砂川本沢左俣左沢を登り、砂川本沢左俣右沢を降りるべく県境尾根を南に向かって進むと、豪士山から尾根コースを戻ってきたHさんと出合う。Hさんが一生懸命話すには、登るときに熊の新しい糞とヤブの中を移動する熊の音にびびってしまい、ホイッスルを吹きまくっていたとのこと。確かに、豪士峠の標柱には、真新しい熊のひっかき傷と擦りつけた熊の毛があったのは、私が予備調査に訪れた先週も確認している。私たちの方が熊のテリトリーに入り込んでいるのは確かで、熊からすれば私たちの方が外敵である。
砂川本沢左俣右沢の源頭めがけてヤブ漕ぎを開始する。5分ほどで沢に降り立つ。源頭はブナの原生林で、水はすぐにその勢いを増していく。左、右と小沢を合わせ、F11(2段4m)最初の滝を下ると、次にF10(5m)が現れる。最初の懸垂下降だ。この後、滝は息もつかせず現れる。2〜3mの滝を続けて降りると、F9(10m)に出合う。懸垂下降で下部に降り立ち上を見上げると面白い形をしている。
この後も滝は次から次に現れて飽きることがない。滝の両脇は壁か草付きが多く、大した落差でもないのに懸垂下降を余儀なくされる。クライミングダウンができたのは僅かで、結果6本の懸垂下降を強いられた。今年から沢登りをはじめたMくんも、最後はロープの扱いもだいぶ慣れてきたようだ。
繰り返しロープを出すので、地形図の距離の割に時間がかかる。15時42分、ようやく左沢と出合う。本沢の右俣との出合が15時53分、登りはもくろみ通りの時間で登れたが、下りは1時間以上多くかかった。得した気分で沢歩きを終える。車をデポしてきた林道に戻り、元宮キャンプ場に帰ったときには花の沢のメンバーは、すでに到着していた。(I.I)
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