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No.4454
横川右俣〜中俣
栗子山系・摺上川流域小川支流
山行種別 無雪期沢登り
よこかわみぎまた〜なかまた 地形図 栗子山

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山行期間 2010年11月20日(土)
コースタイム 林道入口6:31=林道ゲート(7:01)→巻き開始(7:41)→左俣入渓(8:21)→中俣出合(8:38,8:46)→二俣(9:00)→遡行終了(10:22)→文珠山(10:49,11:19)→794ピーク(11:52)→右俣支沢源頭部(12:15)→562ピーク下二俣(13:10)→左俣出合(14:02,14:19)→支沢出合(14:47)→林道(14:54)→林道ゲート(15:27)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
横川林道入口、奥に見えるのは建設中の東北中央自動車道 あるような無いような踏み跡をたどる 横川左俣に入渓
3m滝 中俣出合から右沢へ 二俣を右沢へ
文珠山山頂へ 右俣支沢の源頭部 流木が多い
滑ればずぶ濡れなので慎重にへつる 穏やかな沢歩き 熊の足跡?
 
やむを得ず水に入るところも 小滝でも釜のある滝が多い
左俣の15m2段滝
小規模なゴルジュを抜ける 林道へと向かう小沢には誰が付けたかテープが 林道到着

行動記録
 20日土曜日は福島市近郊の山中で沢納め。早朝自宅を出て国道を走ると、県境にある気温計はなんと0度だった。こんな時期に東北で沢登りやる人はまずいないだろうなと思いつつ、Kさんとの待ち合わせ場所へと向かう。今日の沢登りはKさんの計画に便乗させてもらったのだが、Kさんとは昨年も11月上旬に沢に入っている。今年はさらに遅い時期での沢登りとなった。今日入る沢はKさんも初めてで、参考となるのは25年以上前の記録と当時行った人の記憶しかない。2人とも踏み込んだことのない山域でもあり、地形図とコンパス・GPSが頼りだ。
 国道13号の高平トンネルを抜け山神橋の手前で横川林道に入る。右手の民家を過ぎると林道ゲート。このゲートに通行止め看板はあるが鍵がかかっていないので通過は可能。ただし前日下見したKさんによると路肩が崩れているところもあるらしい。ゲート手前の空きスペースに駐車する。林道を歩くこと約40分。支沢を高巻くため杉の植林された斜面を登る。山の手入れのためか、かすかな踏み跡がありたどる。支沢の源頭部を横切り、横川左俣のかなり高い場所を高巻いていく。かなりの急斜面で、頼りない踏み跡さえほとんど無い箇所もあり気は許せない。足を滑らせれば数十mの滑落の可能性も。Kさんが滑り落ちるが数mで止まり事なきを得る。踏み跡はやがて横川左俣に合わさる。記録によると左俣下流にはゴルジュと滝が連続して横川右俣に合わせるらしい。
 沢に降りて遡行を開始。両岸はV字斜面だが沢は平坦で穏やかな印象。途中で左岸に道があるのに気付いてその道に上がり歩く。数百mで中俣出合に着く。ここまでに空き缶数個を発見。人がそこそこ入っているようだ。沢登りや山登りの対象にはないっていない山域なので、釣りか山菜キノコ採りだろう。
 出合で休憩。この辺りは地形も穏やかで沢というよりは小川という印象。出合から右の中俣に進む。相変わらず平坦なので沢も蛇行を繰り返す。キノコでもないかと辺りの倒木に目を配るが見あたらない。その代わりワサビが多いのが目についた。
 出合から4百mほどで二俣。右沢に入り沢登りというより沢歩き。この時期は森の木々もすっかり葉を落とし明るい印象。この辺りはその昔炭焼きが盛んだったというが、そのため周囲のナラやブナは2次林で若い木が多い。記録するほどの滝なども無く高度を上げ、やがて流れは細くなり溝状になる。落ち葉の下に水流も隠れると源頭も近い。足下がぬかるんできたのを期に左の斜面に上がり文珠山を目指すことにする。平坦な尾根で勘違いして三角点を探すのに手間取ったが、GPSの力も借りて三角点に到着。日差しも出て暖かい山頂で昼食とした。山頂といっても林の中で展望は北側に少しあるだけ。普段とは違う方向から眺める山がなんなのかサッパリわからない。さすがに蔵王連峰だけはわかったが。
 下りは右俣(横川本流)を下降する予定。道無き山を当たりをつけた方向へと下る。方向を誤るとあさっての方へと行ってしまうのは過去に何度か経験済み。地形図にある794mピークらしきところから東に方向を変え右俣の源頭部を目指して斜面を下る。その間も倒木を見てみるが食べられるキノコは皆無。斜面に溝形になり細い水流が現れる。下降を続けると支沢の合流を繰り返し流れは徐々に太くなってくる。滝などの詳細な記録は遡行図とあわせてリーダーのKさんに譲るが、大きな滝は無くあっても3m程度。しかし倒木流木が多くて歩きにくく、スタンスが細かい岩質なので滑らないよう注意が必要。濡れないようにしようと思うと小さな滝でも俄然難度が上がってしまう。連続する小滝を下ると、左から支沢をあわせて二俣になる。地形図に水線は入ってないが562mピーク下からの沢である。
 二俣からは勾配がぐっと緩くなり平坦な流れになる。白っぽい岩の滑床が続き何本もの支沢を合わせる。この沢にワサビはとんと見あたらないが、岩魚の魚影は多い。この沢も3mほどの小滝ばかり。しかし水量が多いせいか立派な釜のある滝も多く、そんな滝は小さくても巻かないと下れない。砂地で熊の後ろ足か?と思われる足跡を発見したが確信はない。いずれにしてもこの山中では彼らが主役。我々は招かれざる客人なのだ。
 ゴルジュ状の箇所もあったが規模は小さくさほどではないので、夏ならば楽しい水遊びとなるだろう。自分はつまずいて転び、半身ずぶ濡れになってしまった。いやはや冷たい。二俣から1時間弱で左俣出合。左俣に入ってすぐに、横川で一番大きな滝があるらしいので見に行く。28年前の記録では20mの2段滝とされていたが、自分には15m程度に思えた。ザイルの支点を作りながら左岸から突破できそうだ。この滝の上部はゴルジュ帯で滝が連続し、今朝この沢へと下降した地点へとつながる。
 戻ってさらに30分弱下降を続けると右手から支沢が入る。小さいので見落として行き過ぎ、Kさんに呼び戻される。この支沢を少し登り急斜面をよじ登るとカーブミラーのところで林道に出た。今朝林道から杉の植林地に取り付いた地点のわずか100mほど手前だ。見ると支沢からでなくとも、林道から横川本流へ下る踏み跡があるのを見つけた。あとは林道を下るのみ。山の上の方は陽があたり暖かそうだが、日蔭の林道は気温が下がってきた。明るいうちに下山できることにホッとしながら歩く。
 林道歩きがあったこともあり結構時間がかかったが、沢を登り道無き山中を歩いたのだから、これでもスムーズにいったほうだろう。何かトラブれば下山時は暗くなることもありうる。今日は計画より1時間出発を早めたのだが、結果的にはそれが良かったようだ。沢登りとしては非常に地味というか、普通は沢登りの対象にならない沢だが、登山道の無い文殊山の山頂を踏みルートファインディングをして別な沢を下降するという面白さがあり、晩秋の1日を楽しむことができた。さて、これで今年の沢登りは終了だ。山スキーに切り替えてこれから半年間の雪山通いが始まる。(K.K)

溯行図



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