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No.5188 |
朝日連峰・岩魚止沢 |
最上川流域朝日川支流朝日俣沢 |
山行種別 |
無雪期沢登り |
あさひれんぽう・いわなどめさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2015年10月4日(日) |
コースタイム |
古寺鉱泉(4:52)→大朝日小屋(8:07,8:18)→大朝日岳(8:27)→鞍部(8:48,9:03)→岩魚止沢出合(9:50)→大滝(9:58〜11:10)→二俣(11:58)→奥の二俣(12:39)→大朝日岳(13:10)→大朝日小屋(13:18,13:31)→古寺鉱泉(15:47) |
写真 |
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朝日を浴びて尾根を駆ける |
小朝日岳の紅葉 |
下山してくる登山者達 |
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大朝日岳山頂 |
平岩山との鞍部へ下降する |
平岩山との鞍部へ下降する |
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朝日俣沢中俣の源頭を下降する |
水流が現れ沢らしくなってくる |
沢は深さを増す |
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中俣と2段の滝でかかる左俣が出合う |
左岸を斜上して岩魚止沢へ |
出合から3つ目の滝上に出る |
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4m滝は右壁から |
大滝50m |
テラスでピッチを切る |
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2ピッチ目 |
大滝の上に出る |
2条5m滝 |
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CS8m滝 |
紅葉が美しい |
6m滝 |
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直登に次ぐ直登 |
6m滝 |
5m滝 |
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10m滝 |
小滝が続く |
直登できる滝ばかりだ |
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1470mの二俣は右へ |
背中には平岩山 |
中ツル尾根の紅葉 |
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草付きを詰める |
駆け下る |
古寺鉱泉に到着 |
行動記録 |
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日本登山大系によると朝日俣沢の支沢である岩魚止沢は、朝日連峰の沢としては入門の沢であると記載されている。朝日俣沢は上流で三俣となり、左俣は平岩山寄りに、中俣は大朝日岳寄りに鞍部に突き上げる。そして大朝日岳に突き上げる右俣が岩魚止沢という名称になっている。昨年1泊2日で朝日俣沢を遡行し、岩魚止沢を登ろうとしたが雪渓に阻まれた。エスケープでのヤブこぎ中、ずっと対岸に岩魚止沢が見えていて、あらためて登りたいとの思いを強くした。しかし、2日間の時間確保と、朝日俣沢を遡行できるパーティーの編成は簡単ではない。考えていると、登山大系に「鞍部から下降し岩魚止沢の出合に至る」とあることに気がついた。それならばと日帰りでの遡行を思いついた。大朝日岳の往復と沢登りの所要時間を検討すると、足並みの揃ったパーティーなら1日で可能だと思えた。昨年は実行できず今年への繰り越し課題となっていたが、やっとその機会を作ることが出来た。
紅葉シーズンとあって古寺登山口は手前から路上駐車の車が並ぶ。駐車場はほぼ満車だったが、運良く空いていたスペースに車をねじ込む。まだ暗いのに何組かスタートしようとしている。我々もヘッデンを点けて午前4時52分スタート。古寺鉱泉の前を通り暗い登山道を早足で登る。大朝日岳の日帰りピストンらしい先行者達を次々と追い抜く。樹林帯を抜けると、下山してくる大勢の登山者とすれ違う。小朝日岳は山頂に登らず巻き道を通り、大朝日小屋には午前8時7分に到着。普通にザックを担いでの登りとしては、まずまずの時間だろう。管理人の阿部さんにあいさつしようと小屋に入ると、西川山岳会のSさんも来ており少々話し込む。さて急がねばと大朝日岳に登り、山頂を通過して反対側の平岩山との鞍部へと下る。だいたいこの辺りだろうとザックを降ろす。沢支度が終わった頃、Sさんが追いかけてきて見送ってくれた。
