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No.5162 |
赤木沢 |
北アルプス・黒部川支流 |
山行種別 |
無雪期沢登り |
あかぎさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2015年8月8日(土)〜9日(日) |
コースタイム |
8月8日 折立登山口(7:30)→三角点(8:48)→太郎平小屋(10:33,11:00)→薬師沢小屋(13:00)
8月9日 薬師沢小屋(5:00)→赤木沢出合(6:05,6:20)→朝食(7:18,7:40)→30m滝(7:56,8:40)→稜線(10:26,11:12)→太郎平小屋(12:58,13:30)→折立登山口(15:34) |
写真 |
写真は拡大してみることが出来ます |
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賑わう折立登山口 |
薬師岳 |
とにかく日差しが暑い |
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太郎平小屋が見えてきた |
太郎平小屋 |
同行の3人 |
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太郎山手前の分岐を左へ |
小さな花のタテヤマリンドウ |
イワオトギリ |
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左から水晶岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳など |
第1渡渉点 |
笹原の木道を歩く |
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薬師沢小屋に到着 |
さっそく乾杯 |
薬師沢出合でくつろぐ |
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小屋前のテラス |
午前5時スタート |
黒部川を遡行開始 |
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へつりもあるが楽しめる程度 |
赤木沢出合 |
この滝が黒部川本流最後の滝らしい |
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赤木沢を覗く |
出合をへつる女子3名 |
最初の滝は2段10m |
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好きなラインで登れる |
10mナメ滝 |
朝日の反射が眩しい |
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4段連瀑 |
3段目を巻いているパーティーが見えた |
2段目は左岸草付きから |
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3段目12m |
水に入って取り付き直登 |
4段目8m |
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左岸を回り込み枝を掴んで右壁を直登 |
2段12mトイ状滝 |
午前7時11分早くも稜線が見えてきた |
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素晴らしい景観が続く |
美しいナメ滝 |
好きなラインで登る |
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どの滝も美しい |
突き当たりで右へ屈曲して大滝がある |
山田ガイドパーティーが高巻き始めていたので順番待ち |
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フリーでも登れるが高さがあるのでロープを出す |
落ち口上部のトラバース |
コケの付いた小滝が次々現れる |
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すべて直登可能だ |
やがて水が涸れる |
美しい景色に感動しつつ稜線に |
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赤木岳と誤認して登ったピーク |
黒部五郎岳が近い |
御嶽山も見える |
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稜線からの大パノラマ |
