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No.5388
石滝川 朝日連峰 荒川支流
山行種別 無雪期沢登り
いしだきがわ 地形図

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山行期間 2016年8月27日(土)〜28日(日)
コースタイム 8月27日 針生平登山口(7:55)=林道終点(8:25,8:55)→入渓(9:03)→10m滝(11:30)→テン場(14:00)
8月28日 テン場(6:44)→ソデキリ沢出合(7:36)→サカサ沢出合(8:16)→尾根・1175m(12:00,12:25)→登山道(14:01)→祝瓶山頂(14:23)→針生平登山口(16:15)
写真/記録 写真は拡大してみることが出来ます
8月27日
林道最終地点 入渓地点 大岩が多い
巻き道のロープ 釣りパーティーの下で待機中 淵と小滝が続く
右岸の特徴的なハング岩 滝は石滝ばかり ゴルジュの奥に10m滝が落ちる
ロープを出して左岸から巻く ショルダーで岩に取り付く ドボンした小滝
キクラゲ採り 平瀬になる 時間は早いがテン場を決定
夕食はイワナの唐揚げと寿司 キクラゲの味噌汁 早めに就寝

8月27日
 荒川の支流である石滝川は、朝日連峰最南端の祝瓶山から派生する西尾根を源とする。昨年遡行した金目川とは尾根を隔てて隣り合わせているが、渓相はだいぶ異なるようだ。石滝川は朝日連峰の沢の中では易しい沢といえ、魚影も濃いという。そのためか入渓記録は沢登りのものは少なく、源流指向の釣り師による記録が多く見られる。沢登りの記録としては、豊野則夫さんの「朝日・飯豊連峰の沢」があるが、最後まで詰め上げずに尾根を乗っ越して岩井沢から大石沢へと下降している。今回はあえてヤブこぎが長くなることを覚悟で、祝瓶山頂を目指す計画とした。
 自宅を出るときは結構雨が降っている。雨の日の沢登りはテンションが上がらない。少し早く着いた道の駅「いいで」で待っていると、福島組が6:30過ぎに到着。シトシト降ってはいるが、とりあえず現地に向かうことにして出発する。走っているうちに雨も上がり、空も明るくなってきた。小国町中心部から荒川沿いに五味沢、そして針生平へと進み登山口に1台デポする。とって返し、集落を抜けて石滝川沿いに石滝林道を進むと、橋を渡って行き止まりとなる。数台しか停められないところに、釣り人と思われる先客の車が1台。支度をして8:55に草に覆われた林道跡を歩き始める。少し進んでから枝沢を下降し石滝川に降り立つ。斜度が無いので穏やかな流れといえるのだが、大岩がごろごろしていて随所で小滝を成している。石滝川の名前はここから来ているのであろう。小滝といえどまともに越えるのは容易ではないので巻いていく。巻くといっても高巻きではなくトラバース程度で踏み跡もあり、要所にはお助け紐やロープまで張ってある。それだけ釣り人が多いということだろう。ゆっくり歩いていたのだが、3人の釣りパーティーに追いついてしまった。時間も余裕があり諍いを起こすこともあるまいと、しばらく様子を見ていると、なるべく巻くことを条件に先行させてくれた。流れに入るのは必要最小限にして遡行を続ける。
 やがて岩の裂け目のようなゴルジュの先に10mの直爆が現れた。見ると左岸から小さく巻けそうだ。他の記録にはロープが下がっていると書いてあったが見当たらない。ロープを引いて自分が登り始めるが、ズルズルと滑りやすく結構しょっぱい登攀となった。ここは要注意箇所といえる。記録にあるロープは途中で千切れたようで、上部にその名残があった。先ほどの釣りパーティーに、この10m滝のことを話してもピントこないようだったので、以後は遠慮無く流れに入ることにする。沢に戻ってすぐ登れない3m滝があり、左の岩陰からショルダーで登る。単独なら苦労するところも、3人であれば助け合って突破できる。次の小滝は右岸のハングした岩を回り込み、自分が空身で落ち口の流れに足をかけ、体を乗せようとしたところで足をすくわれドボン。続いて鈴Kさんがトライすると成功。ザックを引き上げてもらい、シュリンゲのお助けを出してもらう。この落ち口にはかなり古い残置ハーケンがあった。
 その後も直登できるような小滝はなく、へつったりよじ登ったりしながら越えていく。倒木にキクラゲを見つけたので採りながら木の皮をめくると、ヘビがとぐろを巻いていたのでそっと皮を戻す。いやはや驚いた。右岸の岩壁を伝う枝沢を3本見送ると、やがて平瀬となり移動距離がはかどるようになる。テン場になりそうな所も散見されるようになると、ここは最適だろうと思われる場所が現れた。時刻はまだ14時前で、計画ではもっと先まで進む予定だったが、明日その分頑張ることにしてテン場に決定した。地形図では右に左に大きく蛇行を繰り返す最初のカーブの辺りだ。早速、食事担当のN井田さんは上流へと釣りに行く。イワナの調達が彼の任務だ。こちらは2人でタープを張り、薪を集めて火をおこす。午後もまだ4時前だが宴会開始。夕食はN井田さんのイワナ唐揚げと寿司に舌鼓を打つ。キクラゲは味噌汁にした。宴会開始が早かったせいか、午後8時過ぎに早々と就寝。

