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No.4672
小松原沢
二口山塊 名取川二口沢支流
山行種別 無雪期沢登り
こまつばらさわ 地形図

トップ沢登り>小松原沢

山行期間 2012年8月25日(土)
コースタイム 二口林道ゲート(7:37)→入渓(7:43)→南沢出合(8:11)→桂沢出合(9:04)→小松倉沢出合(9:36)→銚子大滝(10:13,11:46)→左沢出合(12:16)→奥の涸れ三俣(12:32)→ダンゴ平登山道(12:52)→休憩(12:56,13:22)→神室岳山頂(13:42)→二口沢出合(17:00)→二口林道ゲート(17:37)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
開かずの二口林道ゲート 二口沢に入渓 8mナメ滝はホールドが細かい
ナメが続く 4mナメ滝 頑張るSさん
4mナメ滝は右から鍋越沢が落ちる 2段7m滝 ヒラタケ発見
6m階段状の滝 二俣は正面が桂沢で左が本流 右岸はテン場の好適地
7m滝 左が小松倉沢で右が小松原沢 6m滝は左を登りお助けロープを出す
 トイ状多段5m滝 12m滝は右岸を巻く 銚子大滝50m
滝の下部は立っている 高度感があるのでロープを出した 残り1/4を右の岩場から登る
銚子大滝のすぐ上の7m滝 へつりを楽しむ 泳ぎも楽しむ
癒しのナメ 一段高い左沢に入る わかりにくいが涸れ沢の三俣になっている
わかりにくいが涸れ沢の三俣になっている 神室岳を目指す やっと南沢の沢形を見つけた


