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No.5614
飯豊連峰・赤石沢 横川(滝川)流域
山行種別 無雪期沢登り
いいでれんぽう・あかいしさわ 地形図

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山行期間 2017年8月5日(土)~6日(日)
コースタイム
8月5日  大日杉小屋(8:10)=林道終点(9:25,9:50)→入渓(10:00)→魚止滝(13:04)→権現沢イボノ沢二俣(14:51)→テン場(15:30)
8月6日  テン場(5:50)→1,200m二俣(8:25)→1,280m二俣(8:50)→地蔵岳(10:06,10:20)→大日杉小屋(12:10)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
滝川の鉄骨橋を渡る 滝川に入るとアブに囲まれた 穏やかな流れが続く
赤い岩盤が続く 雪渓が沢をふさぐ やっと滝が現れたが3m
ミニゴルジュ 少し変化が出てきた 良い形が釣れた
魚止滝12m 4mナメ滝は右岸をトラバース 左俣はヤゴウ沢で右俣の赤石沢は5m滝
小滝が続く 左俣の権現沢と右俣のイボノ沢に分かれる ゴーロが続く
二俣の左俣に12m滝が見えた 住めば都のテン場 イワナの唐揚げが絶品
出発してすぐに二俣 12m滝は右壁を直登 滝上は沢が開ける
雪渓が現れたが遡行に支障なし 雪渓の周囲に水芭蕉の花が咲く 斜度が増したゴーロで高度を上げる
4m滝を登る 1,200m付近の二俣を4m滝のある右俣へ 右俣の4m滝
細く深い3m滝 1,280m付近の二俣を左俣へ どんどん高度を上げていく
ボサが被る 沢が消え軽いヤブ漕ぎで斜面を登る 山頂の三角点に出た
飯豊山はガスであまり見えず 登山道で下山する 大日杉小屋に到着