8月28日
コンビーフご飯 ゴルジュ 右岸から越える
キリノ沢出合 平瀬が続く 今日もキクラゲ採り
5m斜滝 サカサ沢出合 沢幅が狭まる
さらに狭まる 枝沢が多い 4m滝(魚止め?)
次の4m滝 手を広げれば届くほど 右が本流
小滝の二俣は左が本流 5m滝 鉈目のあった倒木
高度を上げる 灌木の急斜面 ヤブ尾根を登山道へ
赤鼻尾根分岐 祝瓶山頂 大石橋を渡ると登山口だ

8月28日
 朝飯はN井田さんオリジナル?のコンビーフご飯。炊いた飯にコンビーフ缶を混ぜ、お好みで醤油とマヨネーズだが、これがめっぽう美味い。やはり炊いた飯はアルファ米とは違う。朝からがっつり食べて満腹。予定より少し早くテン場を後にする。今日の行程は昨日楽した分だけ距離が長い。平瀬を歩き始めると右から枝沢を合わせ、その先に小滝が見えてくる。沢は小滝で左へ屈曲しゴルジュとなるが、朝から濡れたくない我々は右岸から巻いて越えていく。短いゴルジュ区間を抜けると沢はいったん開ける。右岸から細い枝沢2本を合わせ、2mの小滝を左岸から巻くと穏やかな流れが続く。歩いていると流れの中にイワナの魚影が走る。やがて右岸に大きな滝が見えてきた。これがキリノ沢(3段60m)だろう。ここで石滝川は大きく右へ曲がりさらに平瀬が続く。テン場になりそうな所も多く、計画ではこの辺りをテン場予定地にしていた。倒木にキクラゲを見つけお土産用に採る。
 ゆったりとした平瀬は淵のある5m斜滝で終わった。滝を越えると沢幅が狭まるが、流れは相変わらず穏やかだ。ほどなく左からサカサ沢を合わせる。この沢は釣り師が石滝川に入るのに、荒川から岩井沢〜大脇沢を遡行し、尾根越えをして石滝川への下降に使う沢らしい。次に右から枝沢を合わせる。枝沢を見送るたび、石滝川の流れは浅く小さくなっていく。それでもイワナはまだまだ走り、魚影が濃いというのはこういうことかと思う。浅瀬で逃げ場を失ったイワナが、足にぶつかりながら下流に戻っていく。左右左左右と忙しく枝沢を見送ると、沢はさらに狭まり廊下のようなゴルジュになってくる。そんな場所でふと砂地を見ると、クマの真新しい足跡が目に入った。こんな逃げようのないところでの遭遇は御免被りたい。さらに何本か枝沢を合わせ、4mほどの滝を2つ越えていくと、いつしかイワナの姿が見えなくなっていることに気づく。
 700mの二俣は地形図で確認し右の本流へ進む。次の小滝で出合う二俣は左が本流だ。小滝をいくつか越えていくと開けたところに5m滝があり、左右どちらからも越えることができる。700m辺りで奥に滝のある枝沢を左に見送ると、沢は斜度を増して高度を上げ始める。緩い登りがずっと続いていた分を取り戻すかのように標高を稼いでいく。沢に落ちてきたと思われる比較的新しい倒木を見ると、鉈目があり昭和48年と読めた。尾根の杣道にあったものだろうか。1000m辺りで水が涸れるが沢形は続いている。