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向こうが赤木岳 |
北ノ俣岳手前で槍ヶ岳が見えた |
ハクサンイチゲやチングルマの花畑 |
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太郎平小屋が見えてきた |
木道を下る |
ひたすら下って登山口に到着 |
行動記録 |
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赤木沢の話が出たのは3年以上前のことだったと思う。赤木沢は北アルプスの黒部川源流部の支沢の1本である。北アルプスの沢は厳しい沢が多いというが、初級者でも遡行可能な数少ない沢のひとつが赤木沢と言われている。しかも赤木沢は、訪れた者の誰しも認めるほどの美渓なのだという。ならば行って見たいものと思ったが、自分よりむしろ和◯さんや坂◯さんが積極的で、その計画に乗っかるつもりでいた。しかし、毎年天候などの問題で実現せず、3年越しの懸案事項となっていた。幸い今年は暑すぎるとはいえ天候が安定しており、やっと実現することとなった。参加者も増えてなんと総勢11人(会員6人・会員外5人)。休みを取れた6人A班が、7日から10日の4日間で余裕の日程。B班のうち4人は2日間での強行軍で、残り1人は新穂高温泉から縦走して合流する3日間の計画。こんな様々なパターンで薬師沢小屋に集合、翌9日には11人で赤木沢遡行というわけだ。なお、北アルプスの沢は4年前の小倉谷以来となる。
<8月8日>
金曜日の仕事を終え、最後の準備をしているうちに時間が経ち、結局1時間しか仮眠が出来なかった。まったく寝ないよりはマシなので、何とかなるだろう。午前0時過ぎに◯木君と白石を出発。福島市内で池◯さんを乗せて西進すると、会津若松で午前2時過ぎに大◯さんを乗せる。磐越道から北陸道をひた走り、立山インターを降りて一般道を20キロほどで、午前6時過ぎに亀谷温泉に入った。既に車が数10台連なっており最後尾につく。
登山口の折立までは有料の有峰林道を通行することになるのだが、走行可能時間は午前6時から午後8時までとなっている。未明に到着して仮眠する人もいるのだろう。我々の場合はA班が昨日林道を通過して折立まで入り、B班の我々は当日入りというわけだ。亀谷連絡所で通行料金1,900円を支払い、有峰林道小見線に入る。林道は20キロほどだが、工事中で片側通行の信号待ちが多く思ったより時間がかかる。折立に近づくと車も人も多く、既に駐車場は満杯のようで、登山口のかなり手前で路上駐車となっていた。かまわず進んで登山口で3人とザックを降ろし、引き返して路上駐車した。夏山シーズンとはいえ、東北の山ではお目にかかれない混雑ぶりである。
7時30分にスタート。樹林の中の登山道を、一番若い大◯さんをトップにして登っていく。直射日光はあまり当たらないが、それでも暑くて汗が噴きだしてくる。ペースを抑えて登っているのだが、それでも先行者に次々と先を譲られてしまう。樹林帯を抜けて斜度が緩むと視界が広がる。左手に剱岳らしきピークが見える。穏やかな尾根道で歩きやすいのだが、とにかく暑くて参ってしまいそうだ。いつも夏は沢登りばかりの自分なので、こんな尾根歩きは正に陸に上がったカッパ状態で干上がってしまいそうである。そうこうしていると太郎平小屋が見えてきた。10時33分着。所要時間約3時間なので、コースタイムの7割弱ほどだ。小屋前の広場ではちょうどA班の6人が休憩中で、予定どおり追いつくことができた。聞くと午前6時20分にスタートしたという。こちらも昼食休憩とする。目の前には薬師平から薬師岳が大きく見えている。
休憩後、先に出発したA班を追って11時に小屋を後にする。すぐの分岐を左へ太郎山の東斜面をトラバースすると、薬師沢に向かって下っていく。稜線の縦走路から外れると、登山者はぐっと少なくなり静かだ。薬師沢の第1渡渉点で休憩中のA班に追いついたので、以後は同一行動とする。笹原の中に続く木道を進んでいく。東北の山とは違う山並みに、黒部川源流部を歩いているということを意識させられる。やがて赤い屋根が視界に入ってきた。午後1時ちょうどに薬師沢小屋到着。
受付を済ませると、ザックを外に置いたまま早速ビールで乾杯。午後2時半頃には縦走してきたあんみつさんも到着。河原に降りて飲むビールは最高。釣り師の結◯君の釣果である岩魚の刺身を味わい、各自担いできた酒が次々に飲み干されていく。すっかり出来上がってしまった自分だが、夕食はしっかりと3杯食らう。2階に我々グループにあてがわれた部屋は、布団7枚に11人なのでそれほど狭くはない。ほとんど寝ていない自分は午後6時頃には寝てしまったようだ。
<8月9日>
