Fukushima toukoukai Home page
No.4674
白水沢
甲子山・阿武隈川源流
山行種別 無雪期沢登り
しにみずさわ 地形図

トップ沢登り>白水沢

山行期間 2012年9月1日(土)
コースタイム 大黒屋(8:16)→入渓(8:23)→白水の滝・10m(8:26)→Y字6m滝(8:42)→衣紋滝・20m(8:51)→二俣(左俣へ)(10:21)→奥の二俣(右沢へ)(10:30)→右沢の二俣(11:30)→3段30m涸滝(11:40)→ヤブこぎ(12:23)→登山道(12:38)→甲子山頂(13:07,13:38)→大黒屋(14:50)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
大黒屋の敷地内を通る 阿武隈川本流の橋を渡る(正面から白水沢が出合う) 堰堤から遡行開始
白水滝10m・左壁から登る 最上段はお助けロープを出す すぐ上の堰堤は左岸から巻く
6m斜滝は上部の水流がY字になっている 右や左とラインも人それぞれで面白い
衣紋滝20m 右岸から巻く 10m斜滝
10m斜滝上部から 8m滝 右岸を登る
落ち口がちょっと微妙 へつりで遊ぶ 二俣
左俣へは倒木をくぐって進む 奥の二俣 Yさんがリードで登る
皆さん慣れてきてスムーズに登る 上から見るとそれぞれ釜のある4段であることがわかる 右沢の二俣
8m滝 3段30m涸滝 二俣を右へ
徐々に源頭部の様相に 雨の中で最後の分岐は左を選ぶ 登山道を甲子山頂へ向かう

