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No.4530
仏沢
安達太良山・高森川流域
山行種別 無雪期沢登り
ほとけさわ 地形図

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山行期間 2011年7月24日(日)
コースタイム 駐車場(9:05)→仏沢左俣(9:12)→引き返し点(9:25)→右俣入渓(9:35)→12m滝(9:48)→取水堰(10:10)→5m斜瀑(10:44)→ナメ滝からトイ状滝まで(11:19〜12:05)→休憩→登山道(14:15,14:35)→箕輪山(15:00)→駐車場(16:32)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
駐車場から沢へと下る 水量の少ない右俣へと入る 階段状の12m滝
ホテルへの取水堰 何箇所か小滝がある 5m斜瀑
8mナメ滝好きなラインで登る 右から小沢を合わせて左へ曲がる ナメが続く
沢はいったん狭まる さらに傾斜のあるナメが続く キンコウカ
トイ状の先に大岩が 左から越える 滝枝をかいくぐる
ヤブだがこれでもまだ沢の中 ヤエハクサンシャクナゲ(吾妻山のものは国指定天然記念物) 山頂で空間線量測定
測定値0.12μSv/h 眼下にスキー場のゲレンデを見ながら下山 ヨツバヒヨドリ

行動記録
 仕事で予定が立たなかったこの週末だが、なんとか日曜日は休めるようになったので、Iさんの沢登りに便乗させてもらった。仏沢はまだ登ったことが無く、そのうちと思いながら何となく延び延びになっていたので、ちょうどいい機会となった。仏沢は高森川の支流で、箕輪山と鉄山の鞍部を源頭とする比較的短い沢だ。国道115号の岩弓橋から高森川に降り、すぐ仏沢を登ることが出来るのだが、下部は滝もなく単調な沢なので、今日は箕輪スキー場のホテル脇から沢に降りるようだ。曇ってはいるが空は明るく、予報でも雨の心配は無さそうだ。福島市の四季の里で集合し、乗り合わせて現地へ向かった。
 箕輪スキー場のホテル駐車場に止めさせてもらう。ちなみにホテルは震災と原発のことがあり、次のスキーシーズンまで休業中だ。ホテルへの車道脇から沢への小道を下る。すぐ沢に着くがこれは仏沢の左俣で、少し下ったところから右俣に入るとのこと。沢を下るがどうも右俣を見落としとしてしまった、200mほど下って作業小屋を行き過ぎたことに気づいて戻ることに。なんと二俣になっている地点は、先ほど沢に入ったところからいくらも下らないところだった。Iさん、Kさんとも仏沢は初めてではないのだが、たまにはこんなこともある。
 2:1くらいで左俣より右俣のほうが水量が少ない。本流は右俣なのだが、上の方でホテルに水を引いているのでこうなっているのだという。右俣は何の変哲もない小さな沢で、単調な沢歩きが続くが前方に滝が見えてきた。階段状になった斜瀑で、高さは手前の2mの落差も含めて12mくらいだろうか。難しいところはないので、各自思い思いのラインで直登する。
 その後はまた淡々とした沢歩きが続くと、右岸にホテルへの取水堰があった。ホテルで使う水をここからパイプで引いているらしい。その後は2〜3mの小滝を何箇所か越えると5mの斜瀑。ここは左を直登できるが、自分はあえて水流寄りを直登する。沢にはゴロゴロとした大岩が多く苔むしている。やがてナメ滝が見えてきた。
 目の前のナメ滝は10mほどだが、その後もナメは続いて左に曲がっているようだ。ここまでは比較的変化の少ない沢だったが、いよいよ仏沢を楽しめるところに来たようだ。取り付きの8mナメ滝はフリクションも効くので、各自好きなように登っていく。50mほどナメを登ると、左岸から2つの小沢を合わせ沢は左へ曲がる。ここの曲がりにあるナメ滝を単独の6m滝としてもいいが、見るとその先もまだまだ続いているのでその考えはやめる。
 曲がるといったん沢はトイ状に狭まるが、また広がりスラブのナメ滝となる。フリクションはあるので、滑りやすいところを注意すれば直登していける。左岸から支沢を合わせるところで、キンコウカが咲いていた。
 スラブに続くトイ状の先で、チョックストーン状に大岩が詰まっている。ここは左から乗り越える。その後も続くナメ滝を登るとまた大岩の詰まった滝で、ここも左から乗り越える。すぐ8mトイ状滝があり、ここを越えると仏沢の核心部も終わりとなる。前半は単調だった仏沢だが、このナメ区間はなかなか楽しめた。GPSによるとこの区間の水平距離は約300m(主たるナメ区間はその前半200m弱くらいか)、標高差は100m以上あったようだ。平坦になった沢で休憩とする。
 平坦になり沢はヤブっぽくなってきた。頭の上に枝がかぶさるようになり、やがて腰をかがめたり膝をつかないと歩けなくなる。しばらく我慢して歩いていくと、徐々に笹が増えてきて頭が上に出るようになる。右には鉄山、左には箕輪山の尾根が見えてくると源頭も近いはずだが、ヤブ漕ぎで歩みが遅いためかなかなか近づかない。1560mを越えたあたりで、右へ曲がり鉄山避難小屋へと突き上げる沢と別れ、鉄山と箕輪山のコル(鞍部)を目指しヤブに突入するが、残雪期なら沢に残る雪渓を追い、鉄山避難小屋に向かう方法もあるようだ。笹とシャクナゲとハイマツを250mほど漕ぐと、僧吾台からの登山道を合わせる三叉路のすぐ近くに飛び出した。
 しばしの休憩後、箕輪山の山頂(1,728m)までひと登り。途中で単独行者とすれ違うが、この日会ったのはこの1人だけ。途中でも何箇所か計測してきたのだが、山頂でIさんの放射線測定器で空間線量を計ったら、0.12μSv/h (毎時マイクロシーベルト)程度。この数値を正しいとすれば、ここは問題のないレベルと言えるだろう(ただし局地的に数値の高い場所が存在する可能性もある)。山頂からの下山は時折陽も差し、暑くてダラダラ歩く。1時間半もかかってようやく駐車場に到着、今日の沢登りを終了した。
 仏沢の美味しいところだけ楽しむのなら、左俣にあるホテルの取水施設からパイプ沿いに歩いて取水堰から沢に入り、ナメ区間を楽しんでまた沢を下降するのが最短行程となろう。そうすれば5時間程度の行動時間になるのではないだろうか。ただし下降には安全のためロープが必要となろう。仏沢は沢登りとしては比較的地味な沢になる。しかし、積雪期に山スキーでこの山域に入る我々にとって、実際に歩いて地形を自分の足で確認してみるということは重要なことである。(K.K)

溯行図


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