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No.4865 |
丸山沢 |
蔵王・白石川松川流域濁川支流 |
山行種別 |
無雪期沢登り |
まるやまさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2013年10月6日(日) |
コースタイム |
賽ノ磧(7:52)→濁川渡渉(8:31)→入渓(8:57)→トイ状5m滝(9:52)→ゴルジュ入口4m滝(9:58)→20m壁滝(10:56)→休憩(11:50,12:15)→10m滝(13:02)→ロバの耳岩(13:29,13:58)→新噴気口(14:42,15:00)→賽ノ磧(16:11) |
写真 |
写真は拡大してみることが出来ます |
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分かりにくいが中央右にロバの耳岩が見える |
濁川へと下る(正面は振子沢) |
濁川を渡る |
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熊野岳東面末端の岩峰群とほぼ中央にロバの耳岩 |
丸山沢の遡行開始 |
左俣のゴーロを登る |
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日が差すと紅葉が映える |
トイ状5m滝 |
ゴルジュ入口の4m滝 |
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右岸から巻く |
黄葉が美しい |
30m滝も併せて巻く |
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2ルート工作する |
嫌らしいトラバースは慎重に |
20m壁滝 |
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Tさんがトップで登る |
高さはあるがそれほど難しくない |
右のルンゼより登攀中の仲間を眺める |
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ゴルジュの小滝を越える |
8mCS滝は右岸から巻く |
12m滝(2段20m?) |
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上段と下段のV字滝 |
10m滝 |
右岸を登る |
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かなりの急斜面は落石注意 |
四肢をフルに使ってよじ登る |
ロバの耳岩でホッと一息つく |
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丸山沢の源頭が見えた |
こちらは振子沢の源頭 |
ロバの耳コースで下山 |
行動記録 |
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その山の山頂はひとつでも、山肌を流れる沢の数は多い。自分は沢登りを初めて5シーズン目だが、地元の沢でさえ登っていないところが多い。丸山沢もそういった沢のひとつで、山スキーでは何度か滑っているのだが、遡行したことはなかった。丸山沢は濁川の支流で、熊野岳の東面を源頭とする。蔵王の中でも遅くまで雪渓が残る沢で、沢の水源は雪渓が供給している部分が多い。そのため雪渓が消えると、水量はかなり減少してしまう。そのためか、あまり沢登りの対象とはされておらず、遡行記録も地元の岳人によるものが僅かにあるくらいである。しかし、日本登山大系には蔵王屈指の沢と紹介されており、登攀要素の強い沢のようだ。今回機会を得て、蔵王の知られざる一面を垣間見ることにした。
賽の磧駐車場から歩き出し、ひよどり越えを濁川へと下る。大人数なので、賑やかに写真を撮りながらゆっくりペース。天気予報では曇り時々雨で覚悟していたが、予想に反して青空が見え日射しまである。紅葉も良い感じになっているが、やけに気温が高く汗ばんでくるほどだ。歩く道すがら、ちょうど食べ頃となったヤマブドウを摘む。石垣だけが残るカモシカ温泉跡に1時間ほどで到着。今日目指すロバの耳がクッキリと見えている。水を補給すると、すぐ丸山沢へと入渓する。
少し登ったところで、間違って右俣に入ってしまったということで、左俣へと斜面をトラバース。降りた左俣は傾斜のあるゴーロで、水流は細く岩の間に見え隠れする。先ほどまで青空が見えていたが、雲が流れガスってきた。白くモヤってくるとちょっと幻想的で、右岸の岩稜が鬼ヶ城のように見えてくる。ゴーロの岩登りで高度を上げると、斜度が落ち着き、つるんとしたトイ状5m滝。右から越えていくと、小さな釜のある4m滝で、落ち口に岩が引っ掛かっている。登山大系の遡行図にある、ゴルジュ入口の滝のようだ。