行動記録
 一路高速を白河へと走る。高速を降り途中のキョロロン村でYさん、Kさんと合流。大黒屋のホームページには、登山の場合は「車で来る場合、旅館のすぐ隣に空き地がありますのでそちらに駐車してください。」とあるので、大黒屋入口すぐ下の空き地に車を駐めさせてもらう。今日のメンバーは8人、沢登りのパーティーとして8人というのは多い方だ。普通は4〜5人くらいまでのパーティーで、スピーディーに行動する。難所があると人数分の時間がかかり、行動時間がどんどん長くなってしまうからだ。
 登山道には大黒屋の敷地を横切ることになる。ちょうど食事中の宿泊客が広間のガラス越しに見え、お邪魔虫の我々はそそくさと通り過ぎる。すぐ橋があり阿武隈川本流を渡る。本流は味気ない3段のコンクリート堰堤で水を落としている。正面からは白水沢が合わせるが、そちらにもコンクリート堰堤がある。橋を渡り階段を上がり、すぐ右手の堰堤から沢に下りて遡行を開始する。
 沢を歩き始めて3分とかからずに白水滝(10m)だ。右岸にある滝見場からは、白水滝の上に造られた堰堤が見え景観を損ねるようだが、滝に近づくと沢から堰堤は目に入らず滝しか見えない。滝を見て登るラインを考える。ネット時代の今は既に他の記録で事前調査済だが、それでも現場で滝を眺めて考えるのは楽しい時間だ。左壁にラインが見えたので、自分がトップで登らせてもらう。岩がしっかりしているので特に問題はないが、上部がやや立っているので10mのお助けロープを出して後続を確保する。今日のメンバーはロープなしでも大丈夫と思うが、今日は慎重に登るつもりだ。7人が登るには少々時間がかかるので、先に上がった数人には堰堤の巻きを先行してもらう。堰堤は左岸から簡単に巻ける。
 堰堤を越えて先行を追うと、すぐ釜のある6mY字斜滝がある。エメラルドグリーンの釜が美しい。左からアプローチするが、大理石のような岩は磨かれて凹凸に乏しい。でも斜め滝なので、ちょっとした凹凸を見つけると登っていける。ところで白水沢は岩自体が白い(花崗岩か?)のだが、さらに何か薄く塗ったように白っぽくなっている岩もある。温泉成分でも沢水に含まれていて、岩がさらに白くなっているようにも思える。いずれにしても、この白い岩が白水沢の由来なのだろう。
 すぐ次の衣紋滝が現れる。ここは直登は困難で右岸から巻くのだが、明瞭な踏み跡がある。自分が30mロープを引いて登り、落ち口のすぐ脇で支点を取る。残ロープからすると、滝の高さは20m以上ありそうだ。各自フリクションノットやアッセンダーで登るが、この巻きに30分ほど要した。8人という人数を考えれば上出来だろう。
 続く10m斜滝はヒョングリの滝と呼んでいる記録もあるように、中ほどで水流が跳ね上がっている。水流の左右どちらでも登れるが、水量の多い日は右からは厳しくなるかもしれない。続く8m滝は左壁から斜上するが、落ち口近くがちょっと微妙なのでお助けロープを出す。
 小滝の釜で泳いだりしながら登っていくと、二俣に出会う。水量は右俣のほうが多いというか、左俣からはあまり流れてきていない感じだ。というのは左俣は倒木と土砂でせき止められたようになっていて、流れはほとんど見えないのだ。今日は左俣が目的なので、倒木をくぐり左俣に入る。すると沢はびっしりと土砂で埋め尽くされていて、まったく水がない状態だ。それでも進むといくらか水が見えるが、それでも寂しくなるほど水量が少ない。
 二俣から10分とかからず奥の二俣になる。左右とも滝で合わせるが、どちらも水がほとんど流れていない。今日は右沢へ進むのだが、10mの滝は右側をわずかにちょろちょろと流れているだけだ。この滝は取り付きがちょっと難しそうだ。ロープをフィックスすることにして、Yさんが右端を登る。Yさんは身のこなしが軽快でするすると登ってしまう。とても○○歳を過ぎているとは思えない。滝上に登るとさらに上の段があり、全体が4段30mであることがわかる。各々小さな釜があり、水流はわずかなのに綺麗な水が溜まっている。2段目から上はフリーで登る。この4段30mを越えるのに、8人でロープを出したこともあり約1時間ほど要した。
 やたら倒木と堆積土砂が多く、いつの頃か知らないが斜面が崩壊したのであろうことをうかがわせる。沢は徐々に細くなり、右沢の二俣は水流のある右へ進む。8m滝は水流がないので、滝というより急斜面を登っている感じだ。続く3段30m滝はもはや涸れ滝だ。直登できるが最上部が少し立っている。そのまま直登も可能だが、右のブッシュには長い残置シュリンゲが下がっていた。他の記録に水流のある画像があったが、そうなればシャワークライミングが楽しめるだろう。ふと思ったが、もしかすると左俣の水量減少には甲子トンネルが関係しているのかもしれない。トンネルによって水脈が変わり、沢や井戸の水量が減少するのはよくある話しなのだ。
 小滝をいくつか越え二俣を右に進むと、軽くヤブが被るようになり源流部の様相になってくる。雨がパラパラと降ってきたと思ったら、すぐザーザーと本降りになる。二俣を今度は左に入るが、この辺りまで登ると沢形もあいまいになり細かく分かれる。もう尾根は近いので方向を決めてヤブに入る。尾根に近くなると斜面も急になり、雨で濡れたササは滑りやすい。ヤブこぎ15分ほどで、尾根の反対側に少し下ったところにある登山道に出た。
 登山道を南へ進み、分岐から甲子山に登り昼食休憩。旭岳を眺めたかったのだが、ガスで展望が無いのが残念。大黒屋までの下山は、ゆっくり1時間以上かけて歩いた。最後に遊歩道から白水滝をもう一度見てから、大黒屋の前を通り駐車場所へと戻った。大黒屋の外来入浴時間を過ぎたので、ちゃぽランド西郷で入浴(600円)してから帰路についた。
 白水沢の前半は渓相もよく、滝はいずれも直登か小さく巻けるので楽しめる。後半の二俣から上は、倒木や土砂が多く荒れているうえに水量も途切れがちだが、登る楽しみまで失われたわけではない。最後のヤブこぎは、方向を定めて登れば無駄なヤブこぎをしないですむだろう。全体として延長は短いし下山も容易なので、少人数のパーティーであれば半日での遡行も可能だろう。また、初級者のいるパーティーでも、今回の我々のように要所で積極的にロープを使えば、安全に楽しめるだろう。(K.K)

溯行図

トラック


Copyright(C) 2012 福島登高会 All Rights Reserved.