水のない南沢を淡々と下る


最後は林道を下る
ルート図

行動記録
 仙台市の西部に位置し、宮城県と山形県の県境尾根になっている山塊を二口山塊と呼ぶ。大東岳を盟主として、磐司岩という巨大な岩壁があり、秋保大滝など多くの滝があり渓谷の美しい山域である。沢登りの対象となる沢も多く、大行沢などはナメの美しさで知られており、地元ならず遠方より訪れるパーティーも多い。自分も地元ではあるのだが、これまで遡行した沢は、大行沢(上部のみ)、樋ノ沢、鳴虫沢程度で少ない。今回は名取側の上流二口沢の支沢のひとつ、小松原沢を遡行し南沢を下降してみることになった。
 二口林道のゲート前スペースに駐車。ゲート脇をすり抜けて橋を渡り、さらに150mほど歩くと急な右カーブになり、ここから二口沢に入渓する。しばらくまとまった雨が降っていないので、幅広いナメの沢を流れる水は少ない。歩き始めるとすぐ、左から風の堂沢を合わせる。小手調べのような4m滝を越えると、次の10mナメ滝は岩表面の凸凹が細かい。他のメンバーは右から巻き始めたが、水流右脇が何とかなりそうに見える。トライするとかなり微妙で、滑り落ちそうだが何とかクリアする。
 小滝や挟みながらナメが続く。水量が少ないせいもあり、流れは平坦なナメの上を薄くなり水深なんていくらもない。入渓して30分ほどで、左から下降に使う南沢が合わせる。こちらはさらに水量が少ない。時折ゴーロもあるが、やはりこの沢の基本はナメだ。手前に小さく2段ある4mナメ滝になると、そろそろSさんたちもトライし始め滝の中央を登るが、表面がヌルっていて登れなくなりTさんがシュリンゲを出した。ここは一見登りにくそうな左からの方が楽なのだ。この日誰かも言っていたが、ラインを見つけるのはパズルのようで面白い。
 次の4mナメ滝は同じ釜に右からも10mナメ滝で鍋越沢を合わせる。2段7m滝を各自好きなラインで越えると、Tさんがヒラタケを発見。6m階段状の滝も同じ釜に、右から細く12mで枝沢を合わせる。続いて3m、4mと越えると二俣になる。いや、二俣というより左からの本流が直角に曲がるところに、真っ直ぐ枝沢の桂沢を合わせる感じだ。水量比は5:1といったところか。しかし自分はここを最初、小松原沢と小松倉沢の二俣と勘違いし悩んでしまった。この日は地形図から読み取った標高と、GPSでの標高に結構ズレがあったことも判断を迷わせた。
 さて、小休憩の後に左の緩やかな斜め滝状の本流に入る。すぐ平坦になり、沢が左に曲がるところに焚き火跡があり、恰好のテン場となっているようだ。釜のある7m滝を右から登るとほどなく、左から小松倉沢を合わせると、緩やかに右へ曲がり小松原沢となる。今日は水量比が1:1程度に見える。小松原沢になって最初の6m滝では、今日初めてお助けロープを出す。次の3m滝、6m滝を越していくと、面白い形のトイ状多段5m滝。そのすぐ上には比較的大きな滝があったが、これはまだ銚子大滝ではなくその手前の12m滝だ。右岸から巻くが、踏み跡を追うと落ち口よりだいぶ上がりすぎてしまった。残置シュリンゲがあったので利用し、10mほど懸垂下降して沢床に降り立った。他の記録を見ると、途中で踏み跡を無視してトラバースすると落ち口のすぐ上に出られるようだ。なおこの滝は、水量の少ないときなら直登できるようだ。
 目の前に銚子大滝が姿を現した。細い水流がスケール感を狂わせるが、一般に言われているように50mほどあるようだ。銚子大滝を見て行けると思えたら直登しようと考えていた。今日は水量が少ないので、シャワーでの直登もやりやすい。銚子大滝は離れて見ると直瀑のようにも見えるが、近づいてよく見ると滝の傾斜はある程度寝ていることがわかる。直登することに決め、ラインはシャワーで4/5まで登ってからバンドを右に逃げ、残りの岩場を登ることにする。Tさんにビレイヤーをお願いし、自分がトップでロープを引いて取り付く。下部は立っているが幅が狭い凹状の流れなので、それほど苦労せずに登ることが出来る。もちろん水量が多かったり、水が冷たかったりすればそう簡単にはいかないだろう。後はしっかりホールドとスタンスを確かめながら登っていくだけだ。右へのバンドのところでピッチを切る。ハーケンで支点を取り、3人に登ってきてもらう。こんな滝の登攀までやるとは思っていなかったであろうMさんたちだが、ロープが張ってあることもあり、あまり時間もかからずに登ってきてくれた。つるべでTさんが右壁を登り、後続2人に続いてもらう。自分は中ほどをフリーで登る。4人がこうしている間に、Nさんは時間短縮のため、単身で左岸から巻いて既に上がっていた。それでも銚子大滝で1時間半ほど費やしてしまった。今回は上部を右に逃げたが、見たところそのまま水流を直登も可能だったかもしれない。ただし、結構ヌルって滑りやすいところも多いので、トライする場合は注意されたい。
 銚子大滝のすぐ上の7m滝を右から巻くと沢がぐっと狭くなり、ミニゴルジュに小滝が続く。最初の5mトイ状滝のへつりでは数人がドボンしたが、蒸し暑いこの時期の沢泳ぎは、かえって気持ちが良いというものだ。左に右にと直角に沢は曲がり、4m、4m、4mトイ状と続く小滝を楽しく越えていく。釜のある3mナメ滝を過ぎるとナメが続き、左の一段高いところから左沢を合わせる。今日は神室岳(仙台神室)と山形神室の間のコル、ダンゴ平に出ようと考えているので、この左沢に入る。
 しばらくナメが続き、水が涸れると三俣に突き当たる。地形図からは読み取れず迷ったが左を選択。やがて沢形があいまいになってきてヤブこぎとなるが、Tさんをトップに10分程度ヤブを漕いだら登山道に飛び出た。予定どおりダンゴ平に最短ルートで出られたようだ。昼食休憩を取ってから神室岳の山頂に登る。登山道はここまでで、この先は踏み跡が少しあるもののそれもすぐ無くなってしまう。南沢を目指してヤブを漕いでいくのだが、大体の方角さえキープして下降すれば、やがて沢形が現れるだろうと考えていた。今度は自分がトップで汗をかこうと、どんどんヤブを漕いでいく。やがて沢形らしきものが現れ、これだろうと下降していくが、何となくおかしいと思いGPSで確認してみると明らかに間違っている。思い込みで下降してしまい、細かくチェックしなかった自分のミスだ。ガスがかかり周囲の山並みが見えなくなってきていたので、もっと注意すべきだったのだ。結局、急斜面のトラバースと登り返し、現在地チェックなどで1時間以上ロスしてしまった。
 正しい方向にヤブを下っていくと、南沢の枝沢であろう沢形が現れてくる。しかし下れども下れども水流が現れない。1030mの二俣でやっと少し水流があり、水を補給することが出来た。その後また水は無くなり、流れが続くようになったのはだいぶ下ってからだった。南沢はナメがあるものの滝らしい滝もなく、沢登りの対象とはならないような沢だ。やがて二口沢と合わせ本流に戻ると、やれやれとひと息つくことが出来た。沢の下降中に暗くなるのを避けるため林道を歩くことにする。沢の左岸上に見える翠雲荘を経由し林道に上がる。翠雲荘は造林小屋だが、避難小屋としても解放しているようだ。後はゲートまでゆっくり歩き、30分ほどで暗くなる前に着くことができた。時間ロスはあったが、何とか計画の30分遅れで下山。歩いた距離は10キロ未満だが、いろんな意味で内容の濃い沢登りであった。(K.K)

溯行図

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