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No.4655
小阿寺沢
蔵王・白石川松川流域澄川支流
山行種別 無雪期沢登り
こあてらさわ 地形図

トップ沢登り>小阿寺沢

山行期間 2012年6月30日(土)
コースタイム 登山口(10:24)→入渓(10:37)→F1・10m(10:53)→F2・6m(11:18)→F3・2段15m(11:28)→F4・6m(12:20,13:05)→休憩→F5・5m(13:33)→F6・6m(13:38)→枝沢(13:45)→涸れ滝・10m(14:00)→岩場下部・20m(14:20,15:06)→岩場上部・20m(15:09)→ヤブ漕ぎ(15:36)→登山道(15:59)→休憩→ゲレンデトップ(16:17)→登山口(17:28)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
F1 同じくF1 ナメが続く
 倒木利用でF2を越える F3 ランニングビレイ中
F3を乗り越える F4 この水流を横切る
水流突破中のTさん F5 F6
スキー場へのパイプ 枝沢の大岩 涸れ滝
岩場 岩場の登攀 上部の岩場
高度感がある ヤブ漕ぎ ゲレンデを下る

行動記録
 小阿寺沢はマイナーな沢である。どこにでもあるような沢で、普段は登山者が渡渉するのと釣り人が入るくらいで、いたって静かな沢だ。小阿寺沢を沢登りの対象としてみても、美渓というわけでもないし、見事な滝があるわけでもない。しかし、直登可能な滝、ロープ練習になる滝、シャワーを浴びる滝ありとバラエティに富んでいる。さらに枝沢を詰めれば、大岩帯や高巻きに岩場まであるという、なかなかに内容の濃い沢なのである。また、アプローチも楽で駐車場所にも困らないという、沢シーズン始めのトレーニングとして見れば、うってつけの沢だと思う。それがゆえ、地元山岳会などを中心に地道に登られ続けているのだ。自分は3年前に初めて登って以来毎年訪れ、今年で4回目となる。しかし、枝沢まで詰めたのは単独で登った初回だけだ。今回は3人パーティーであり、今登るとあの頃の印象とどう違うのか興味津々だ。
 えぼしスキー場の手前1km弱のカーブに、小阿寺沢コースの登山口がある。道の両側に結構広い駐車スペースがある。小阿寺沢コースは前烏帽子岳を経由して後烏帽子岳へと至る登山道だ。登山口より歩き始め、小沢をひとつ越えると小阿寺沢。早速入渓する。しばし沢歩きをするとF1斜瀑で、高さは10mほど。この滝は斜度が緩く、好きなラインで登ることが出来る。とはいえ少し滑りやすい岩もあるので、2人は岩が乾燥している右壁から、自分は水流右を登る。岩は中途半端に水がかかるところより、水流の中の方が滑らない。F1の上は長いナメとなりF2まで続く。
 F2(6m)は倒木が掛かっている滝だが、以前とは倒木の状況が変わっている。Tさんは右の草付きを、Yさんは倒木を渡り、自分は左から倒木を潜ってと三者三様に登る。F3(2段15m)は斜瀑で直登可能だが、練習の意味でロープを出すことにした。自分がトップで登り、ランニングビレイを2箇所取る。久しぶりのロープ操作なのでぎこちない。F3を少し時間をかけて登ると、またナメと小滝をしばらく歩く。
 釜のあるF4(6m)の左壁には、昨年あったトラロープがまだそのまま下がっていた。釣り師が付けたものだろうが、もちろん利用する気はないので無視する。この滝は右壁から2/3まで登り、バンドを左に水流を横切りトラバースする。自分がトップで登り、バンドでハーケンを打ってランニングビレイ。気合いを入れて水流を突破し左へ移ると、スタンスが乏しい落ち口を力任せに体を上げる。すぐ側の木にランニングビレイを取ると落ち口を横断し支点を取った。Tさんにはプルージックで、Yさんはエイト環グリップビレーで登ってもらう。この辺りのやり方はいろいろあると思う。同じ滝でも条件やメンバーで変わるだろう。臨機応変に対応できるようになりたいものだ。滝のシャワーでは雨具を着ても、水の冷たさと水流の強さに息を呑むような感じがする。そこで動きを止めずに一気に突破することを心がけたい。陽が当たるところで冷えた体を温めながら昼食休憩とする。
 F5(5m)はハングしている滝で左から巻く。以前より少し崩れたような感じがするが、特に問題なく乗っ越せる。すぐF6(6m)が現れるが好きなラインで登れるので、暑いときはシャワークライムもいいだろう。突然黒いパイプが現れると、間もなく右に枝沢が見える。この黒パイプはスキー場の給水用のものだ。枝沢は水量が少なく、場合によっては水流が無いときもあるので見落とさないよう注意が必要だ。枝沢に入ると大岩の涸れ沢となる。少し登ったところで右手にスキー場への道があり、ここで遡行を終了すれば半日コースとなる。しかし、赤テープがあるとはいえ、ポイントがわかりにくいので注意が必要だ。大岩を右に左に乗り越えながらぐんぐんと高度を上げていく。
 15分ほど登ると正面に衝立のような涸れ滝が現れる。右から巻けないかYさんが偵察するがどうも悪そうだ。前回と同じく左から巻くと、涸れ滝の上の岩場に出る。涸れ滝と言えなくもないが、この場では岩場と表現する。スラブ状の岩の先に岩壁があり、ロープを出してYさんがトップで登る。最上部は少々強引に体を引き上げることになるのだが、体の小さいTさんがどうしても登れず、自分がクライムダウンしてサポートする。下をのぞくとなかなかの高度感。今回はやらなかったが、おそらく左から巻き続けても登ることが出来るだろう。さらに上にも岩場があり岩壁になっているが、階段状なのでロープを出さず登った。しかし、高度感はかなりあり不安に思うようなら、躊躇せず始めからロープを出した方がいいだろう。結局、涸れ滝から岩場を含め、標高差で80m以上登ったようだ。
 岩場を越えればもうロープを出すようなところはない。枝沢を詰めていき、頃合いを見て右手のヤブに突入する。20分ほどヤブ漕ぎをすると登山道に飛び出した。しかし、後でGPSのトラックを見ると無駄に歩いたようで、上手くやれば半分ほどのヤブ漕ぎでゲレンデに出ることができたようだ。休憩してからゲレンデをテクテクと歩いて登山口に到着、今日の沢登りを無事終了した。
 あらためて小阿寺沢は、いろいろな要素の詰まった面白い沢だと感じた。枝沢に入ってすぐスキー場への道を下るのであれば、足並みのそろったパーティーなら半日でも可能だ。枝沢を登り岩場もやるのであれば1日になるが、こんなところがあるのかと意外性のあるこの岩場は経験してみても面白いだろう。今回は7時間以上かかったが、度々ロープを出したのでこんなものだろう。是非他の方にも登ってもらい、感想を聞きたいものだ。(K.K)

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