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No.5139
蔵王・大鍋沢 名取川流域北川小屋の沢支流
山行種別 無雪期沢登り
ざおう・おおなべさわ 地形図

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山行期間 2015年6月21日(日)
コースタイム 駐車地点(8:00)→入渓(8:23)→二俣(8:26)→30m滝(9:14,9:37)→二俣(10:06)→登山道(11:07,11:24)→駐車地点(12:45)
写真 写真は拡大することが出来ます
林道の岩崩れ箇所 林道終点(以前はここまで車で入った) 入渓点
左右から滝で落ちる二俣 左右から滝で落ちる二俣 3mCS滝

 
滑りやすい左岸を登る

 
倒木の4m滝
続く5m滝は直下からは登れず左岸から
4m斜滝 6m滝 荒れた沢床を歩く
6m滝は右から登る 8m滝 暗い4m滝
30m滝 左壁から人工登攀で登られている 3段15m滝は水流右から登る
8m滝 二俣を左俣へ 倒木のある2段10m
4m滝 倒木が多い 沢は狭まり倒木が重なる
狭V字9m滝 体も入らないほど狭い4m滝 登山道は近い
最後のカレ滝 短いヤブ漕ぎで登山道に出る 登山道で下る

行動記録
 大鍋沢は北蔵王にある短い沢だが、いつか登ろうと思いながらそのままになっていた。今回2人とも初めて登ることになる。それほど難しい沢ではないが、右俣に30mの大滝があるという。右俣の遡行だけでは半日で終わりそうなので、下降に左俣を使うことにして計画してみた。
 国道286号から小屋の沢林道へと進み、ブドウ沢登山口を過ぎさらに奥へと入る。車で入れる最終地点まで行ければ行くつもりだったが、道にトラロープがあったので左手の空き地に車を置くことにした。沢支度をして歩き始めると、岩が崩れて林道をふさいでおり乗り越えて進む。もう復旧されることはないと思われ、やはり先ほどの場所が車での最終地点ということだ。以前の車での最終地点の先はかなりヤブ化している。行き止まりから先の廃道は年々ヤブが濃くなっていることもあり、うっかり大鍋沢を通り過ぎてしまい戻り入渓する。大鍋沢は林道下を橋ではなく、パイプで小屋の沢へと流れている。それほど水量は多くないのだろう。
 入渓から少し歩くとすぐ二俣になり、右俣4m、左俣6mの滝で合わせる。思ったよりも滑る岩なので慎重に登る。初心者がいる場合はロープを出したほうが無難だ。次の3mCS(チョックストーン)滝もちょっと嫌らしい。自分は左岸を登って灌木にランニングを取り落ち口に乗り、続く◯樹さんにランニングを回収してもらった。ここも滑りやすい岩なので、状況によりロープを出したほうがいいだろう。続いて倒木の4m滝、4m斜滝、6m滝と越えていくと、倒木と岩屑で荒れた印象の沢床が少し続く。
 6m滝を右から登ると、8m滝、暗い4m滝と続く。やがて右に屈曲すると、この沢で最大の30m滝に突き当たる。この滝は記録によると左壁より人工で登られている。残置は見えなかったが、上部にはボルトが何本か打たれているらしい。登攀ルートの観察はしたが、今日の我々は巻くことにした。〇樹さんの腹痛、ハーケンの手持ち枚数、濡れて滑りやすい岩など理由はあるが、結局はその気になれなかったのだが、どんよりとした天気もテンションが上がらない原因だったかもしれない。いずれにしても登らなかった言い訳だ。いくつかの記録ではこの滝の高巻きは左岸からとのことだが、今回はあえて右岸から巻いてみた。取り付きの岩壁をクリアすれば小さく巻くことができるので、左右は状況により判断すればいいだろう。
 3段15m滝は角度が寝ているのでフリーで登る。続く8m滝も高さはあるが問題無い。小滝をいくつか越え、岩屑で埋まっている沢床を歩くと二俣になる。ここを左俣へ進み高度を上げていく。2段12m滝は倒木利用で越える。沢の斜度が緩むと岩屑と倒木があり、また滝があるという状況が続く。いくつかの滝は埋まっていて、判らずに上を通ったかもしれない。やがて両岸は狭まり、岩に彫刻刀で彫り込まれたような狭角のV字となる。これが難しいというより、アスレチックのようで面白い。手足が長ければ突っ張りで、自分のような手足であればそれなりの登り方を工夫するのが面白い。まずはトライしてみよう。手でも足でも何でも動かせるものがあれば活用する。というわけで、芋虫のようにじりじりと溝を登りクリア。それでも楽しいのだから、沢屋は普通の人に理解されにくいのだろう。
 4m滝を登り小滝を越えると、二俣を本流の左へ進む。もはや源頭であり、やがて水流は消える。このまま登山道まで上がることにして、徐々に狭まる沢を詰めていく。最後のカレ滝を登ると、僅かのヤブこぎで登山道に出た。登山道で昼食休憩としたが、どうも早めに天候が崩れそうだ。協議の結果、左俣の下降を中止して登山道を下ることにした。歩く距離は長くなるが、沢を下降中に雨に遭うよりはマシだ。登山道を下り始めると雷鳴が聞こえてきた。登山道から林道を経て1時間20分ほどで駐車地点に戻った。担いでいったロープは結局使わずじまいだったが、左俣を下降すれば必ず使ったであろう。温泉で汗を流しての帰宅途中、雨が本格的に降り出した。早めに切り上げたのは正解だった。
 大鍋沢は短い沢だが、滝の数が多く飽きさせない。しかも、30m滝以外はいずれの滝も直登可能である。メンバーにもよるが、そのつもりであれば半日でも十分遡行可能な沢である。初心者同行であっても、ロープを出せばそれほど困難な沢ではない。今回は曇天で岩も濡れ暗い沢という印象だったが、晴れて岩が乾いているときならかなり違った印象となるだろう。この頃はメジャーな沢に遡行者が集中する傾向が見受けられるが、大鍋沢のような地元の地味な沢に入り記録を公開するのは、地元の沢屋の務めであるのかもしれない。そうでなければ、いずれ大鍋沢のような小さな沢は、遡行者がいなくなってしまうような気がしてならない。こうして記録を公開することにより、続く者が現れることを期待したい。なお、ロープは30m1本で十分だが、沢を下降する場合は50mがあればより安心できる。(K.Ku)

遡行図 遡行図は拡大することが出来ます


ルート



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