前日の鳴虫沢はアクシデントにより中退となった。そのためパーティーは1名減となったが、10日は予定通り小松原沢を遡行することにした。なお、小松原沢は4年ぶり2回目の遡行となる。
二口林道ゲート前に車を止め、支度をしてゲート脇をくぐり林道を歩く。ヘアピンカーブのところから降りて二口沢に入渓し、ナメ床をひたひたと歩いていく。10mナメ滝は、水流右の細かいスタンス・ホールドを拾って登ることができるがちょっとリスキーだ。左岸から容易に巻けるのでその方が無難である。起伏のあるナメが続き、右岸から下降に使う予定の南沢が出合う。しばらくゴーロ歩きが続き、左岸の枝沢を見送ると4mナメ滝が現れる。この滝もスタンス・ホールドが細かくて、沢登り2年目のО島さんは途中でセミになりそうになったが登り切ってくれた。
次は4mナメ滝に左岸から鍋越沢の10mナメ滝が合わせる。水流左を登るが上部がちょっと嫌らしい。次の2段6mナメ滝は傾斜が寝ていて比較的容易。左岸の枝沢小滝を見送ると、6m階段状の滝に左岸から枝沢が12m滝で合わせる。ここは左右どちらからでも容易だ。やがて二俣で真っすぐ桂沢が出合い、本流は左へ直角に屈曲する。本流へ進むとすぐ右岸に焚き火跡のあるテン場がある。日帰りでは関係ないが、昼から入渓してここで泊まるというのもありかもしれない。6m滝を水流右から登り、平坦なナメを歩いていくと右岸から穏やかに小松倉沢が出合う。
ほどなく6m滝に突き当たり左壁を登るが、壁が立っているので必要に応じてお助け紐を出したいところだ。3mナメ滝に続く6mナメ滝を登っていくと、木々の紅葉が少し見られることに気が付く。トイ状多段5m滝を越えると12m滝が現れる。もろにシャワーを被れば直登も可能だろうが、もちろん今日は右岸から高巻くことにする。踏み跡をそのままたどると登りすぎてしまうので、落ち口上の高さになったらトラバースするのがポイントだ。沢に戻ると50mと言われる銚子大滝だ。4年前は水芯を直登したが楽しく登ったという記憶がある。しかし、この時期に水を被りながらの登攀は厳しいので、最初から高巻くつもりだった。ところがK樹さんは残念そうである。高巻きルートは左岸にありブッシュ伝いに登り、銚子滝の上段滝の高さになったら草付きをトラバースする。枯れ始めた草付きが頼りなげで何となく嫌らしく、昨日のスリップ事故の件もあるのでトラバース部分でロープを出した。
銚子滝上段の7m滝を登るとすぐゴルジュになり、お楽しみはここからである。最初の4m斜滝は左岸をへつるがちょっと難しい。右岸から行こうとしたN井田さんはドボン。途中でセミになったが粘ってクリアしたО島さんを褒めてあげたい。次の3m滝も難しそうに見える左岸をへつることができる。さらに3m滝が2つ続くが、いずれもО島嬢にトップで越えてもらうとゴルジュも終わりである。ここのゴルジュを巻いている記録もあるが、それではへつりも楽しめず勿体ないのではないだろうか。
沢は緩やかなナメとなりブナの森の中を穏やかに流れていく。しばらく歩いていくと、1,030mほどで左岸にあつらえたかのようなテン場があった。焚き火跡もあり何組ものパーティーを迎えたのだろう。やがて二俣となり、今日は神室岳(仙台神室)の方へ向かうので一段高い左沢へと入る。登山道から二口林道経由で下山するのであれば右沢の方が近い。左沢もしばらくナメが続き沢が細くなると、1,130mでちょっと分かりにくい三俣となる。涸れている左沢に入り詰めていくと、ヤブこぎ10分ほどでダンコ平(ダンゴではなくダンコ)の登山道に飛び出た。
下山してくる登山者とすれ違いながら神室岳に登る。山頂から少し東に進むと踏み跡は消えるので、ヤブを漕いで南沢の源頭を目指す。自分は神室岳から南沢への下降は今回で3回目なのだが、すんなりといったためしがない。それでもやっと沢形を見つけると、後は南沢を下降するだけとなる。二口沢本流に出合うと対岸の小屋(翠雲荘)へ上がり、二口林道を歩いてゲートまで戻った。(K.Ku)