午前4時頃起床。準備をして下に降りると、小屋の前は出発前の登山者で混雑している。梯子で河原に降りると、予定どおり午前5時にスタート。自分がトップになり黒部川本流の左岸を歩いていく。しばらくすると右から沢が合わせ、おやっと思うがこれはインゼルのようでそのまま進む。渡渉して右岸に移り、先行していた左岸の5人パーティーを抜く。その後また左岸に戻り、以後は出合まで左岸を進む。やがて淵と滝が現れ、さてどうしたものかと見回すと左岸に巻道がついていた。ここは泳いで取り付き越えられるというが、水が冷たくてとてもそんな気にはなれない。川幅いっぱいの落差と、その先に3m滝が見えてくると赤木沢出合だ。
赤木沢へは右岸をへつって回り込んで入る。すぐ最初の2段10m滝が現れる。朝日が当たって美しい。水流右から登ったが、斜滝でフリクションがあるのでどこでも登れそうだ。東北にはあまり見当たらない明るく開放的な沢に、メンバーの顔も自然とほころんでいるようだ。左から合わせるウマ沢を見送ると、4段の連瀑(6+10+12+6)が現れる。3段目辺りを高巻きしている大人数のパーティーが見える。1段目の斜滝を登ると、2段目は登れないので左岸を巻く。3段目はと見ると右壁に取り付けば登れそうだ。釜に胸まで浸かって取り付き直登する。4段目も右から釜を回り込み、木の枝で右壁に取り付き直登する。
3段8m滝を登るとすぐ2段12mトイ状滝で、左のバンドから容易に越える。やがて早くも稜線が見えてきた。そろそろ朝食と思っていたところ、先ほどの大パーティーが休憩中で、我々もと近くに陣取った。そのパーティーのリーダーと話すと、山岳ガイド山田哲哉氏の11人パーティーとのこと。小屋に作ってもらったチマキ弁当が美味かった。遡行を再開すると階段状のナメ滝。高さは合計すると15mほどかと思うが、どこからどこまでを滝と捉えるかなど、人によってかなり違うだろう。いずれにしても、美しく容易に登れる滝が続く。さらに多段とも斜滝ともとれる10〜15mの滝がいくつか続く。途中で単独行者が追いついてきたので、お先にどうぞと声をかけると小柄な女性だった。スタスタと軽快に滝を登る様は、なかなかの沢屋さんとお見受けした。
前方に岩壁が現れると沢が右へ屈曲し、赤木沢のハイライトである30m滝がかかる。ここは左岸の岩壁に巻道があり、山田ガイドがロープを引いて登り始めていたので、しばらく順番待ちとなる。我々もロープを出して2ピッチ伸ばし登った。この巻道は難しくはないが、高さがあるのでロープを出したいところだ。また、落ち口のトラバースも気を抜いてはいけない箇所だ。実際過去に事故も起きているようだ。なお、登っている途中に一握りの大きさの落石があり、黒◯君が手で払って大事には至らなかった。踏み固められたように見える巻道でも、落石はありうるということだ。
30m滝のすぐ上で二俣となる。左俣が本流のように思えたが、和◯さんによると右俣の方が小滝が続くのだという。ならばと右へ進むとすぐ小滝が現れる。いずれも直登できる滝で、各自思い思いに登っていく。やがて水が涸れると、細い沢筋を追って詰めていく。沢形もなくなると、草付きの斜面を稜線へと登るようになる。ハイマツと雪渓を避けて左へトラバース気味に登っていくが、フェルトの沢靴が草で滑って何人も転んでしまう。稜線の鞍部に登り上げて沢装備を解いた。後で考えるとトラバースしすぎたのだが、この時点では稜線に到達してホッとする気持ちしかなかった。すぐ南のピークが赤木岳だろうと簡単に考え登ってみるが、どうも様子が違う。赤木岳は逆方向だったのだ。まあいいだろう、たいして変わらないからと集合写真を撮って眺めを堪能する。
さて下山だ。北ノ俣岳へ登る途中で、太郎平小屋に泊まるA班の4人と別れ先を急ぐ。A班の若者2人は薬師岳に登り薬師峠のテント場で泊まるので、太郎小屋まで一緒に下る。太郎平小屋で休憩後は、ひたすら歩いて下山する。下りとはいえやはり暑いが、今日帰宅する我々は足を緩めることはできない。小屋から2時間ほどで登山口に到着。休む間もなく車を取ってきて有峰林道を走り下る。亀谷の国民宿舎白樺ハイツで汗を流し、あんみつさんを富山駅まで送ると富山インターから高速に乗った。夕食時に休んだだけで走りに走り、自宅に着いたのは日付も変わった午前1時近くだった。
今回のB班は、2日間で走行距離もほぼ1,000キロという、かなりの強行軍だった。とても人には勧められない。しかし、それだけの無理をしても、赤木沢は遡行する価値があったと思える。とはいえ、赤木沢を遡行するのなら、もう少しゆったりと美渓を味わいたいものである。やはり3日は欲しいところだ。沢としては比較的易しい沢で、初級者でも問題なく遡行できる。ただし、易しい沢とは言え高巻きや増水での事故が発生しているので、リーダーの的確な判断が必要になる。(K.Ku) |
ルート |
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