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No.5420
ホラ貝沢 吾妻山 松川流域前川支流
山行種別 無雪期沢登り
ほらがいさわ 地形図

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山行期間 2016年10月10日(月)
コースタイム 滑川温泉(6:39)→前川(6:42)→登山道→大滝沢下降開始(7:09)→大滝沢(7:16)→ネコ沢出合(7:34)→ホラ貝沢出合(7:42)→F5・30m滝(8:41)→F10・2段7m+10m滝(10:04)→F14・10m上部階段状滝 (10:32)→F17・10m滝(11:04)→窪(11:21)→1550mコル・下降開始(11:40)→大滝沢(12:34)→右岸窪(12:42)→登山道(12:53)→→滑川温泉(14:15)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
滑川温泉手前から出発 登山道から見た大滝 大滝沢に降り立つ
5m滝は右岸巻き ホラ貝沢出合 入渓部は少し薄暗い
大石を避けて木が生えている F2(5m)意外に苦労した
F1(8m)は左岸より巻く
F3(3m+2m+2m)三段滝 F4(7m)
細い回廊が続く
F5(30m)大滝は左壁から攻めるが怖くて敗退 F5のトラバース箇所を下から見る
F5のトラバース箇所は支点もなスリップが怖い
F6(4m+6m)二段滝は左岸より巻く F8(10m)は左岸のスラブをトラバース F8・後続が左岸をトラバース中
F8上部の支沢からは2筋の流れの跡が 穴が近いが出ている成分が違うようだ F9(5m)
F10(7m+10m)の下段は記録では水線突破だが今回は右壁より小巻き F10上段は左壁より登る F11(3m)
F13手前の廃坑跡 F13(10m)左壁のバンド゙を登る 
F12(4m+3m+3m)最上部はハングしている
小滝は左岸より巻く F14は左岸の岩屋下を通って巻く
F14(10m)の巻き途中から撮る
F15(3m)コケの滝 F16(10m)は直瀑で綺麗だった F17(10m)過去の記録では登っているが今回は巻く
F17・巻き終わりから下流を見る 右がF18(3m)ここから左の窪(枝沢)へ進む 窪から1550mのコルへと進む
コル周辺のヤブ 1550mコルからの下り始め スラブが時々出現する
スラブは滑らないが落ち葉が滑る 3mハング滝は小さく巻く ようやく大滝沢へ出る
支沢を利用して登山道に上がる 登山道は笹に覆われてわかりづらい 滑川温泉下の前川ほ渡る

