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No.5433
霧来沢
前ヶ岳南壁右スラブ
御神楽岳・只見川支流
山行種別 無雪期沢登り
きりきたさわ・まえがだけなんぺきみぎすらぶ 地形図

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山行期間 2016年11月5日(土)
コースタイム 登山口(7:26)→入渓(7:57)→鞍掛沢出合(8:14)→二俣(8:55)→二俣(10:11)→右スラブ下分岐(10:54)→稜線(13:47)→避難小屋(13:56,14:16)→本名御神楽岳(14:29,14:37)→避難小屋(14:43)→登山口(16:14)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
登山口 霧来沢に入る 小滝を越える
八丁洗板というナメが続 二俣を右へ 紅葉が美しい
ナメコをゲット スラブが見えてきた 各スラブが識別できる
右俣へ 右スラブはまだ見えない 登山大系によるスラブ名称
第1・第2スラブ 右俣へ進む 左手が右スラブ
6mナメ滝 ブッシュ混じりのスラブ スラブを見上げる
中段でひと息つく 頑張る大○さん 高度感が心地よい
スラブ左手 さらに高度感が増す ロープ1回目
ロープ2回目 ちょっと右に寄りすぎたか 稜線に到達
避難小屋(管理舎) 本名御神楽岳 雪が残っていた
御神楽岳 つばくろ尾根と飯豊連峰 登山道から見た右スラブ

行動記録
 記録ではよく見かけ福島県の山ということもあり、以前から気になっていた前ヶ岳南壁のスラブ群。福島県金山町と新潟県阿賀町との境にある本名御神楽岳(1,266m)の南に位置する。標高こそ1300mに満たないが、会越の谷川岳の異名があるとおり、雪に磨かれた壮絶なスラブが特徴的な山域である。今年こそは登ってみようと思っていたものの、パートナーとタイミングに恵まれないでいるうちに秋も深まってきた。そろそろ最後かなと思いながらも、あちこち声を掛けたところ女子が1名が呼応してくれた。天気は良いとの予報なので、紅葉とキノコも少し期待して向かうことにした。目指すスラブは第1・第2スラブよりは傾斜が緩いとされる右スラブだ。
 只見川沿いの国道252号を只見方面へと走って行くと本名ダムがあり、ダムの直前で右へ林道に入る。霧来沢沿いに9キロ近く走ると御神楽岳登山口がある。登山口が近くの道は少し荒れているので、普通車は要注意だ。5〜6台ほどの駐車スペースには既に1台車があり、その脇に停める。登山道は霧来沢を左に見ながら続く。朝霧が残っているがそのうち晴れるだろう。登山道で八乙女滝を高巻いてしまえば、あとはどこで入渓しても構わない。登山道が斜面に取り付くところまで進んでも良いのだが、せっかくの穏やかな流れを歩いてみることにした。水は冷たいがそれほどでもない。小滝を越えると八丁洗板という雰囲気の良い幅広いナメとなる。ただし、ヌメリがありラバーソールの沢靴が滑る。自分はこれまでフェルトオンリーだったのだが、今日初めてラバーの沢靴を履いてきたので勝手が違う。
 右から鞍掛沢を合わせると、徐々にガスが薄れて日が差してくる。途中でムキタケやブナハリタケにナラタケを見つけ、しばしのキノコ採りタイムとなる。小滝を越えると二俣となり右俣へと進む。青い岩の狭い屈曲部で右へ90度曲がり、美しい紅葉の中を遡行していく。ここでもムキタケ・ナラタケ・ナメコ・ヒラタケを見つけてしまい、見過ごせずにだいぶ時間をロスしてしまった。やがて前方見上げる角度でスラブの山肌が見えてきた。沢からのV字の視界に入ってきた尾根にはがっしりした岩塔が見え、おそらくそれが前ヶ岳だろう。近づくにつれて第1・第2スラブなども識別できるようになるが、今日登る予定の右スラブは左岸の陰で見えない。抜けるような青空と美しい紅葉に彩られたスラブ群を見上げながら歩いていくと、V字・右スラブへと駆け上がる急傾斜の右俣が見えてくる。出合から先ほどの右俣へ進むと大岩のゴーロを登っていく。おおむね問題ないが1箇所だけ小さく巻いた。
 傾斜が落ちると正面に第1・第2スラブが大きく見えるてくる。稜線まですっきりとスラブが繋がっていて、来年はこっちだなと思いながら進むと右スラブへの出合だ。右俣へと少しヤブが被った小沢を登っていくと、左手にスラブを見上げるようになる。ここが右スラブ下の分岐だ。始めの6mほどのナメ滝を登るとブッシュ混じりのスラブが続く。岩のフリクションは十分で、斜度は40度ほどなので快適に登っていくことが出来る。とはいえ登るにしたがい高度感も十分以上である。
 中段でひと息ついて雲ひとつない青空と紅葉を眺める。登って良かったと思える瞬間である。傾斜が増してきたスラブ上部でロープ(灌木支点)を出し、間を置いて2度目(ハーケン支点)を出した。慣れているパーティーならロープはいらないだろう。細かい浮き石があるところは落石に注意。詰めは少しヤブがあるが問題ない。我々は右へ寄りすぎてしまいちょっと手こずったが、無事稜線に到達。ヤブ尾根を東へ進むと薄い踏み跡があり、7分ほど辿ると登山道に出た。
 少し登ると避難小屋(地形図では間違った位置に表記されている)があり、小屋前で遅い昼食とした。小屋の1階入口は既に冬仕舞いされており、冬季は2階窓が入口のようだ。午後2時を過ぎていたが本名御神楽岳に向かう。山頂からはまさに360度のパノラマだ。間近に御神楽岳、右に視線を移していくと稜線が白くなった飯豊連峰、さらに吾妻連峰、磐梯山から奥深い会津の山々等々を眺める。名残を惜しんで小屋まで戻るとザックを担いで下山にかかる。登山道から眺める前ヶ岳のスラブは、よく登ったものだと思えるほどの傾斜に見える。あそこを登っている姿を、こちら側からも眺めてみたいものだと2人で話しながら下る。小屋からは1時間半ほどで登山口に到着し、無事今日の山行を終えた。雲ひとつ無い快晴の青空の下、爽快なスラブ登りを楽しむことが出来た秋の1日だった。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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