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No.5373
矢櫃沢 船形連峰 大倉川流域
山行種別 無雪期沢登り
やびつさわ 地形図

トップ沢登り>矢櫃沢

山行期間 2016年7月31日(日)
コースタイム 定義山駐車場(6:30)=横川登山口(7:30,7:49)→入渓(8:25)→矢櫃の滝(8:58)→釜伏の滝(9:22,10:36)→大滝下の6m滝(11:41)→横川大滝(12:15,13:42)→登山道(14:50)→後白髪山頂(15:14,15:28)→横川登山口(15:59)=駐車場(17:05)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
横川登山口から歩き始める 矢櫃沢橋から沢に下降 堰堤を左岸から越える
側壁が高くなる トイ状の小滝を開脚で越える CS滝
矢櫃滝 矢櫃滝1段目 見た目より難しくない
矢櫃滝2段目 釜伏の滝 ロープを伸ばす
釜を泳いで取り付く 水を被りながら登る 12m滝
4m+7mの2段滝 7m滝 10m滝
なんとナメコ発見! 大滝手前の小函 6m滝と横川大滝
6m滝を登る やっと滝の全体が見える 横川大滝上部
右壁のガリーを登る 灌木帯へ逃げる 横川大滝下部はほぼ垂壁
小滝がいくつかある程度 自噴水があった 源頭部を詰めていく
ヤブこぎ数分で登山道 2週連続の後白髪山頂 横川登山口に到着

行動記録
 船形連峰の大倉川の支流である横川は、上流部で矢櫃沢(やびつさわ)と名を変え、後白髪山と三峰山の間に深く谷を刻んでいる。登山大系によれば通過困難なゴルジュ帯が魅力であり、完全遡行が果たされたのはそれほど昔のことではないという。船形連峰の沢の中では難しい沢とされ、近年の遡行記録は数えるほどしかない。以前からいつかはと思っていた沢だが、今回メンバーがそろい遡行することにした。
 定義山の駐車場に7時30分集合。メンバーは今日が初顔合わせとなる安◯さんを加えた4人。千◯さんとはなんと3週連続の沢登りとなる。定義林道を登っていくと右に横川林道の分岐があり入る。道に被った笹や灌木をかき分けるようにして進むと横川登山口だ。下山は横川登山口に下るのだが、標識があるのでやっと登山口であることがわかるほど笹に覆われている。車は登山口手前の道路脇に数台置ける。林道を30分ほど歩き、矢櫃沢橋の左岸側から沢へと下降。ゴーロを歩き始めるとすぐ両岸がV字谷となり、堰堤が現れて左岸から越える。左岸に枝沢の30m滝を見るとゴルジュの様相を呈してくる。
 小滝を越えてトイ状6m斜滝を登ると、幅の狭い小滝を開脚で越える。自分は開脚が大の苦手だが何とかクリア。右に左に向きを変える沢を登っていくと矢櫃滝が現れた。この滝は2段で、1段目は釜のある8m滝が幅のある水流を落としている。この滝は登山大系では「長い間遡行を拒んできた」と記載されている。釜に入って右岸沿いに進み、水から上がって水流脇を登ると思ったより容易である。2段目の5m滝は釜を泳いで取り付き、水流左を登るがさほど難しくはない。そんなわけで矢櫃滝は呆気なくクリアしたが、1段目は高さがあるので状況によってはロープも考えたい。
 小滝を越えると突然前方に洞穴のような暗い空間が見えた。洞穴のように見えたのは、右岸が大きく被っていて鋭く右に屈曲しているからなのだが、中へと入ると暗くてまさに洞穴のようである。その中に6m滝が釜に水を落としており、釜伏の滝との名がある。登山大系では「左岸岩稜を登るか、少し戻って右岸ルンゼを高巻く」とされているが、実際に登った記録があり、今日は我々も登る気で来たのだ。千◯さんがトライすることとなり、釜を右から泳いで取り付くと、あっさりと(そう見えた)体を引き上げた。釜のこちらから見るとつるんとした岩だが、ホールドスタンスは細かいながらもあるようで、右壁を探りながら少しずつ登っていく。4か所ハーケンで支点を取りながら30分ほどで登攀成功。見ているこちらは動いてないので寒くて震えそうだった。2番手の◯樹さんがロープを引いて支点にアブミを掛けて登り、3番手の安◯さんが続く。自分はラストでアブミを掛け替えながら登り、ハーケン・シュリンゲを回収するがやや苦労した。核心の滝を越えたので一息つく。この滝で要した時間は75分ほどだった。
 遡行を再開すると左岸から滝で枝沢が近接して2本落ち、その後は「まわり滝群」と呼ばれる直登できる滝が続く。苔のついた12m滝を左壁から直登し、4m+7mの2段滝を登り、次の7m滝は微妙なホールドを拾って越える。階段状の10m滝と小滝をいくつか越えると、両岸が狭まり小函となる。突っ張ったり水に入ったりと各人各様に越えると、ゴルジュは突き当たり左から6m滝が落ちる。奥に入って見上げるとやっと大滝が見えた。35mの横川大滝である。
 まずは6m滝を千◯さんが、右壁のガリーからトップでロープを伸ばす。大滝下でいったんピッチを切り全員が上がる。大滝は下部は立っているが上部の傾斜は寝ていて登れそうに見える。実際右からも左からも登られているようだが、逆層で滑りやすい岩はかなりいやらしそうであり、いずれにしても下部は人工登攀だろう。今回は右にあるガリーを登り、可能ならば途中から右壁に戻って水流脇を登ることにした。○樹さんがリードするが岩が脆くて浮石もあり、思った以上に悪いようだ。落石を起こさないよう細心の注意で登っている様子が伝わってくる。結局右壁に戻ることは困難なようで、そのままガリーを登って灌木帯へと入り、左へトラバースして落ち口に出たようだ。若い2人が続いてスルスルと登るが、ときおりラークの声とともに石が落ちてくる。ラストは自分が支点を回収しながら登ったが、あまり効いてないハーケンや小指程度の灌木の支点しかなく、体重のある自分にはシビれる登攀となった。6m滝と横川大滝の登攀には約2時間を要した。
 大滝を登ればあとは源頭部を詰めるだけである。水が涸れてからも沢筋を追い、最後はヤブこぎを数分しただけで登山道に飛び出た。後白髪山頂までは25分ほどだが、先週と同じくガスで眺めはない。沢装備を解いてひと息つくと、登山道を横川登山口へと下山した。
 矢櫃沢は釜伏の滝や横川大滝など、難しいが登れる滝があり遡行しがいのある沢だった。特に今回はメンバーにも恵まれ充実した沢登りとなった。泳ぎが必ずあるので、遡行するのは気温の高い日にしたい。横川大滝を登攀する場合は、それなりの装備と気構えで望みたい。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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