鞍部から下降を始め、ヤブを少しこいで中俣に入る。上部のガレ場はブッシュを掴んで下降していくと、やがて水流が現れ徐々に沢らしくなってくる。特に難しいところはないが、3mほどの滝だけ懸垂下降した。ほどなく三俣の上に着く。ここまで鞍部からでも約340m、大朝日岳からは約660m下降したことになる。三俣はまず中俣に左俣が滝で合わせるとすぐ滝で落ち、そこに右俣である岩魚止沢が滝で合わせる。出合まで下降することもないので、左岸を斜上して岩魚止沢に入ることにした。今日の登り始めでもあり、慎重に岩をよじ登ると岩魚止沢出合から3つ目と思われる滝の上に出た。
すぐ4mの滝があり右壁を直登すると、大滝前の開けた場所に出る。大滝の高さは50mとされているが、実際その位はありそうだ。水流は白い花崗岩の斜面を伝い落ちるような感じで、明るく開放的な印象なので圧迫感はない。見上げると青空に紅葉が目に入り、水のきらめきとの取り合わせが何とも美しい。休憩しながら滝を観察すると、ある程度滝が寝ていることもあり、左壁から取り付けばそう難しくはないように思える。今日のリーダー○樹さんは、自分が考えたラインよりも水流に近いラインで登りたいという。水流から離れると滝を直登したことにならないということのようだ。リードは○樹さんなので自分に異論はない。今日は大滝を直登するつもりで50mロープを担いできたのだ。○樹さんは水流より少し離れて取り付いて直上し、上のハングぎみの岩を右へ巻くように水流寄りに登ると、テラスでいったんピッチを切る。今度は自分がフォローで登ると、そのままつるべで2ピッチ目を登る。50mロープ一杯延ばせば2ピッチで行けそうだったが、相手が見える範囲で切り、上がどのくらいあるのか不明だったので3ピッチ目を延ばした。結果としては3ピッチ目は無くても問題無かった。滝の上部は斜度が緩みフリクションも十分なので、パーティーによってはロープは最初の1ピッチのみという場合もあるだろう。いずれにしても1時間の快適な登攀を楽しむことができた。なお、時間的には左岸を高巻いたほうがおそらく早いだろう。
大滝上の3m滝と2条5m滝を直登すると、ミニゴルジュになりチョックストーンの8m滝が現れる。この滝は他の記録では直登できないとされ、巻かれているようだ。しかし、相方は右岸の壁を眺めていたかと思うと、やおら取り付き登り始めた。どう見てもほぼ垂壁でホールドも乏しいように見えるのだが、スルスルと登ってしまった。もちろん自分は無理なので右岸から小さく巻いた。その後も3m滝に6m滝と次々と滝が続く。
さらに6m、5m、10mと途中までは数えたが、以後は小滝が続くようになり順調に高度を上げる。青空の下で開放的な沢の遡行は爽快だ。花崗岩の白い岩はフリクションが良く快適だが、ヌメっていると滑りやすく要注意だ。自分はツルッと来て危うく顔面強打するところだった。時折ひと息ついて対岸を見やれば、深く刻まれた渓谷の紅葉が、陽を浴びてひときわ錦に輝いている。右手には中ツル尾根の南斜面で、今や盛りの紅葉が鮮やかで美しい。1470mの二俣は右へ進む。1680m奥の二俣も右へ入る。1700m近くで急に水流が細くなるとやがて水が涸れる。沢筋を左へ離れて草付きを、ダイレクトに山頂を目指してみる。しかし、ヤブが出てきたので諦めて登山道に出たが、そこから山頂までは僅かだった。午後1時10分、他には誰もいない山頂を踏んでお疲れさんと声を掛け合う。
大朝日小屋に下って沢装備を解く。管理人さんに聞くと今日の泊まりは25人程度とのこと。泊まっていけと言われたがそうはいかない。こんな忙しい日帰り山行でなく、いつかゆっくりと泊まりに来たいものだ。下山にかかると相方が駆けるように先行する。自分は疲れも出てきて遅れがちである。50mロープが重く感じてきた。年配者は労って欲しいものだと思うが、自分がそうしてきたかというと自信がない。下山者をごぼう抜きにして下っていくと、古寺鉱泉の近くで今朝のSさんに追いついてしまった。駐車場には午後3時47分着と、計画よりだいぶ早い下山だ。帰路の途中、大江町の柳川温泉(300円)で汗を流してから帰宅した。
岩魚止沢は特に悪いところもなく、ほとんどの滝が直登可能なので遡行時間も読みやすい楽しい沢だった。今回は日帰り遡行という可能性を検証した山行だったが、前日に大朝日小屋に入り、翌日に遡行すれば余裕のある沢登りができる。また、他の沢の遡行との組み合わせも考えられるだろう。日帰りの場合は、もっと早い時期にすれば下山に余裕が持てる。ただし、滝と紅葉の取り合わせを狙うならこの時期がベストだ。いずれにしても、朝日入門の沢と言うにふさわしい明るく爽快な沢だった。(K.Ku) |
ルート |
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