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No.4872 |
小屋の沢 |
蔵王・名取川流域北川支流 |
山行種別 |
無雪期沢登り |
こやのさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2013年10月13日(日)〜14日(月) |
コースタイム |
10月13日 駐車地点(7:35)→魚止橋(7:54)→入渓(7:58)→魚止の滝(10:01)→12m滝(10:35)→875m二俣(11:28)→1000m二俣(12:42)→大滝の下(13:34)→テン場(15:25)
10月14日 テン場(7:00)→1200m二俣(8:07)→1330m二俣(9:24)→登山道(9:41,10:00)→下降地点(10:40,10:48)→本流出合(12:26)→小屋の沢出合(14:25)→魚止橋(14:32)→駐車地点(14:50) |
写真 |
写真は拡大してみることが出来ます |
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7時35分に歩き始める |
崩壊斜面をトラバース |
橋から小屋の沢を見下ろす |
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小屋の沢に入渓 |
最初の3m滝 |
次の3m滝 |
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ちょっと深そうな淵 |
高巻いて懸垂下降 |
4m滝を右から巻く |
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残置ロープを使ってへつる |
左岸支沢の15m滝 |
倒木のかかる3m滝 |
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支沢の4m滝 |
左の支沢と本流10m直瀑(魚止の滝) |
ナラタケがどっさり |
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左岸の崩壊斜面 |
12m滝 |
4m斜滝 |
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5mトイ状滝は左岸を巻く |
4m滝を登る |
8m2条滝 |
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6m斜滝 |
ナメの小滝 |
4〜5mの滝が幾つも続く |
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1000mの二俣 |
ヌルの4m斜滝 |
1030mのテン場適地 |
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10mナメ滝 |
10m斜滝は右岸を巻く |
30m大滝 |
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Sさんが登り始めた |
テン場 |
焚き火で暖まる |
行動記録 |
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10月13日
この連休は越後の花降沢を予定していたが、どうも日本海側から会津にかけて13日の天気が思わしくない。天気が比較的良さそうな宮城蔵王周辺に転進することにし、小屋の沢を遡行しガッカラ沢を下降することとした。小屋の沢は以前から遡行したいと思いつつ、まだ遡行していなかった沢なので、ちょうどよい機会になった。今回は沢泊まりが目的でもあり、ガッカラ沢に下山ルートを取り2日間としたが、下山を登山道にすれば日帰りも可能だ。
明け方テントを叩く雨音で目が覚めたが、やがて雨も止みシュラフから這い出す。国道286号を西へと10数分走り、「渓流つり」の看板を目印に左へ入ると小屋の沢林道になる。未舗装の林道を延々と走るのだが、道は徐々に荒れてくるので要注意。ゆっくり走るが何度か車の腹を擦る。車で進める最終地点にやっと到着。国道からここまで約8キロは長かった。最終地点は車が置けるが、転回スペースを考えると数台が限度か。
準備をして7時35分に出発。以前は立派な林道だったと思われるが、今は廃道となり細い踏み跡をたどり歩く。途中で崩壊箇所が2箇所あり、慎重に通過するとほどなく橋(魚止橋)がある。林道としては立派な橋だが、今訪れるのは釣り師か沢屋くらいのものだろう。下を流れるのが小屋の沢で、少し下流では明日下降に使うガッカラ沢が出合う。橋のたもとから降りて入渓する。
