谷底のような濁川を歩いていく。右手を見上げると刈田岳〜大黒天の尾根が見える。この辺りは斜面のあちこちで崩壊しており、川には大小様々な岩が転がっている。大黒天の直下で小休憩とした。
 斜面の上には観光客がいてこちらを見ている。ここからさらに濁川を下る。途中ゴルジュがあったが、水量水深ともさほどではないので楽しく越えることができる。
 6mほどの滝があったが右岸から巻いて下りた。大黒天直下から500mほどで不帰ノ滝の落ち口だ。この滝は高さが約100mあるらしく、下を覗きこむにはかなりの勇気がいるというか危ない。向こうにはコマクサ平の空中にせり出したような展望台があり観光客がいるのが見える。手を振ると向こうでも振り返してくれた。向こうから我々をいったいどんな気持ちで見ているのだろう。落ち口近くに立っている我々は、かなり危なっかしく見えるに違いない。
 景観と涼感(スリル)を楽しんだ後は、また濁川を登り返す。戻る道すがらならぬ川すがらフキとウドを採取。平地では時期を過ぎているが、この辺りの沢沿いではまだ食べられるものが採れる。大黒天直下から急斜面を登ると、まさにエコーライン沿いの大黒天標識のところだ。駐車場にデポしてあった車に乗り込み賽ノ磧へと戻ると、今回の沢登りも終了だ。今回は不帰ノ滝落ち口まで行くというサプライズもあり、とても楽しみ満足できた沢登りだった。振子沢は落石に注意するところはあるもののそれほど難しくはないが、景観が素晴らしいのでまた登ってみたいものだ。一緒した皆さんありがとうございました。(K.K)

溯行図



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