両岸は火山特有の景観を見せ、露岩主体で草付きやブッシュは僅かの厳しい渓相。通常の沢登りとは少々異質な雰囲気だが、それがまた魅力的でもある。
直登しようとするとしょっぱそうと思っていたら、既に皆さん右岸から巻き始めている。上に見える30m滝も一緒に巻くようだ。右岸はかなりの急斜面。火山の溶岩と噴出物の岩はフリクションは十分だが、突然ポロッと剥がれることもあるから要注意だ。固いように見えても油断はできない。中段テラスまで上がり、ロープを出してさらに高度を上げる。大人数なので時間短縮のため、ロープは2ルート張った。この巻きに1時間近くかかる。
30m滝の上はすぐ大きな岩壁に突き当たり唖然とする。岩壁かと思ったがこれも滝のようだ。登山大系で20mフェース状とされている滝だが、壁滝とでも表現したくなるような姿だ。冬はこの滝でさえすっぽりと埋まってしまい滑ることが出来るのだが、雪渓が融けてしまえばほぼ垂直の壁である。左右はルンゼとなっており、巻くことも出来そうに思える。しかし、ここは正面突破なのだという。一見登るのが困難に見える壁も、よく見ると左から中央へと右上がりに、順層の節理を追って斜上し登ることが出来る。Tさんがトップで、残置ハーケンも利用し3箇所ほどランニングビレイを取る。セカンド以降はロープが張ってあるとはいえ、なかなかに緊張感のある登攀を味わう。なお、上のテラスには浮き石が多いので、落とさないよう注意が必要だ。実際Nさんに落石が当たったが、事なきを得たのは幸運だった。この滝の処理にも1時間弱かかり、全員登ったところで休憩となる。晴れていれば眺めが良いのだが、モヤって視界が無いのが残念。今日で丸山沢の遡行が3回目のKさんが、毎回こんな感じだと言う。丸山沢の雪渓を滑降した時とは、同じ沢でも見える風景が違い新鮮に思える。それでも見覚えのあるところでは、ああここを滑ったなあと何か懐かしい感じがする。
再びゴルジュとなり3m4mと小滝を越える。8mCS滝を右岸から小さく巻くと、12m以上ありそうな滝に突き当たる。眺めると何とか登れそうだ。しかし、リーダーはさっさと左岸から巻いていく。次回の課題にして追従する(後でとある山岳会が登っている画像を発見)。巻いてみると上にも滝があり、全体で2段20mほどか。開けた地形になりトイ状6m滝と4m滝を越えると、前方にV字ラインを見せる滝が重なり見える。手前は10mと見るが、その先はガスがかかっていることもあり大きさはハッキリしない(登山大系では20m)。この10m滝は脆い岩質で、直登するとなればハーケンよりコンクリート釘のほうが効きそうだ。巻くのかと思ったら、リーダーより右岸をロバの耳まで登ると告げられる。今日はここで遡行終了だ。
右岸はロバの耳まで突き上げている。かなりの急斜面だが、手がかり足がかりは十分なのでフリーで登る。ただし、脆い部分や浮き石もあるので、不安なときは迷わずロープを出した方が良いだろう。20分ほどでロバの耳のピークに到着。東側のピークに移動してひと息つく。時折ガスが薄れて、五色岳や刈田岳、振子沢の源頭などが見え隠れするが、丸山沢は相変わらずガスの中だ。
ロバの耳からはカモシカ温泉跡へと、現在は閉鎖中のロバの耳コースで下る。なお、熊野岳方向に登り、刈田岳あるいは濁川経由での下山も可能だ。ロバの耳コースは閉鎖中ということもあり、踏み跡が不明瞭なところもあるでの要注意。下部の急斜面にはトラロープもあるが、古いものなのであまり頼らず下りたい。新噴気口周辺では野湯も楽しめるが、今日は休憩も兼ねての足湯だけとした。ただし、火山性ガスには注意が必要。ひよどり越えの急登でひと汗かき、出発点の賽の磧駐車場へと戻った。
今日は丸山沢に入ってから終始モヤがかかり、よく見えない部分も多かったが何とか全体像は掴めた。雰囲気としては水量が少ないこともあり、沢登りと言うよりはアルパインの気分が濃厚。視界があれば、なおさらその感が強くなるだろう。まだ雪渓の残る晴れた日にでも再度訪れ、その気分を味わってみたいものである。蔵王は観光化されたエリアのイメージが強いが、そのすぐ近くにはまったく異なる顔があることを知る人は少ない。この魅力的な丸山沢に興味を持った方は、是非登ってみていただきたい。(K.Ku)
※滝の巻き方にもよるが、ロープは40m以上をお勧めする。 |
ルート図 |
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遡行図 |
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トラック |
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