両岸が迫り沢幅は狭い。さっそく釜のある小滝を2つ越えると、次に現れた淵を見てはたと困った。水に入れば何の苦もなく進めるが、気温が低いので朝イチからずぶ濡れにはなりたくない。左岸をへつれそうに見えるが、岩はヌメってかなり滑りやすく際どい。自分が行けたとしても、全員が無事へつるのは無理だろう。思い切って水に入り突破することを提案したが、やはり却下される。リーダーの判断で右岸から巻くことにしたが、これが予想外の大高巻きになってしまう。最後は懸垂下降で降りることとなり、この巻きで40分以上かかってしまった。夏なら何ということもないのだが。(後で他の記録をよく見ると、この淵の左岸にロープが下がっていて難なくクリアーできたとある。我々が見落としたのだとしたら、観察力不足ということでショックである。)
4m滝を左岸から小さく巻く。倒木にナラタケがあるが、この先もあるだろうからとスルー。また現れた淵は右岸にトラロープがあり、ありがたく使わせてもらう。右から15m滝で落ちる支沢を見送り、3m滝は倒木を利用して登る。右から4m滝で支沢が合わせ本流の5m滝を越えると、しばらく穏やかな渓相となる。ちょっとしたへつりでNさんが落ちてしまい、朝イチで大高巻きの努力も文字通り水泡に帰す。
やがて10m直瀑が現れ、左の枝沢から取り付き、ナラタケを採りながら巻く。この滝が登山大系では魚止の滝とされている。しばらく歩いて左岸の顕著な崩壊斜面を過ぎると、12m滝に突き当たる。魚止の滝は越してきたのだが、ここでも魚影を見る。12m滝は直登できそうにも見えるが、無理せず右岸から巻いた。しかし、しょっぱい泥壁に少し手こずることとなる。最初のルートが良くなく巻き直したりしたので、全員が沢に下りるまで30分以上かかった。ここではブナハリタケを取ることができた。なお、ここは左岸から巻いた記録もある。
875mの二俣(1:1)を左俣へ進む。右俣は1354mピークからの支沢だ。4m斜滝を越え、次の5mトイ状滝は左岸から巻いたが、夏なら水線通しで行きたいところだ。4m滝のすぐ上には8m滝が2条に水を落とす。直登ラインを探っていると、既に他のメンバーは右岸から巻きに入っている。自分も後を追って巻くが、次回は直登にトライしてみたい。
6m斜滝を右から直登すると、4〜5mの滝が幾つも続く。左俣奥に10m滝がかかる1000mの二俣は、右俣へと進む。ヌルで滑りやすい4m斜滝、2m滝と越えると、1030mで左岸にテン場適地があった。小屋の沢の数少ないテン場適地のひとつだ。しかし、今日は大滝上で沢泊の予定なので先に進む。ひっくるめて10mのナメ滝は、上部が直登できず右から小さく巻くが、落ち口のちょっとしたトラバースが嫌らしい。10m斜滝を右岸から巻くと、30mの大滝が目の前に現れる。
少ないながら左側に水流があるのに対して、右側は流れもなく一部乾いている岩も多い。さらに右端に細い水流があるが、これは本流とは別の支沢のようだ。この大滝は傾斜が比較的寝ているので、下段は素直に中央を登れそうだ。しかし、中段より上が結構渋いらしく、簡単というわけにはいかないようだ。自分はなんとなく乾いたスラブ状の岩を登る気がせず、右の支沢からのルートを偵察しに登ってみる。スルスルと高度を上げると、斜め左下でSさんがロープを引いて登り始めている。なぜかちょっと嫌な感じがして、大丈夫かと声をかけたがもう見守るしかなかった。10m位まで登ったところで突然、Sさんがズズーと滑り始めた。滑落だ!止まれと思ったが止まらない。最後は体が反転し、背中から右脇にかけてドサッと落ちた。意識はあるかとリーダーに聞くとあるという。下に戻ってみると、青ざめた顔でSさんが座っている。とりあえず、手足の骨折は無いようなのでひと安心。ザックが緩衝材になったようだ。骨折となれば自力下山はほぼ不可能で、ヘリの救助要請をするしかない。しばらく休ませて様子を見たが、大丈夫なようなので続行することにした。テン場は滝の上なので、とにかく登らなければならない。もう今日は同じところを登る気がせず、支沢から巻くことにした。しかし、これが結構な大高巻きとなり、結局30mロープを3ピッチも延ばすこととなった。大滝を巻き終えたのが15時25分。大滝の下に着いてから既に1時間50分を経過していた。
大滝を巻いて沢に下りたところが、ちょっとした平坦地になっている。少し傾斜があり5人パーティーには手狭だが、ここをテン場にするしかないだろう。念のためさらに上流にテン場がないか15分ほど登るが、適当な場所は見当たらず結局最初に戻る。整地してタープを張り焚き火を起こす。1時間以上かけてやっと炎が安定した頃、辺りは真っ暗になった。標高1120mなので気温は低いが、焚き火に酒とキノコ汁で体を温める。満天の星を眺めながら午後9時前には眠りについた。 |
写真 |
写真は拡大してみることが出来ます |
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つっぱりで越える |
3mCS滝 |
5m滝 |
