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No.5198
二口・小松倉沢 二口山塊・二口沢
山行種別 無雪期沢登り
ふたくち・こまつぐらさわ 地形図

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山行期間 2015年10月17日(土)
コースタイム 林道ゲート(8:45)→入渓(8:50)→南沢出合(9:23)→桂沢出合(10:23)→小松倉沢出合(10:53)→15m滝(11:05)→12m滝上(12:20)→休憩(12:40,13:00)→登山道(13:32)→神室岳山(13:47)→南沢左俣右沢(14:26)→本流出合(15:43)→林道ゲート(16:23)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
午前8時45分に林道解放 二口沢はナメが続く ナメ滝8m
癒しの沢だ 南沢出合 岩魚手づかみ(即リリース)
6m滝と鍋越沢出合 カワガラスの巣 2段7m滝
5m滝の左岸からは10m滝が落ちる 桂沢出合 右岸のテン場適地
右岸のテン場適地 15m滝 八◯さんのリード
12m滝 ロープを出した 落ち口にあったシュリンゲ
源頭の渓相となる 標高1140mで水が涸れる 稜線へと詰め上がる
登山道に出た 仙台神室岳山頂 山形神室岳
大東岳や面白山など ヤブをこいで南沢へ 南沢を下降
4m滝を巻き下る 二俣 本流との出合
対岸を登る 翠雲荘 駐車地点に帰着(向こうには磐司岩)

行動記録
 今年はあまり山に行くことが出来ないでいた八○さんだが、久しぶりにコールに乗ってくれた。さて、どこにしようかと考えたが、難しすぎずかといって易しすぎず、紅葉も見たいしで迷ったあげく二口山塊の小松倉沢にした。二口山塊は蔵王連峰の北に連なる山形県と宮城県との県境尾根だ。その東面を源頭とするのが二口沢で、支沢のひとつが小松倉沢である。一般的には隣の小松原沢に入るパーティーが多く、自分も2012年に遡行している。その時より小松倉沢は頭の隅にあったのだ。そんなわけで、自分としても初めての遡行となる小松倉沢に向かうことにした。
 二口林道のゲート前に駐車。ゲートはいつものように閉まっている。準備をしているとゲートの向こうから車が走ってきてゲートを開けた。秋の一時期に限定した林道解放のようだ。早速何台かの車とバイクが入っていった。我々も林道を歩いて二口沢に架かる橋を渡り、右カーブのところから入渓。二口沢はナメの沢で、快適な沢歩きが始まる。30分ほどで南沢出合。今日はこの南沢を下降ルートとする予定だ。やがて現れる8m滝はホールド・スタンスが細かく、水流の右を登れるが結構いやらしい。草付きを巻く方が無難だろう。
 左岸から鍋越沢が6m滝で出合う4m滝は水流左を直登。南沢出合から1時間で桂沢出合。真っ直ぐが支沢の桂沢で、左に斜滝で直角に曲がるのが本流だ。5:1の水量比なので間違うことはないだろう。曲がってすぐ右岸にテン場適地がある。見ると焚き火跡が複数あり、沢屋か釣師に利用されているようだ。7m滝が現れるが見た目より容易。桂沢出合から30分ほどで、右岸の一段高い位置からナメで小松倉沢が出合う。真っ直ぐは小松原沢になる。小松倉沢に進むとさらにナメが続く。
 6mナメ滝を越えるとゴルジュとなり、突然15m滝が現れた。直瀑ではないが斜度がかなり立っている。スタンス・ホールドはあるが、黒光りした岩はいかにも滑りそうだ。ここは当然にして高巻きだろうと観察すると、右岸を少し戻った小尾根から取り付けると思われた。しかし、もう一度滝を見ていると登れそうに思えてくる。八◯さんに「登ってみる?」と声を掛けると行くという。久しぶりの岩登りだというが、八◯さんなら問題ないだろう。さてロープをとザックを見たら、なんとロープが無い。しまった落としたということで、単独で沢を戻ったら5分ほどで発見。やれやれである。八◯さんは左壁に取り付き、ほぼ垂壁に近い下半分で手こずったもののクリアし、30mロープ一杯に延ばした。その後は自分が先導し斜面をトラバース。15m滝の上にある8m滝も一緒に巻いて落ち口に降りた。すぐ上の12m滝は水流右から直登。後続の2人には念のためロープを出す。12m滝の落ち口には赤いシュリンゲが残置されていた。この滝を下降したのだろう。ここ3つの滝の処理には、ロープ操作も含めて75分ほど要した。高巻きすれば30分程度かと思われる。
 もう大きな滝は出てこないはずだ。先に進んでもしばらくは小滝とナメが続いたが、沢の斜度が増して徐々に源頭の渓相となってくる。やがて1140m辺りで水が涸れた。笹が被り軽くかき分けながら登ると、やがて沢形が定かでなくなる。気付くと神室岳の山頂に向かって登っていたので右に方向修正。最後にシャクナゲ混じりの笹ヤブを5分ほど漕ぐと登山道に出た。ひと息ついてから神室岳の山頂へと登る。
 山頂で登山道は終わり行き止まりとなるが、踏み跡が東へ続いている。それを追って進むと、いくらも行かないうちに踏み跡はヤブの中に消えてしまう。昔は稜線に三神林道という道が続いていたらしいが、廃道となって久しい。後の2人が見え隠れするほどのヤブをかき分け、北東へ延びる小尾根を辿る。目視とGPSで見当を付け、適当なところから右手の斜面を下降した。自分は2012年の小松原沢遡行時、南沢への下降でルートミスした経験がある。急斜面を笹や潅木頼みで下っていくと、やがて沢形が現れる。水流は無いが南沢の左俣右沢だろう。遅れがちの2人に「ゆっくりしてると暗くなるぞー」と声を掛け、どんどん下降していく。南沢はかなり下降しないと水流が現れない。南沢の滝は1箇所で4m程度だが、右岸から潅木伝いに巻き下ることが出来る。それ以外には滝らしい滝はない。水流もかなり下らないと現れないような沢で、沢登りの対象にはならないが下降には使える沢といえる。ただし、時期的なこともあり岩がヌメっていてかなり滑りやすい。自分は何度か尻餅をついてしまった。午後3時43分本流との出合に到着。ヘッデンは使わずに済みそうだ。
 帰路は沢を下らず対岸に見える小屋を目がけて上がる。造林小屋の翠雲荘の前で沢装備を解き、二口林道へ出ると舗装路を下るだけだ。ほとんど期間が通行止めの二口林道だが、今日は車やバイクが往来している。秋の一時期だけゲートを開け、一般車を通行可としているのだ。林道ゲート前の駐車地点まで戻り、今日の沢登りを終えた。
 小松倉沢は15m滝以外はすべて直登可能で、ヤブこぎも短く特に難しいところもない。シーズン始めのトレーニング沢として使っても良いだろう。ナメや滑らかな岩が多く、滑りやすい所があるので注意はしたい。また、南沢を下降せずに登山道で戻る場合は、3時間半〜4時間は見込む必要がある。南沢の下降は時間短縮になるが、神室岳からのルートファインディングが要点となる。(K.Ku)

ルート



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