Fukushima toukoukai Home page
No.5687
不動沢右俣 栗子山系・小川流域
山行種別 無雪期沢登り
さふどうさわみぎまた 地形図

トップ沢登り>不動沢右俣→十三沢左俣

山行期間 2017年11月4日(土)
コースタイム
東栗子トンネル前(7:25)=大滝集落跡(7:48)→入渓(8:14)→不動滝(9:30)→6m滝(10:22)→大滝(12:22)→葡萄沢山(13:41,13:57)→十三沢(14:30)→二俣(15:56)→東栗子トンネル前(16:12)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
大滝集落跡から林道を辿る 大滝川を渡る 不動沢に入渓
グリーンタフの沢床 平坦な流れが続く ミニゴルジュ
突っ張りで越える 小屋が見え沢は右へ曲がる 大滝不動尊のお籠もり堂だろうか
大滝不動尊 不動滝(12m) 右壁を登る
ミニゴルジュ 6m滝 右岸を高巻く
穏やかな流れ ナメが続く 大滝(40m)
左壁を登る 落ち口にあったテープ 源頭が近い
尾根に出る 葡萄沢山の三等三角点 急斜面を下る
十三沢を下降 懸垂下降1回目 3回目の懸垂下降
急ぎながらも慎重に下る 二俣まで下ればひと安心 東栗子トンネル脇に出る

行動記録
 今年は栗子山塊に縁があるようで何度か訪れているのだが、11月4日も栗子山塊での沢登りとなった。不動沢を遡行して葡萄沢山を踏み、下降には十三沢を使う計画だ。相方は今年から沢登りを始めたE藤さんだが、2人だけでパーティーを組むのは今回が初めてとなる。スタート地点は旧国道13号沿いの大滝集落跡だが、この大滝地区は明治14年頃、福島県福島市と山形県米沢市を結ぶ万世大路の宿場として生まれ発展した。しかし、鉄道の開通と国道13号の開通により衰退していき、最盛期は250人以上が住んでいたという大滝集落も昭和54年には無人の廃集落となり、今は数軒の廃屋が残るだけだ。なお、不動沢の遡行にあたっては、当会の1983年の記録を参考にした。
  東栗子トンネル前の駐車スペースに15分ほど遅刻して到着。今日の相方のE藤さんが待っていた。1台デポして大滝集落跡へ移動する。大滝集落跡からは大滝川沿いの林道を辿るが、道の状況がわからないので車を置いて歩くことにした。1.5キロほど歩いていくと右へ分岐があり、ちょっとした広場になっていて小さな木小屋がある。この辺りを古屋敷地区と言うらしい。ここまでの道は4駆でなくとも何とか走れるレベル。分岐した道は大滝川と不動沢の二俣上流で両方の沢を渡り、不動沢の左岸を上流へと続いているようだ。不動沢に入り遡行を開始する。地形図からも予測されたが、滝もなく穏やかな流れが続く。所々に現れるナメの岩は緑色がかっている。グリーンタフ(緑色凝灰岩)だ。沢は平坦で変化もないので少々退屈な沢歩きが続く。1時間ほど歩いたところでミニゴルジュがあり、すぐ巻けるのだがあえて突っ張りで越える。
 やがて前方に三角形の小屋が見えたところで、沢は左から枝沢を合わせて右へ大きく曲がり不動滝につながる。ここが大滝不動尊で滝の手前左岸には石碑や剣などがある。大滝不動尊は最近はあまり手入れがされていない印象だ。三角形の小屋は大滝不動尊のお籠もり堂のようで、中のノートには2年前の書き込みがあった。12mほどの不動滝は容易に巻けるが、練習にとロープを出して右壁に取り付く。灌木に2箇所ランニングビレイを取りゆっくり登った。不動滝の上流も緩やかだが、ミニゴルジュがあり抜けると6m滝に突き当たる。左壁を直登できそうだが濡れて滑りそうな岩が嫌らしい。右岸を高巻くことにしたが、ここでも念のためロープを出す。
 その後は再び小川のような穏やかな流れとなる。時折魚影も見かけるし、トラロープの残骸もあったので釣り師も入っているのだろう。古い炭焼き釜跡かと思われる平場もある。大滝集落の人たちはこんな奥まで来て炭を焼いていたらしい。ナメコやムキタケを見つけ採りながらなので時間がかかる。ワサビもあるのだが先へ進むことにした。不動沢は両岸からの枝沢が多く、それらを過ぎるたびに少しずつ流れが細くなっていく。ナメが続くようになり晩秋の山間をヒタヒタと歩いていく。突然前方に大きな滝が現れた。近づいてみると30m以上はありそうだ。滝の傾斜はある程度寝ているし水量も多くないので、水は岩を伝い流れ落ちている。直登も可能のように見えるが、やはり濡れた岩が滑りやすそうで取り付く気にはなれない。トライするならロープは必須だが、今日はおとなしく左壁を登ることにする。急斜面だが灌木が適当にあるのでロープは出さなかった。滝を登ると落ち口間際の立ち木にピンクテープが巻いてある。誰がこんなところに何の目的で付けたのだろうかと不思議に思う。山菜キノコ採りや釣り師、まして沢登りでも必要はない場所だ。なお、この滝が大滝集落の名前の由来だとする説がある。なお、大滝の高さは30mと言われているが、GPSでの滝下と滝上の標高差からみて40m滝と整理する。その後はナメが続くようになり、徐々に源頭の雰囲気になる。沢は傾斜を増すこともなく流れは穏やかに続く。やがて水が涸れて斜面に沢形が消える。急な斜面をひと登りすると尾根に乗り、北へ向かうとやがて三角点を見つけた。葡萄沢山の山頂だ。自分としては6年ぶりの葡萄沢山である。天気予報通り寒気が入ってきたようで、気温が下がり風も出てきた。しばらくすると指がかじかんできた。
 遅い昼食を取ってから下山にかかる。方向を定めて道なき斜面を下っていくと、やがて沢が見えてきた。十三沢の左俣に降り立つ。沢はナメが続くのでスリップに注意してそろそろと下る。5mほどの滝が現れたので懸垂下降することにしたが、支点が遠くて30mロープでは少し足りないので、20mロープを連結して懸垂下降した。その後もナメと滝が続き、計4回の懸垂下降を繰り返すこととなった。クライムダウンできそうな滝もあったが、懸垂下降の方が安全との判断だ。4回目の懸垂下降では、灌木にそれほど古くない残置シュリンゲがあったので利用した。午後4時も近くなってやっと右俣出合の二俣に到着。十三沢の下降に時間がかかったが、ここまで来れば暗くなる前に戻れるのでひと安心だ。さらに沢を下り15分ほどで東栗子トンネル脇に到着。やれやれ暗くなる前に下ることができてよかった。大滝集落跡にデポした車を回収し現地解散とした。今回は大滝川との出合上から遡行したが、大滝不動尊までは道をたどり不動滝から遡行しても良いだろう。少し不明瞭な個所はあるようだが、道を失うほどではないと思われる。また、葡萄沢山からの下りは十三沢左俣を下降せず、二俣までは尾根をたどれば時間短縮になるだろう。(K.Ku)

