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No.5351
コガ沢・権現沢 蔵王・白石川児捨川流域垂清川支流
山行種別 無雪期沢登り
こがさわ・ごんげんさわ 地形図

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山行期間 2016年6月19日(日)
コースタイム 白石スキー場(6:58)→入渓(7:45)→5mナメ滝(8:32)→権現沢出合(9:50)→10m滝(10:32)→1405m二俣(11:00)→1570m二俣(11:43)→登山道(12:35)→不忘山(12:51,13:34)→白石スキー場(15:20)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
クマがお出迎え? 白石スキー場を出発 水引コースを歩く
ゴーロが続く 大岩も多い 5mナメ滝
右から容易に登れる ゴルジュ 黒い5m滝
黒い5m滝を登る 権現沢出合 登山道から回り込む
沢幅が狭まる ナメの小滝が続く 4mナメ滝は左岸を巻く
8m滝 左岸枝沢から高巻く 1570mの二俣を左へ
詰めのヤブ漕ぎ 稜線はガスの中  不忘山頂

行動記録
 白峰会(宮城県白石市)のメンバーとはちょくちょく山行を一緒にさせてもらっている。その白峰会が創立50周年の記念事業として、南蔵王・不忘山集中登山を行うこととなった。6コースに分かれて不忘山を目指すというもので、白石スキー場からのピストンや刈田峠からの縦走の他、沢登りが権現沢と大若沢の2コースあり、参加者は全部で130名ほどになるという。自分は会の鈴◯さんと2人で権現沢コースに参加することにした。権現沢は自分が沢登りを始めた2009年に遡行して以来なので7年ぶりということになる。そう言えばその時のパーティーも白峰会の人達だった。権現沢は地元の山岳会くらいしか遡行する者はいない(6/12に仙台YMCA山岳会が遡行)が、シーズンインの足慣らしや初心者のトレーニングには頃合いの沢であると思う。
 参加者で賑わう白石スキーのセンターハウスからスタートする。ゲレンデを登って水引コースの看板から登山道に入る。急斜面のトラバース道を歩き、道が沢まで下りたところでコガ沢に入渓する。権現沢はコガ沢の支沢であり、コガ沢を遡行し出合から権現沢へと入ることになる。しばらくはゴーロ歩きが続く。自分としては今年初の沢登りなので、一歩一歩足裏の感触を確認しながら足を運ぶ。しかし、すぐ感覚が蘇ってきていつもの沢歩きになる。今日のパーティーは7人だが、ほとんどは沢登り経験者だ。経験が一番少ないのは、パーティーリーダーの◯樹さんの奥さんだろうか。知っている人には夫婦で沢登りをしている方が意外に多い。
 やがて5mナメ滝が現れる。岩が滑りやすそうに見えるが、足を置く位置を選べば問題は無い。またゴーロ歩きがしばらく続くと、両岸が狭まり草付きのゴルジュになるが、すぐ黒い5m滝となる。この滝は水流左を直登できるが、岩が滑りやすいのでリーダーはロープを出した。岩を攀じり滝を登ると沢登りの楽しさが体に満ちてくる。きらめく水流に山の緑と青空が映える。滝の落ち口左岸から枝沢が岩を伝い落ちると、すぐ先が権現沢の出合である。右俣がコガ沢本流で、4m滝で落ちる左俣が権現沢である。登山道は出合のすぐ上で2つの沢を横切る。滝を登ることも出来るが、リーダーはコガ沢の登山道から回り込む選択。一部が崩れて足場の悪い登山道は、一般向きとは言えない状態になっている。権現沢に入ってすぐ沢を下りてくる単独男性がいた。登山道から権現沢に下ったが、対岸の取り付きが分からずに沢を登り、間違いに気づいて引き返したとのこと。ここは初めての者にはかなり分かりにくい。自分も初めてここを歩いたときに同じ間違いをしたことがある。
