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No.4425
寺沢
安達太良川支流
山行種別 無雪期沢登り
てらさわ 地形図 玉井、安達太良山

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山行期間 2010年8月30日(月)
コースタイム 県道380号線・寺沢出合(8:37)→二ツ岩(11:09)→ナメ滝(11:46)→二俣(11:57)→3m滝(12:26)→中島(12:17)→遡行終了(12:44)→尾根(13:41)→前ヶ岳(13:51,14:21)→作業道(15:16)→県道(16:01)→県道380号線・寺沢出合(16:12)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
歩き始め倒木を越える うっそうとした樹林帯 大きな岩が二つ
ようやくナメが出てきた 沢はこんな感じ 3時間以上歩いて二俣到着
沢は和尚やまへ突き上げる 遡行を終了し尾根を目指す 後ろを振り返ると和尚山が間近に見えた
前ヶ岳までは風のためほとんど植生はない 前ヶ岳の山頂には1本の棒が立っているだけ ルートを探しながら下山する

行動記録
 寺沢は安達太良連峰の和尚山(おしょうやま)1,630mと、そのすぐ東に位置する前ヶ岳(まえがだけ)1,340mに源を発する沢だ。沢登りの対象になるような沢ではないらしく記録は見あたらない。吾妻と安達太良の沢を地域調査として、小さな枝沢までかなりの数を登っている福島登高会でも記録はない。Iさんからの誘いがあったので行ってみることにした。
 県道380号は県道とは言っても細くて曲がりくねった道だ。寺沢に架かる橋を過ぎたところに駐車スペースを見つけ車を停める。準備して橋まで戻ると橋のたもとにある林道に入る(8:37)。すぐ寺沢へと降りると堰堤があり入渓する。小さな沢で両側は杉の植林地が続く。倒木もありヤブが被って煩いところも多く歩きにくいが、下流の方はこんなものかと諦めるしかない。地形図で見ても寺沢の等高線は、幅がほぼ一定間隔になっているので変化のない沢だろうとは思っていたが、まさしく現地もそんな状況だ。もしかしたら滝など出てこないかもしれない。
 全然記録するような箇所が出てこないので遡行図も描きようがないねとIさんとも話す。1時間半ほど経ったところで大きな岩が2つあり、その間を沢が流れている場所が現れた(11:09)。やっと記録できる場所だ。勝手に「二ツ岩」とすることにした。植林地を過ぎミズナラなどの林になってくるとやっと沢らしくなってくる。ナメ滝(11:46)があったが普通なら小滝として特に気にも留めない箇所も、寺沢では数少ない滝のひとつだ。二俣(11:57)が現れたので地形図を見て右俣へと進む。
 沢が2つに別れすぐまた合流する場所があり、中之島でもないのだが適当な名称も思い当たらないので中島とした(12:17)。ゴロゴロした岩が増えてきて斜度も増してくる。左岸は前ヶ岳へとつながるのだが稜線は見えないためGPSで現在地を推定する。前ヶ岳とその北にある ピークとのコルに突き上げるであろう箇所で赤布を木に結んだ。もう少し登ってみて、状況によっては沢を戻りここから稜線を目指すつもりだ。
 沢は両岸ともミズナラやブナの高木で、下草にササがあるくらいなので思いのほか明るい感じがする。かなり高度を上げてきたのだが、沢はまだ源頭部の詰めという感じでは無い。このまま登ると和尚山の東壁に突き上げそうだ。ちょうど沢も所々湧水のように湧き出てくるようになり、このあたりを事実上の源頭部として遡行を終了することにした。左岸を登って稜線を目指すことにする。Iさんのナビゲートで方向を修正しながら、ピークの南側のコルを目指す。始めは笹ヤブだったが、灌木も混じってくるようになると少々漕ぎづらい。それでも1時間弱で尾根に出ることができた。振り返ると和尚山が間近に見えた。
 強風のため植生がほとんど無い稜線を前ヶ岳まで歩く。コルでは小石の風紋ができていたが、それほど吹き抜ける風が強い場所なのだろう。東に見える和尚山などはここより高い場所まで緑なのと対照的だ。木柱が1本立っているだけの前ヶ岳山頂に到着(13:51)し、やれやれと昼食を取る。今辿ってきた沢とヤブこぎした斜面を見ながら、こんなことする物好きもあまりいないよなと思う。しかし、人の臭いのまったくしない山の中を歩いてここまで来たことに充実感があるのも事実だ。そう感じるからこそこんな原始的山歩きがやめられないのだ。でもおそらく昔にも、狩猟のためか好奇心で寺沢を歩きヤブをこいだ人間が必ずいただろうと思う。結局人間はいつの時代も同じなのではないだろうか。
 山頂からはこの頃歩く人が増えてきたらしい踏み跡を辿る。あちこちテープがあるが、踏み跡が明瞭でない箇所も多いので見失わないように下りたい。昨年はここを登って山頂からは真っ直ぐ東側にヤブこぎして下山したことがある。小一時間下ると作業道に出た。しばらく歩くと県道に出る(16:01)。山頂からは1時間40分ほどで下山。そこから県道を少し歩くと寺沢の橋に戻れた。

※後日調べたら、寺沢はかなり昔に和尚山の中腹に在ったという相応寺という寺への道だったという見方もあるらしい。標高1,100m付近にその寺院跡がまだ残っているという。相応寺は807年に安達太良眉岳(まゆだけ)に創建されたという。眉岳というのはまさに前ヶ岳のことだという。「まゆだけ→まえがだけ」に変化したのだろうか。地名ではよくあることだが。寺があったと考えると和尚山というのもうなずける。しかし別な記録を見つけて読んだら、和尚山が眉嶽(眉岳)で前ヶ岳は杉田山であったという推論もあるという。う〜む謎めいて興味をそそる。とにかく一度寺院跡を見てみたいものだ。(K.K)

溯行図



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