<感想>
 今日はKリーダーと2人で栗子山系の不動沢を遡行した。本当は先週のキノコ取りにも同行させてもらいたかったが予定が合わず断念していた。さて、今日は冬型のためあいにくの時雨模様だがまだ気温、風ともに問題なく遡行を開始した。しばらくは平坦で滝等もなく穏やかな沢の様相が続いたが、1時間を過ぎた頃に10m程の滝が現れた。ロープを使うことになり、ぶっつけ本番でビレイを体験させてもらった。程よいロープの長さを意識してロープを繰り出すようにしたつもりだが、経験させてもらい嬉しかった。
 その後、高巻きや小さなゴルジュが続いたが、それ以降は再び平坦で穏やかな沢の形相になり、ムキタケやナメコがあったりして楽しみながらのんびり遡行していたが、突如30m程の滝が現れた。右岸の灌木帯を直登することになり、手がかりはあるが斜度もありなかなかの高度感でスリル満点だった。
 それからは葡萄沢山に向けて徐々に斜度も増し、さらにヤブというか山葡萄のツルが体や装備に引っ掛かりまくりで、山頂付近では足が疲労のためいうことをきかず追い付くことが出来ない。なんとか葡萄沢山の三角点についた頃には風とともに寒気も入り、また、予定時間から2時間程遅れているため、おにぎりを食べてすぐに下山を開始した。
 最初は結構な斜面を灌木の枝を支えに数百m下降し、沢に入るとしばらくは滑りやすいながらも快適なナメを下りることが出来た。しかし、その後ロープを要する滝が4箇所あり懸垂下降で下りた。最後の懸垂下降の際には、ロープ回収時にロープが引っ掛かりKさんが再度登り返してロープを回収することになってしまった。その後は沢の傾斜も緩み、程なく東栗子トンネルの福島側入口脇に到着した。日が暮れる前に戻って来られてよかった。最後に、不動沢は沢初心者の自分には勉強になることが多く、実り多い山行になった。大変お世話になりました。(J.E)

ルート
 この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、 第353号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

トップ

Copyright(C) 2017 福島登高会 All Rights Reserved.