 沢幅は狭まり赤茶けた小滝が続く。ナメ滝で滑りやすいがそれもまた面白い。4mナメ滝は登れずに左岸から巻く。やがて権現沢最大の黒い8m滝。リーダーは単独で右壁を登ったことがあるというが、もちろん今日は高巻きである。左岸の枝沢から登り小尾根を乗っ越して沢に戻る。1390mで雪渓のかけらが現れる。1405mの二俣は右俣へ。左俣は不忘山の山頂へダイレクトに突き上げる。稜線も見えてきたが、あいにくガスもかかってきた。小滝が続き徐々に源頭の雰囲気になってくる。やがて水が涸れるので補給しておこう。雪渓の残る1570mの二俣は鞍部に突き上げる左俣へ。
 徐々にヤブが濃くなり、沢形が無くなると本格的なヤブ漕ぎになる。30分ほど漕いで稜線の登山道に飛び出た。偶然知り合いが通りかかり驚かれた。大若沢コースの人もちょうど上がってきた。不忘山の山頂へと移動したが、残念ながらガスで眺めは無い。しかし、山頂は集中登山各コースの登山者で大賑わい。ゆっくり昼食を取り記念写真に納まるとスキー場へと下山した。
 さて、この日は下山して解散とはならなかった。下山途中にスキー場のゲレンデで、消防署の軽4駆2台が登ってくるのとすれ違った。救助かと思っていると、足を怪我した人がいて救助要請があったのだという。スキー場のセンターハウスに着いて休んでいると、地元の警察署からも集まってきた。そのうち山遭協(山岳遭難防止対策協議会)白石支部にも協力要請が入った。後で分かったのだが、ヘリは飛んできたもののガスで降りられずに引き返し、もう一度飛ぼうとしたところ今度は基地がガスで離陸できなかったらしい。時間も時間なのでこの日のヘリは断念し、人力での搬出に切り替えたのだという。人をひとり搬出するには平地でも交代要員を含めると6人は欲しい。それが登山道となればさらに人数が必要なのだが、悪路で有名な不忘山の登山道を降ろすのは、かなり厳しいことが容易に想像できる。既に消防(8人)がタンカ(チタン製の折りたたみ式)で搬送中との情報だが、困難を極めているらしい。とにかく人数が必要と言うことだが、集中登山イベントのため山遭恊のメンバーの多くがスキー場にいた。山遭恊から自分を含めた5人が選ばれ、搬出作業に加わることとなった。
 16時40分に出発し、車で登れる980m地点(白石女子校小屋跡)まで送ってもらう。そこからは歩きだが、一緒に登り始めた白石警察署員はついてこれずたちまち見えなくなる。17時15分に1265m地点で搬出隊と合流し、タンカの持ち手の一員に加わる。とにかく足場が悪く泥でツルツル滑るのには参った。タンカの左右につくので、足を置くところが限定され選ぶことが出来ない。何度か転んだが、タンカは落とさないように腕を伸ばして堪える。タンカは8人〜10人で持ったが、この他にもタンカ後部の押さえ役や交代要員を含めると15人ほどになった。この状況で人間ひとりを搬出するのに必要な人員ということだ。山中は暗くなり足もとが見えなくなってきたのでヘッデンを点ける。やっとゲレンデまで下り、ゲレンデ中腹1030m地点にまで登ってきた軽トラとドッキングしてタンカを乗せた。既に19時を過ぎ、暗くなり始めたゲレンデをセンターハウスまで下る。救急車に乗せられるのを見届けて我々の役目は終了。まもなく辺りは真っ暗になった。ギリギリだったが、何とか見えるうちに下ろすことが出来て本当に良かった。なお、怪我人は女性で、後で分かったが足首を複雑骨折していた。この日実施された県内の某山岳会の山行で登った中のひとりで、山頂から下り始めてすぐに怪我をしたようで、仲間が介助して不忘の碑までは下ろした。そこに通りかかった白峰会メンバーがヘリ要請を勧めたのが13時30分頃。その時は青空が見えていたというが、その後ガスが濃くなりヘリが飛来した頃はガスで吊り上げは出来なくなっていたということだ。怪我をして下山困難になるのは、自分も含めて誰にでもあり得ること。救助要請の判断や搬出方法など、色々と考えさせられる事案であった。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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