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6m直瀑は左岸から巻く |
5m滝は直登を諦め左岸から巻く |
お助けヒモが活躍 |
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稜線が近づく |
変形二俣を左俣へ |
青空に紅葉が映える |
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1390mで登山道に飛び出る |
紅葉の登山道 |
1110mの下降点 |
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7m滝を懸垂下降 |
3段15m滝を懸垂下降 |
林道の護岸コンクリート |
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小屋の沢出合 |
橋に戻ってきた |
駐車地点に到着 |
行動記録 |
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10月14日
午前0時を過ぎると目が覚め、寝ては目が覚めの繰り返し。あきらめて午前3時半に起き出し、焚き火を起こす。放射冷却で明け方の冷え込みは厳しく、午前5時頃には3.5度まで下がった。食事をして後始末をすると出発。昨日のことで心配したSさんだが、少し痛みはあるものの行動に支障はないようでホッとする。
小屋の沢は上流部に来ても、相変わらず滝が多い。3mCS滝を越え、次の5m滝ではお助けヒモを出す。しばらくすると6mの直瀑で、左岸からブッシュを頼りの巻きは高さがあるのでロープを出す。次の5m滝も左岸からブッシュで巻く。その後も次々と滝が出てくるが、最大でも4m程度で楽しく越えていける。ちょっと難しいところはあの手この手を使い、何度かお助けヒモが活躍。
徐々に水流は細くなり、周囲の尾根も低くなり源頭が近い。1330mの水流のある左俣が一段高くなっている変形二俣は、そのまま真っ直ぐの右俣へ進みそうになるが、水流を追って左俣へ上がり進む。最後の小さな二俣は方位を見て水流の無い左へ進むと薄いヤブになる。最後はわずか2分のヤブこぎで、1390m地点の登山道に飛び出た。これがおそらく最短ルートだろう。
休憩してから日当たりの良い登山道を下り始める。ブナやダケカンバの黄葉に、ナナカマドやカエデの赤が混じり目を楽しませてくれる。40分ほどで1110mの平坦な鞍部に着く。ここから斜面を北へ下ると、すぐ沢形があらわれる。下降するにつれ、枝沢どうしが合流し徐々に流れになってくる。しばらくは滝も無く歩きやすいが、やがて7m滝が現れる。巻き下りも考えたが、安全に懸垂下降することにした。適当な支点が無く上流の流木に取ったので、ロープは30mを連結して使う。
ガッカラ沢本流との出合を過ぎ、さらに下降を続けると3段15m滝が現れる。高さはあるが、ロープは30m連結で懸垂下降は間に合うようだ。体重の一番重い自分がトップで下降する。続く2人はまだ懸垂下降が数度目だが、問題なく下降してくる。なお、左岸から巻き下ることができるとの記録もある。この滝を過ぎると、もはや滝らしい滝はない。50分ほどゴーロを歩くと、突然左岸にコンクリートの構造物が現れる。小屋の沢林道の遺構だ。ほどなく小屋の沢と出合い、左に折れると橋が見え、左岸に上がると橋のたもとの踏み跡に出た。車まで戻ると、我々の車の他にキノコ採りだろうか軽トラが1台あり、荷台でポインターがお出迎えしてくれた。いろいろあった今回の沢登りだが、お疲れさんの握手をしたメンバーは皆いい顔だった。
今回の小屋の沢は、秋が深まるにつれヌルってきた岩が難度を上げてしまった。やたらと滝が多い小屋の沢は、濡れることを嫌わずに泳いで取り付いたり、シャワークライムで直登もできる夏がいいようだ。そうすれば水線通しに行けるところも多く、印象もまた違ってくるだろう。次に来る機会があれば、夏に日帰りの軽いザックで駆け抜けてみたい。
さて、Sさんの滑落は反省点が多い。この1ヶ月ほどの間に、自分の周りで知人3人が相次ぎ沢登りで転滑落していた。3人とも大きな怪我もなく大事には至っていないが、それはたまたまであって、いずれも重大事故となる可能性はあったのだ。それだけに、これまで以上に注意深く行動しなければと、自分自身には言い聞かせていたのだ。しかし、Sさんの滑落を防ぐことができなかったのが残念だ。パーティーメンバーの事故は、自分の事故でもある。今回のことを十分検証することにより、自他ともの今後の事故抑止に繋げていきたいと考えている。(K.Ku) |
ルート図 |
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遡行図 |
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