大樽川の上部だけを登ることにした。朝、福島を発ち、下山予定の西吾妻スカイバレーの白布峠に車を1台置いた後、芳沢まで戻る。芳沢は2万5千分の1地形図には「淀沢」と記されている。昨年まで使われていた大樽川の砂防ダム工事のための作業道を利用して、大樽川に降りる。芳沢の出合から上部へ5つの砂防ダムがあり、4つ目までは左岸が歩けるようになっている。昨年完成した5つ目の砂防ダムには捲き道が無いので、右岸の河岸段丘に一旦乗ってから河原に降りる。
4m斜滝を過ぎ、小さなゴルジュを通過すると洗納沢が右岸から入る。本流には傾斜の緩いナメ滝が見える。5m滝は右岸を直登する。2mほどの小滝を2つ越すと淀沢と出合う。ここから3mほどの滝が連続する。最初の2つの滝は左岸を捲いてやり過ごす。後の滝は直登する。核心部はここまで、左右に枝沢を合わせ進んでいくと、12時ちょうどヤハズ沢の出合に着く。そのまま本流を進む。
次に20分も歩かないうちに左岸から枝沢が入った。馬場谷地にあがるにはその枝沢に入れば良かったのだが、地形図と違うので、そのまま進んでしまった。これが結果的にコースミス。次の枝沢が出てこないので、14時を過ぎたところで遡行をやめて、少し下降し左岸の小沢から登山道を目指した。
沢から上がったとたんに、バケツをひっくり返したような雨にやられる。いたるところが沢になる。1時間ほど費やして登山道に出る。登山道は濁流と化し、危うく見逃すところだった。雷がとどろく中を、車を置いてきた白布峠に向かう。日中だと言うのに周りは薄暗く、峠はまるで夜のような様相だった。(I.I)
|