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No.4409
樋ノ沢、穴戸沢
名取川流域大行沢支流
山行種別 無雪期沢登り
といのさわ、あなとさわ 地形図 作並

トップ沢登り>樋ノ沢(遡行)、穴戸沢(下降)

山行期間 2010年7月25日(日)
コースタイム 登山口(7:55)→支沢へ下降(8:56)→大行沢(9:05)→樋ノ沢出合(10:16)→二俣(11:06)→ヤブ漕ぎ(11:24)→登山道(12:33)→権現様峠(12:42)→穴戸沢(13:08,13:41)→穴戸沢林道(16:05)→ゲート(17:13)=登山口(17:30)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
大東岳裏コース登山口 大行沢の入渓点 水量が多くないので楽しんで登れる
大行沢のナメ 今回の沢で一番大きい滝 樋ノ沢のナメ
ブナやナラの林なので藪漕ぎも比較的楽だ 穴戸沢の入渓点 この日の懸垂下降はここ1箇所
倒木を利用してゴルジュを下降 営林署表示板 林道ゲート

行動記録
 大行沢は仙台市の秋保地区の二口水系で、大東岳の南側から西側に回り込んでいる沢だ。始めに下降する穴戸沢の中流部に車をデポするため穴戸林道に入る。しかしほどなく施錠されたゲートが現れた。真新しいのでつい最近設置されたもののようだ。しっかりとナンバー錠で施錠されているところを見ると、作業関係者か地元住民以外は入れなくしているようだ。デポ予定地点はこのゲートよりかなり奥なのだが、これではどうしようもない。
 相談したが結局帰りの林道歩きを覚悟し、ゲート前の道路脇にKさんの車をデポした。ゲートが設置された理由はわからないが、不法投棄などを防止するためだろうか。入山者のマナーが悪いと、結局自由に入れなくなり自分で自分の首を絞めてしまうというわけだ。私の車で大東岳の登山口に移動する。
 登山口では高校の山岳部が大東岳裏コースを出発しようとしていた。引率の先生以外は全員「山ガール」だ。我々も準備をし後から追いかける。途中で休憩中の山ガール達を抜き歩を進める。裏コースの登山道は大行沢に沿っているが、梯子滝のある京渕沢を渡るところで大行沢から離れて高度を上げる。登山道がやや下り加減になると左手に支沢が見えてくる。どうもこれが岩床沢のようだ。下降すると大行沢に出合った。
 大行沢のナメを「天国のナメ」と言うらしいが、それは東北大ワンゲルがそう表現してから定着したことのようだ。しかし岩床沢出合から登り始めても、しばらくはナメどころかゴーロが続く。ナメはどこへと思ったが、やがてナメ床になってきた。しかし天国のナメと言うほどか?とも思ってしまう。ここは新緑か紅葉の時期に来れば印象が違うだろうと話す。沢床もヌルついて滑りやすく印象はイマイチ。とまあ辛口の感想となったが、天国のナメというフレーズからすればということであって、十分美しい沢であることは間違いがない。とりわけブナ林とナメ沢の取り合わせというのはなんとも良い雰囲気がある。
 滝の数も多くなく直登可能な滝ばかりなので、お互い相手のラインを意識しながらあえて違うラインで登ってみたりする。そうこうしているうちに樋ノ沢出合だ。ここは大東岳から小東岳へとつながる登山道が沢を横切っていて、樋ノ沢避難小屋がある。そして沢はこの出合から樋ノ沢と名前を変える。Kさんが避難小屋を見てきたら今朝の山ガール達が休憩中だったようだ。小休憩の後、樋ノ沢を遡上する。
 沢は小ぶりとなるがナメが続く。大行沢よりもナメの度合いからすれば多いのではなかろうか。しばしヒタヒタと静かなナメの沢歩きを楽しむ。滝もあるが楽しみながら越えられる。880mあたりで二俣に出合った。
 ここを右俣へと進んだがこれが誤りだった。地図を見て考えていた二俣と勘違いしてしまったのだが、その二俣はもう少し先にあったようだ。しかしその時はそう思わなかったわけで、右俣を少し登ってから左手の斜面に取り付き登山道を目指しヤブを漕ぎ始めた。しかしどうもおかしいと二人して頭をひねり始めることとなった。左手方向の木々の間から、沢をはさんだ向かい側に尾根が見える。あの尾根は登山道のある尾根ではないか。GPSも見ながら方向を修正し登山道に向かうことにする。
 しかし登山道のある位置に着いたはずなのに登山道が見つからない。ヤブを漕ぎながら右へ左へと登山道を探しながらブナ林をさまようこととなった。ヤブに入ってから1時間以上過ぎてようやく登山道に出た。
 それにしてもおかしい納得がいかないと2人でつぶやくも、内心はかなりホッとしていた。どうも地図にある登山道の位置と実際の登山道の位置がずれているようだ。地図とGPSがあれば大丈夫かというと、逆にそれらに頼ってしまうことにより想定外の状況になるとかえって混乱してしまう。登山道を歩いている分には少々ずれていようが何の問題もないのだが、今日のようにヤブを漕いで道を目指すというときは問題になる。またひとつ勉強になった。
  細い登山道でもヤブ漕ぎから見えれば舗装道路にも感じる。スタスタと歩を進め権現様峠まで来た。ここは登山道が十字交差しているのだが、ここでも我々はなぜかルートミス、慌てて戻って大東岳への登山道へ入り直す。200mほど進み、沢音の聞こえる左手へ斜面を下ると穴戸沢に出た。ところで穴戸沢は国土地理院の地図でそう表記されているのでここでも穴戸沢としているが、登山大系では穴堂沢と表記されている。各種の記録でも両方使われている。ただ営林署の看板では沢沿いの林道が穴戸林道とあったので、ここでは穴戸沢と呼ぶことにする。
 穴戸沢に入ったところで昼食タイムとしたが、Kさんがうーめんを持ってきた。冷えたうーめんを薬味のきいたツユですすると美味い!Kさんごちそうさま。
 さてそろそろ帰らねばと穴戸沢を下降する。沢は登りよりも下りが難しい。滝などは登るときに下から見るとラインが見えるし、ホールドやスタンスもわかりやすい。しかし下りで上から見下ろす滝はがぜん難しくなる。ラインがよく分からないことが多く、やっと降りて下から見上げてなあんだということも多い。それでも上流部は小さな滝が多かったので楽しみながら下ることができた。
 懸垂下降は1箇所8mの滝で行っただけ。その1箇所のためにずっとザイルを担いで歩いていた。その他にもゴルジュあり泳ぎありと結構いろんな要素が詰まっている沢だった。この沢は今度は登って楽しみたいものだと思った。
 猿倉沢出合の少し下で右岸の斜面を登るとすぐ林道に出た。十分車が走れる状態の林道だ。しかし今日はここから延々と林道を歩かなければならない。退屈な林道歩きを1時間以上してやっとゲートに到着。距離にして5.7kmほどあった。デポしてあった車の脇でアブに襲われながら着替えし今朝の登山口へと向かった。穴戸沢だけでなくエシコ沢、鹿内沢、高倉沢など穴戸沢流域の沢に登ろうとすると、林道歩きを覚悟し時間を十分に見るか、自転車の利用を考えてもよさそうだ。(K.K)

溯行図



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