行動記録
8月5日
 東北地方は8月2日にやっと梅雨明け宣言が出たのだが、宮城県はまるで梅雨が続いているかのような天気が続いている。5日6日は蔵王の小屋ノ沢を遡行しようかと考えていたのだが、宮城県側にある小屋ノ沢は雨模様で気温も低めの予報。無理に行っても楽しくはないので、急きょ転進先を探すことにした。悩んだ結果選んだのは飯豊の赤石沢。飯豊の沢は険谷ばかりというイメージだが、赤石沢は主稜線から外れた地蔵岳に突き上げる沢で、グレードが2級と飯豊としては易しい沢なのだ。しかも、中井○さんは釣りで途中まで入ったことがあるという。まったり遡行して沢泊まりを楽しめる雰囲気になってきた。ただし、赤石沢にはちょっと問題がある。遡行を終えて稜線から遡行開始点に戻るには、踏み跡も定かではない尾根を鍋越山経由で3時間以上ヤブ漕ぎし、地蔵岳から5~6時間かけての下山となるらしいのだ。夏場に尾根のヤブ漕ぎを長時間するのは非常に厳しい。ちょっと手間はかかるが、地蔵岳から登山道で下山できる大日杉小屋に車を1台デポし、もう1台でスタート地点に向かうことにした。また、雪渓が残っていることが予想されたので、遡行困難なほどであれば枝沢からエスケープすることも一応想定した。なお、H田は飯豊も沢泊まりも初めてとのことで、是非楽しい沢登りにしてあげたいと思った。
 大日杉小屋手前の駐車場で中井○さんと合流。1台デポして遡行開始点へと向かう。小国町の吐水地区から西に入り、滝川沿いの道を奥へと入っていくと道は未舗装の林道となる。林道の途中には何軒も民家があり耕作されている水田もあるが、現在は廃集落になったので定住者はいないのだという。砂利道を7キロ以上進んでやっと林道終点に突き当たる。道の脇に数台程度おけるスペースがあるので停める。支度をして午前9時50分に歩き始める。すぐ鉄骨を渡しただけの橋で滝川を渡る。背丈ほどの草で分かりにくい右岸の踏み跡を歩き、堰堤を越えてから適当なところで川に入った。穏やかな平瀬だがたちまちアブが群がってくる。たまらず近くの枝を折り振り回すが奴らはまったくひるまない。隙あらば手袋の上からでも刺してくる奴らに付きまとわれながらの遡行となる。遡行を始めてすぐ左から黒松沢が合わせ、さらに10数分歩くと滝川と別れて左に曲がり赤石沢に入る。静かな流れが続くが、自分はいつもと勝手が違うことに戸惑っていた。普段はフェルトソールの沢靴を愛用しているのだが、何となく今回は随分久しぶりにラバーソールの沢靴にした。ところがこれがヌメった岩でいやに滑りまくる。ペースは遅くなり2人に付いていくのもままならないのには参った。ミスチョイスだったようだが今更どうしようもない。右岸からトッパノ沢を合わせると沢床が赤い岩になってくる。これが赤石沢の名の由来なのだろう。
 滝もない平坦な流れが続くが、左岸からは滝の沢、大ヒド沢、滝のある無名沢など何本もの沢が合わせる。やがて沢幅いっぱいの雪渓が現れたが、右岸側から難なく乗り越える。やっと現れた滝は釜があるが3mの小滝で、その先は狭いミニゴルジュとなり出口の右岸には枝沢が6m滝で落ち、すぐまた右岸から枝沢8m滝を合わせる。沢には落ち込みが続き蛇行するようになり、やっと変化が出てきた。ここで食料係の中井○さんが竿を出した。エサは駐車地点で採ったバッタだが、すぐイワナを吊り上げる。さすがだ。また平坦な沢になり、釣りながら遡行を続けるとやがて釜がある12m滝が現れた。これが魚止滝のようだ。手前の釜で中井○さんが3匹目を釣り上げ、イワナの鮮度を保つため雪渓を削った氷を詰めた袋に入れる。魚止滝は右岸のルンゼから巻いたが、左から滝身に寄っても登れそうだ。
 次の4mナメ滝を右岸をトラバースすると二俣となる。左俣がヤゴウ沢で右俣の赤石沢5m滝を右から越えると小滝が続く。左岸からツツノ倉沢を合わせ、さらにいくつもの小滝を越えていくとほぼ同水量の二俣に出合う。ここで赤石沢は左俣の権現沢と右俣のイボノ沢に分かれるが、今回はイボノ沢へ進んだ。3m滝を越え5m滝を右岸からへつって越えると午後も3時を過ぎた。沢はゴーロが続くようになり、テン場を探しながら遡行するが適地はなかなか見つからない。前方に12m滝が見えてきたところで、右岸にちょっとした平場があった。今日は12m滝の上流で泊とする考えもあったが、時間も時間なのでここをテン場とすることにした。3人なら十分な広さがある。整地してタープを張り焚火をおこす。沢泊まりが初のH田もテキパキと手伝ってくれる。中井○さんが枝豆にキムチやキュウリでささっとつまみを作ってくれた。早速乾杯だ。唐揚げになったイワナはふわっとして美味しい。主食は2種類のパスタで満腹。空には満天の星だ。午後8時過ぎにタープの下で横になった。
8月6日
 夜中に目が覚めると、アブとヤブ蚊に刺された顔と手が痒いのなんのでしばらく眠れず。中井○さんは遡行時に打った右膝の痛みで、H田は寒かったということで、三者三様の理由で寝不足の朝を迎えた。午前4時前の暗いうちから起きて焚火にあたる。朝食は中井○さん特製のコンビーフご飯。鍋で炊いた飯が美味い。テン場を午前5時50分発。すぐ二俣で本流の左俣に入る。テン場からも見えていた12m滝に近寄ってみると、水流近くの右壁がかなり立っているものの登れそうだ。トライすることにして空身で取り付き、ザックと2人を引き上げる。結果的に小さく巻くことができたが、ロープを出すなどしたので所要時間50分と思いのほかかかった。ここは二俣から右俣か中間の小尾根を登り、イボノ沢へ乗っ越した方が時間短縮になったと思われる。滝の上は沢が開けて稜線が近くに見えてきたが、これは地蔵岳から北へ伸びる尾根で山頂そのものはまだ見えていない。ゴーロを歩いていくとやがて雪渓が現れてきたが、沢は埋まっておらず遡行には支障がない。左岸から落ちる枝沢を見送り、徐々に斜度が増してきた沢を登っていくとあちこちに雪渓のブロックが残っている。ブロックは不安定なものもあり、いつ崩れるかわからないので注意が必要だ。3m小滝を越えると前方の雪渓周辺に水芭蕉の花が見えた。湿原などを好む水芭蕉にとって生育環境が厳しいと思われる沢の中で見るのは珍しい。遡行を続けると5m滝で落ちる左岸の枝沢を見送り、3mの石滝を越えると沢は開けた感じになってくる。
 手前に小滝のある4m滝を越え、1,200m辺りで二俣に出合う。どちらにするか迷ったが地形図を見ても今ひとつはっきりせず、4m滝のある右俣へ進むことにした(後で確認すると左俣の方がヤブ漕ぎも短くすんなり山頂に出られたようだ)。沢は源頭の様相となり、細く深い3m滝を越えるとまた二俣(1,280m付近)となる。15mほどの高さで岩盤を伝い落ちる右俣は山頂を外しそうに思え、左俣を登ることにした。急傾斜となった沢は細い溝状となりボサが被るようになる。水が枯れる前にと補給をしておく。やがて傾斜が緩んで1,350m辺りで沢は窪地となり斜面に消えた。山頂までの残り標高差200m弱は、軽いヤブ漕ぎで斜面を登っていく。少々足に来ているのでゆっくりペースだ。小1時間登り続けると山頂三角点にドンピシャで出た。
 
やれやれと山頂で休憩する。飯豊山はガスであまり見えなかったのは少々残念。登山道で大日杉小屋へと下山した。白川温泉白川荘(400円)で汗を流し、昨日スタート地点へと向かった。赤石沢はあまり厳しいところもなく、飯豊の沢としては易しい沢だった。滝を上手く巻けばロープを必要とするところもないくらいだ。ただし、6~7月の遡行は雪渓に注意が必要になるだろう。枝沢が多いので枝沢を遡下行する計画も立てられそうだ。魚影は魚止滝まではそこそこあるが、滝から上は見かけなかった。テン場は見た範囲では結局、我々が使った場所が最良の場所だったと言える。それ以外では整地すれば2人くらいは何とかという程度で、意外にテン場適地が少ない沢だった。赤石沢は今回のように釣りながら沢泊りを楽しむのが良いだろう。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、 第353号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

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