急斜面を灌木に頼って登っていると、1050mで残置シュリンゲを見つけた。他の記録では1050mから沢を離れて左岸尾根に登り、ヤブ尾根をしばらく下って岩井沢へ下降し、踏み跡を見つけて尾根を乗っ越し大石沢を下降するとある。それも良いが、今回は最後まで沢を詰め上げる計画としている。せっせと登り続けるとやがて沢形が斜面の中に消えた。灌木の急斜面を腕力まかせの登りが続き、1175mでやっと尾根に到達した。
 ちょうど正午になったので、やれやれと腰を下ろして昼食とする。予報とは異なり陽も差して風もあり、湿度が低いのか爽やかだ。さて、登山道を目指して尾根のヤブこぎ開始だ。鈴Kさんを先頭に登り始めて少しした時、突然左腕に鋭い痛みが走った。すぐさま蜂だと気づき、振り向いて脱兎のごとく逃げ下る。下にいて何事かと目を大きくしているN井田さんに「蜂だ!」と叫び地面に伏せた。結局、自分は4箇所、N井田さんは2箇所、鈴Kさんは1箇所刺されてしまった。刺したのはおそらくジバチと思われるが、巣の近くを歩いたので刺したのだろう。自分は山登りを始めて以来、ヤブの中もずいぶんと歩いてきたが、山の中で刺されたのは初めてである。4箇所刺されたせいか、少し動悸がして頭がボーッと変な感じになる。軽いショック症状かと思ったが、10分ほどで正常に戻りひと安心する。他の2人は痛みはあるものの何ともないようだ。とんだ蜂騒動だったが、気を取り直してヤブこぎを続ける。灌木斜面だがシャクナゲやハイマツではないので、ヤブこぎとしては比較的楽な方である。高度を上げるとガスの中に入り風が吹いてきた。目指す祝瓶山の山頂も見えず、眺めが得られなくなったのが残念だ。尾根が終わり少し下ると登山道に出た。赤鼻尾根の分岐すぐ近くである。地図上での水平距離約600mのヤブこぎに、1時間半ほどかかったことになる。分岐にザックを置いて祝瓶山頂に登るが、眺めも無いし我々以外誰もいないのですぐ戻る。ザックを担ぐと鈴振尾根を下り、2時間弱で針生平登山口に到着。デポしておいた車で昨日の入渓点へと車の回収に向かった。
 石滝川はその名の通り、大石が重なり滝となった石滝が多い沢だった。釣り師の入渓が多く、今回のようにかち合うこともあると思われるので注意したい。以前は沢屋顔負けの遡行をする源流釣り師もいたようだが、この頃は少なくなったようだ。大滝は無いもののひとつひとつの岩が大きいので、ショルダーを使ったりと対処が必要なところが多く、それなりに楽しめる。いずれにしても石滝川は、イワナを釣りながらゆっくり遡行したい沢である。ロープは30mで十分である。(K.Ku)

ルート 27日=赤  28日=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。
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