行動記録
 ホラ貝沢は大滝沢の支流として、前々から気になっていた沢である。会の1977年の遡行記録を見ると滝が連続し、見るだけで自分の力量の範疇を超えているような気がしていた。今回計画が決定し、オンラインで記録を検索してみると、どの記録も結構時間がかかっている。滝の処理が大変なのだろうか。滑川温泉の日帰入浴の時間は16時までである。そのため早出とショートカットで時間を詰め、温泉に間に合うような計画を立てた。当日の朝は現地6時30分に集合。登山道で時間を短縮し大滝の上部から入渓することにした。
 久しぶりの大滝沢である。紅葉前ではあるがその眺めに感動する。天気は曇りで少し風があるので肌寒い。滝処理の際に体が冷えてしまうことが予想されるので早目にカッパを着て防寒する。登山道から大滝沢に下降し溯行を開始して30分もしないうちに赤いナメ床のホラ貝沢の出合が左岸に見えてくる。ここでもう一度装備等を確認しホラ貝沢に入渓する。寒いので目出し帽も装着した。出だしは暗く、少し行くと右岸に木に包まれている特徴的な大岩が見えてくる。すぐにF1の8m滝に出合う。自分の技術では直登は難しいため、左岸の灌木帯を使って滝の右壁沿いを突破する。
 しばらくナメの回廊を進むと垂直5mのF2に到着。一見それ程難しいところではない。しかし、右壁の草付きに取りついたが草付きの根が浅くはがれてきてしまい足場も泥のため滑る。落ちるか落ちないか、こじる様な登りが続き、ようやく上部の灌木に手が届いて一安心。○辺くんは左壁から登ったようだが、そちらもギリギリ登れたということ。自分の握力がなかなか回復しないため小休止する。F2でこれでは先が思いやられる。
 そんな雰囲気の中、先に歩を進める。ラッキーなことにF3とF4は直登可能で一安心。しかし次のF5は30mの大滝である。下からみると、なんとか左壁から登れそうな気がするので偵察に途中まで登る。しかしトラバース箇所にヌルがあり、ランニングをとるアンカーも見当たらない。検討の結果、ビビリの自分はここで大事を取ることにした。少し沢を戻り、途中の支沢から左岸の灌木帯を巻く。巻きはそれほど悪くなく、F5の落ち口に難なく到着。直登できなくて残念だが、これからの滝の数を考えると、時間がかかっても安全な方を取りたくなる。
 次のF6は2段の滝。記録によると手前の滝は水線を登れるが、奥の滝が登れないということ。気温が低く水線は行きたくないので左岸から全部巻くことにした。灌木を頼りに奥の滝の落ち口を目指す。灌木の混み具合はひどい訳では無いが、それなりに体力を浪費する。奥の滝落ち口近くになってその奥にも滝があることを発見する(F7)。記録ではある程度把握していたが、遠目に見ると同様に直登は難しそうだ。ここも連続して灌木の中を左岸巻く。
 巻いて一安心していると次にF8が見えてくる。F8は幅の広い10m滝。下に降りてまた登り返しをしたくないこともあり、ここも巻くことにする。ここを巻くには左岸のスラブをトラバースする必要がある。落ちたらまずいが、傾斜はやや緩い。ここも大事を取り、ロープを出してトラバースする。草付き帯にある灌木に支点をとり、後続の○辺くんにOKを促す。30mロープギリギリで、緊張のトラバースであったが無事クリア。灌木を少し漕いでF8の落ち口まで移動し、ようやく大高巻きが終了した。
 F8落ち口付近に左岸支沢があり、その真ん中に並んでいる2つの穴より違う色(白と黒)の流れの跡を発見した。30センチも離れていない穴であるが、成分の違うものが出てきているようだ。なんとも不思議な光景である。小休憩をはさみすぐ出発する。F9はザレた右岸から登る。F10下段7m滝は水線を突破している記録があるが、今回は水線の右壁から、水に触らないように直登した。次のF10の上段のネジレ滝は左岸から突破を試みるが失敗。○辺くんが右岸から草付き沿いに突破したので自分もそちらから続いた。F11は直登。続くF12は3段の滝であるが、最上段に特徴的なハングが見える。2段まで直登し、ハング部は左岸より巻いてクリア。ハング上部は少し沢が開けている。少し進むと左側に廃坑跡の緑色の穴が見えてくる。そのすぐ先にF13があり、ここは左壁のバンドから問題なく直登できる。少しハングしている小滝を左岸から巻くとF14が見えてくる。直登できそうだが、ここまでの疲労蓄積によりそんな気になれない。左岸の岩屋直下に這って通れるバンドがあるのでそこから滝の中段までショートカットし、最後に階段状の水線を登ってクリアした。F15のコケに覆われている3m滝は、滑るが直登可能である。
 だんだん終わりが見えてきたので少し元気が戻ってくる。しかし、そんな気持ちも次のF16を見て打ち消されてしまった。F16は垂直の10m滝で自分たちの技術では直登は難しい。右岸に巻けそうな尾根上のラインがあるのでトライ。中段まで行くが、草付きが滑って意外に危ない。草付きをクリアし、岩場のバンドに進入するが、ザレているためスリップが怖い。高度感もあり慎重に歩を進める。何とか落ち口まで到達し○辺くんにGoのサインを送る。草付きはクリアできたが、そのあとのザレ区間がクリアできない。○辺くんはさらに高巻きをして尾根上部に登り詰め、途中から下降するらしい。降り口の指示をしようと先をみると、また10mほどのF17が見えてきた。そこで○辺くんにそのままF17も巻くように指示し、自分も巻き始めた。後で記録を見ると、F17は浮石こそあるが、直登は可能であるらしい。しかし疲労困憊の自分たちとして下ってまた登りたくなかったので、ヤブの尾根まで上がりそのままトラバースをした。ヤブは濃いが、安達太良の仏沢のヤブよりは濃くない。無事落ち口にたどり着き、今度は1550mコルに向かうため、右岸の窪を探しながらの遡行をする。
 F18の3m滝に到着すると右岸にもそれらしい窪が見える。地図とGPSで現在地を確認し窪に進入。時々ササ薮で視界がなくなる箇所もあるが、あまり障害物もなくコルに向かって進むことができた。11時40分、1550mのコルに到着。しばし小休憩を入れ、すぐ下降を始める。下降に使用した支沢はロープを出すようなところはなくスラブが何ヶ所かあるがフリクションが効くため問題無い。大滝沢近くの3mハング滝は注意して巻けばOK。12時34分、ようやく大滝沢に戻ることができた。食事の時間だが、できれば大滝の展望箇所で食事がしたいので予定の桶木沢まで行かず、途中右岸の小さな支沢から登山道へショートカットして上がった。出口付近の登山道は笹で覆われていてそのまま突き進んでしまった。注意が必要だ。急いで大滝の展望箇所まで下ってお昼とする。
 昼食後、登山道を一気に下り、駐車場には温泉に入れる時間内に戻ることができた。高巻きやショートカットを多用したので何とかこの時間に戻れたが、滝の処理に時間を費やしていたら自分達の技術ではもっと時間がかかっていただろう。山行を終え、念願の滑川温泉の湯に浸かって帰路についた。(S.Su)

遡行図

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